新設原子力規制委員会は原発「推進」機関


大歳 努 
2012年9月14日(金)
第13回広島2人デモ・スピーチ


 もう、かなり涼しくなってきました、この心地よい時間帯に大変失礼いたします。

 私もこうして街を歩いていますと、大変な危機が近づいているような実感が全く起きません。どこか遠いところのような気がします。しかしながら先週、今週に入り、極めて腹立たしい、気味がわるい、恐ろしいようなトピックスが少なくとも5件はランクアップされました。

 その全てを説明することはできませんが、よりすぐりの腹立つ話題をご紹介したいとおもいます。今週11日において原子力規制委員会に今話題の田中俊一氏が任命されました。この田中俊一という人物をご存知でしょうか?この人物はかつて原子力委員会の委員長代理を2006年から約4年半務めていた、原子力村のリーダー格の一人です。委員長代理というポストは名目上ではNo.2ですが、実質的にはNo.1であるといわれています。この度めでたく原子力規制委員会の委員長に任命されました。任命したのはもちろん我らが野田総理大臣であります。この人事案に反対した議員が与党にも野党にも大勢いたため、本会議閉会後に、国会の承認を経ずに閣議決定で決めました。
 
 いうまでもありませんが、この原子力規制委員会なる組織は原発を規制するための組織ではありません。推進するための組織です。最近、永田町では名が体を表していないネーミングを付けるのが流行っています。田中俊一氏をはじめとする規制委員会のメンバーは原子力村出身の人物たちで固められおり、規制委員会委員長は任期中の5年間は総理でも罷免することはできないという大きな権力が与えられます。つまり、国会議員がいくら騒いでも原発を再稼働できるように作られた組織に他なりません。

 さらにこの委員会の下に原子力規制庁なる、初めて耳にするような組織を作り、原子力安全保安院と環境省の職員を横滑りさせるという焼け太りのような改悪を実現させました。しかも、この組織の初代長官は警視総監をやっていた人間で、原子力の規制とは全く関係ありません。少し余談になりますが団体作るのだったら少しは市民団体のように自費で、自分の時間削ってやってみろと言いたくなります。

 それはともかくこの人事は9月11日をもって決まりました。この911という数字はどこかの誰かのためのサービスです。どうか、頭の片隅に置いていただきたい。

田中俊一氏は犯罪容疑者

 田中俊一氏に話を戻します。さきほどわたしは氏が原子力村のリーダー格の一人であると言いましたが、彼を含め東電幹部とその御用学者たち27名が、福島原発被告団の方々から業務上過失致死の容疑で告発されこの告発状は受理されております。つまり重大な犯罪容疑者なのです。

 しかし彼らの罪は訴えられている部分だけではありませんし、訴えられるべき人数もこれだけのはずがありません。ここに新たに加えられるべき一番の犯罪者は、今なお被災者の方たちを、被災地に封じ込め、その方たちを避難もさせず治療もせず,ひたすら被曝のデータを取り続けるという、血も凍るような状況を作っている人達です。

(しかも田中俊一氏は、これまで除染プロジェクトの先頭に立ち、避難している人々の汚染地区への帰還を促し、また自主避難している人々への避難補償には率先して反対している人物です。言い換えれば、人々を汚染地区に縛り付けておこうとプロジェクトの中心人物です。――哲野イサク)
 
これも原子力村の一側面なのです。原子力村というと村なのでどうもこの単語からは小規模で牧歌的なイメージになりますが、その裾野は恐ろしく広く国際的です。これらの中には電力事業を行う団体の他に、メガバンク、大手商社、その他多国籍企業、大手メディア、政治団体、大学、医師会、宗教団体も含まれております。だから海外のメディアでははっきりと原子力マフィアと呼んでいます。これら多数の組織共通の目的はお金ですが、これに権力の強化も含まれるかもしれません。これは恐ろしいことです。

 このような状況の中で、テレビ、新聞といったメディアは一部を除き、当然のごとく、当てになる情報を提供しません。なぜならこの権力の一部であるからです。どうか、みなさまご自身で信頼の置ける情報源を得て欲しいと願っています。今私が行なっているスピーチもマイクロで頼りないかもしれませんが、一種のメディアです。ウェブで「広島二人デモ」と検索すれば、内容を再確認することもできます。お騒がせしていることは心苦しいですが、これからもよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


広島2人デモ