<参考資料>満州における特殊工人の人数


表T 軍事部門省別「特殊工人」就労人数 1942年4月末現在

省別 人数
牡丹江省 1,500
東安省 648
牡丹江省 1,656
東安省
黒河省 1,341
三江省 1,017
興安北省 882
興安南省 839
合計 7,883
牡丹江省 満州国時代に作られた省。現在は黒竜江省内、牡丹江市付近。
東安省 満州国時代に作られた省。現在は黒竜江省内、東安市付近。
黒河省 満州国時代に作られた省。現在は黒竜江省、黒河市付近。
三江省 満州国時代に作られた省。現在は黒竜江省、ジャムス市付近。
興安北省 満州国時代に作られた省。この時東・西・南・北の4省が作られた。
興安南省 現在は内モンゴル自治区内。
資料出所は王紅艶『「満州国」における特殊工人の一考察(下)』中表6−1「軍事部門省別就労人数」
王はこの資料を労務司労務興国会「労働者就労状況調査表」(1942年4月30付け)『東北経済略奪』(中華書院1991年)などから作成したという。



表U 地方部門省別「特殊工人」就労地別人数 1942年4月末現在

省別 人数(名) 就労地別 人数(名)
吉林省 8,400 東辺道開発 2,027
奉天省 12,227 満州炭坑 6,120
四平省 15 昭和製鋼所 3,008
東安省 474 本溪湖煤鉄公司 3,207
錦州省 2,316 舒蘭煤鉱 8,270
通化省 2,027 阜新炭坑 726
    北票炭坑 385
    その他 1,716
合計 25,459 合計 25,459

奉天省は旧清時代に設置された省。ほぼ現在の遼寧省。省都は瀋陽。「満州国」時代は奉天。
四平省は現在の吉林省四平市付近。
錦州省は満州国時代に作られた。現在の遼寧省の一部、錦州市付近。
通化省は当時の省名での吉林省通化市付近。
東辺道開発株式会社は満州重工業が設立した会社。吉林省の東南部一帯が東辺道。本社は通化市にあったようだ。一帯は石炭・鉄鉱石の地下資源が豊富だった。
満州炭坑は満州重工業の子会社。河本大作が一時理事長を務めていたこともある。
昭和製鋼所は満鉄時代の鞍山製鉄所。その後昭和製鋼所と名前を変え、満業傘下に入る。
本溪湖煤鉄公司は、遼寧省本溪市にあった煤鉄製造会社。もともと大倉組の資本。本溪付近は、豊富な鉄鉱石・石炭を産出する。
舒蘭煤鉱は吉林省舒蘭にある炭坑。満州日日新聞 1942.5.25-1942.5.28(昭和17)付けの特集記事「江北炭田開発と満鉄炭業の展望 (1〜4)」
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/ContentViewServlet?
METAID=00107524&TYPE=HTML_FILE&POS=1&LANG=JA
>にその名前が見える。
また日本工業新聞 1942.9.15-1942.9.18(昭和17)の特集記事「共栄圏の確立と満洲国の地位 (一〜四)」
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/ContentViewServlet?
METAID=00464955&TYPE=HTML_FILE&POS=1&LANG=JA
>にもその名前が見える。
阜新炭坑は遼寧省阜新市にあった炭坑。露天掘りもできた。
北票炭坑は遼寧省朝陽市にあった炭坑。満州日報 1933.1.18-1933.1.20(昭和8)付け特集記事「富源開発を待つ熱河省経済事情 (上)」
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/ContentViewServlet?
METAID=00458318&TYPE=HTML_FILE&POS=1&LANG=JA
>にその名が見える。
資料出所は王紅艶『「満州国」における特殊工人の一考察(下)』中表6−2「地方部門省別就労地別人数」 
王はこの資料を労務司労務興国会「労働者就労状況調査表」(1942年4月30付け)『東北経済略奪』(中華書院1991年)などから作成したという。



表V 就労地別特殊工人数 1943年6月末

就労地別 人数(名)
阜新炭坑 9,300 名前後
北票炭坑 4,000 名余り
本溪炭坑 5,000 名余り
遼陽煙台炭坑 700 名余り
鞍山鉄鉱 3,436
鞍山昭和製鋼所製鉄工場 400 名余り
奉天兵工場 数百名
西安炭坑 400 名余り
蚊河炭坑 400 名余り
通化石人炭坑 300
通化土道溝鉄鉱 200 名余り
小豊満発電工場 数百名
北満特殊工程 数千人 
撫順炭坑 4万名 前後(註1)

(註1) 撫順炭坑の数字は1940年から1945年8月まで道炭坑で使役された特殊工人の数。撫順警察局長・柏葉勇一と撫順憲兵分遣隊特高課・宝田振策の供述による。
北満特殊工程については全くわからなかった。
資料出所は王紅艶前掲論文の文中記述を表にまとめたもの。
論文記述は『抗日こそ誇りー訪中報告書中国東北地区における指紋実態調査団』1988年などによる。