<軍産学複合体制と核兵器の起源 関連資料> |
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グルジア攻撃で米大型兵器計画が推進 Attack on Georgia Gives Boost To Big U.S. Weapons Programs |
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(2008年8月16日付けウォール・ストリート・ジャーナル電子版掲載 原文:http://freedom4um.com/cgi-bin/readart.cgi?ArtNum=85404 ) |
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(以下記事本文) |
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ロシアのグルジア攻撃はアメリカの大規模兵器計画にとって思わぬ支援・擁護者となっている。その計画には見かけ倒しのジェット戦闘機(*flashly fighter jets)、ハイテク駆逐艦なども含まれている。これらの兵器は、今反抗している敵どもとの闘い(*ここは多分イラク戦争やアフガン戦争などに見られる戦闘形態のこと、すなわちゲリラ戦における戦闘を指していると思われる。)には役に立たないとして、今年の予算化については相当苦戦すると見えた兵器である。
国防長官のロバート・ゲイツは永年の間、こうした軍事的に高価なそして野心的な兵器システムの手綱を締めようとしてきた。たとえば1機1億4300万ドルのF-22ラプター戦闘機(*raptorは猛禽類という意味)、などがそうである。というのはゲイツの考え方にしたがえば、こうした兵器は、イラクやアフガニスタンでアメリカが当面している戦いのように、見つけ出しにくくまた比較的軽い装備の軍事兵力に対しては、適切ではないと考えているからだ。 ゲイツは、数十億ドルの金がかかりまた雇用機会を生み出すチャンスの高いこうした計画を欲している、一連の防衛企業や政治的利害関係者から反対されてきた。 ロシアの侵攻軍が軍事車両を連ねてグルジアへの道をひた走りに走り、空から爆撃をしているとき、ソ連と中国はもうさほど大きな脅威ではないとする国防総省の見解は、いや大きな脅威だとする方に一挙に燃え上がった。もしグルジアにおける紛争が継続し、強化されるなら、国防総省にとっては大きな値札がついた各項目(*各兵器システムのこと)に予算がつくこと疑いなしと言う状況により持って行きやすいだろう。 たとえば、米下院予算委員会・国防小委員会のパワフルな委員長、ジョン・マーサ(John Murtha、ペンシルバニア州選出民主党)は、今週のロシア状況を素早く把握して、アメリカ軍によるイラクおよびアフガニスタンの作戦の料金を、ロシアは徴収しようとしている、と指摘して次のように云う。
ウォール街の証券アナリストの中には、ロシア軍の侵攻は、(*市場の)防衛産業分野は「強気で買いだ」(*make bullish call)とする理由と見始めたものもいる。ロード・アイランド州、ニューポートのJSAリサーチ社は、この週の前からロシアの侵攻は「防衛株買いを告げる鐘」と指摘していた。
ゲイツ氏自身今週、あらたな紛争(*グルジア紛争)は、アメリカをしてロシアとの戦略的関係を見直させることになると述べている。火曜日(*2008年8月12日。グルジアの南オセチア侵攻は8月7日。−いずれもワシントン時間。)の記者会見で、ゲイツ氏はアメリカはグルジアで軍事力を行使する考えはない、冷戦の再来を求めるつもりもない、と明言した。しかしながら彼が明確にしたことは、ロシアはグルジアを罰しているかのように見える、グルジアはNATOに対して(参加するかどうか)、そして西側の同盟国になるかどうかふらふらしている、旧ソビエト諸国に対する警告にはなっただろう、ということだ。
今までのところ、ゲイツ氏はアメリカが国防予算を投ずべき戦いの場は、反乱分子やテロリストの分野に集中すべきだとしてきた。すなわち伝統的な敵に対する通常兵器や反乱分子やテロリストとの戦いの準備である。 今年初め、コロラド州で開かれたイベントで、ゲイツ氏は軍事が「“次なる戦争病”(Next-War-itis)に傾きすぎる嫌いがあり、防衛エスタブリシュメントは、将来の紛争に何を備えなければならないかを愛好する傾向にある。」と指摘した。これに対してゲイツは、過去の戦争に向けてギアを入れるような高名な計画の長い長いリストを削るべく模索する努力を費やしてきた。 このゲイツの長い削減(*兵器)リストのトップに来るのがF-22ラプターである。ボーング社をはじめとする他の強力を得て、ロッキード・マーチン社が製造している。F-22は空軍における最高の戦闘機と考えられているが、イラク・アフガニスタン戦争で、使い物ならない時にすら頑固にこの戦闘機を追求する空軍を、今年の初め譴責したところでもある。
攻撃の対象に晒されていたのが「フューチャー・コンバット・システム」(FCS)である。これは、それこそ未来的金額1600億ドルをかけて、軍隊の装備を近代化しようという計画で新しい装備や電子仕掛けのからくりが満載である。このフューチャー・コンバット・システムの主要受注企業はボーイングとSAIC社であるが、この計画を何度も見直し、ゲイツ氏のいう「次なる戦争病」の非難を何とか躱したいと願っている。
それと同時期に海軍はその最も高価な駆逐艦群の建造に及び腰になっていた。技術的なリスクが小さく、安くついて、できるだけ既存の技術に傾いていたためである。これもコース変更である。海軍は2隻のー7隻ではないーDDG-1000ズムウォルト級駆逐艦を要求している。議会予算局の見積もりでは、1隻50億ドルもする。
こうした駆逐艦ではなくて、海軍は公海上における対潜水艦作戦やミサイル防衛に適したもっと安い艦船を要求しているのである。 次期政権がこれら一連の計画に対してどのような見解をとるかは今のところ不明確だが、防衛産業のトップたちはこれら計画を前進させるべく極めて強固に戦ってきたし、彼らが事実上「殺されずに済む」レベルで落ち着くことを願ってもいる。ありふれた大合唱だが、米国の利益に脅威がいったん認められれば、総軍司令官として、次期政権はその世界の危険を認識するであろうと云われている。 政権交代は、防衛予算の歴史的な高レベルを反映して、防衛産業の記録的な売り上げと利益を見せているまさにその時に行われる。しかし(*防衛)予算に対するプレッシャーはすでに否定しがたい。イラクとアフガニスタンにおける費用は毎月120億ドル(*わかりやすく1ドル=100円として、1兆2000億円、年間14兆4000億円!)要求する。それにペンタゴンは、(*イラクとアフガニスタンからの帰還)兵力に対して、膨大な修理・補充の仕事に直面することになる。 今、ロシアをめぐる状況は、アメリカの軍備をめぐる議論を一番の議論の対象としてしまった。ペンタゴンの高官は「脅威は常に(*軍備)調達を促進する。」と語る。「どちらの政党が(*ホワイトハウスの)事務室に入るかは関係ない。」 ゲイツ氏のアプローチは国防総省の戦略文書として成文化された。それは非通常戦争(*unconventional warfare がもとのことばであるが、これはとりもなおさず核兵器ミサイル戦争を意味する。)に対する能力とロシアや中国の軍隊のような敵を打ち負かす地上兵力との間のバランスをとろうというものだった。 これは空軍協会(the Air Force Association)の理事長であり最高執行責任者であるマイケル・ダンの怒りを買うものである。彼は云う。
退役空軍中将であるダン氏は、もしF-16やF-18のような戦闘機がグルジアの戦闘ミッションに投入されたら、それは墓場に入るほどの危険があるという。国境付近から放たれるロシアの高度に発達したミサイルから逃れるすべがないからだ。そしてF-22のような最新鋭機だけが、こうした攻撃を躱すことができるという。「この戦争(グルジア紛争)の結果、議論は全く変わってしまった。」とダン氏はいう。 ロシアの侵攻前ですら、空軍の議論は立法者(*議会関係者のこと)の視野の中に入っている兆候はあった。議会が休会に入る直前、小委員会(*下院予算委員会軍事小委員会)のマーサ氏は、ホワイトハウスが要求する以上のF-22戦闘機を20機購入する方向へ向けて5億2300万ドルの拠出をするつもりだと語っている。
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