【参考資料】原発/アメリカ/サンオノフレ原発廃炉決定の動因  2013.6.12

<参考記事>
サン・オノフレ原発廃炉決定の背景


3000本以上の伝熱管1万5000か所に早期摩耗

 サン・フレスノ原発廃炉決定の一つの大きな背景要因として、2012年「運転停止とそれに続く閉鎖」問題がある。三菱重工業製の「蒸気発生器」と密接に関連があるので、英語Wikipedia“San Onofre Nuclear Generating Station”の中の“2012 shutdown and subsequent closure”という項目の記述に沿って見ておこう。

 2号機(別表「サン・オノフレ原発の概要」参照のこと)は、2012年の1月初旬運転停止した。原子炉圧力容器蓋(the reactor vessel head)の交換と通常燃料入れ替えのためである。2012年1月31日、3号機原子炉格納容器(the containment shell)内で放射能を含んだ蒸気が漏出していており、運転を停止した。調査の結果、2号機・3号機とも3000本以上の蒸気発生器伝熱管に(いわゆる”細管”)約1万5000個所の早期摩耗(premature wear)が発見された。蒸気発生器はそれぞれ2010年、2011年に入れ替えを完了していたものである。

 この蒸気発生器伝熱管(細管)について説明しておこう。

 一般に軽水炉と呼ばれる原子炉は“軽水”(要するに普通の水である)を冷却材(核分裂や核崩壊の際に生ずる熱を冷却する)と減速材(炉内で発生する中性子を吸収して中性子の量を調節し核分裂をコントロールする。減速材を使用しなければ発生する中性子は高速増殖炉“もんじゅ”のように高速中性子となる)の両方に使う。 水はまた、発電タービンを回す際に必要な蒸気発生源としても使用されている。原子炉内で核燃料(炉心)に直接接触した水を沸騰させて水蒸気を作り、それをタービン建屋の発電タービンに送って発電させるのが、簡単にいって沸騰水型原子炉(Boiled Water Reactor=BWR)である。  
それに対して、炉心で発生させる蒸気と発電タービンを回す蒸気を分離して、より安全性を高める配慮をしたのが、加圧水型原子炉(Pressured Water Reactor=PWR)である。(図1参照のこと)

 加圧水型原子炉では、原子炉圧力容器内で発生した蒸気(図1のピンクの部分。放射能そのものと言っていいほどの高濃度放射性蒸気−一次冷却系)を使って、発電タービンを回す蒸気(図1の水色の部分−二次冷却系)を作る。このため一次冷却系蒸気でもって、熱交換の原理を使って、二次冷却系蒸気を作る装置が「蒸気発生器」である。熱交換の原理を使うため、蒸気発生器内部は伝熱管と呼ばれる「管」を使用する。

 ここで大きな問題が発生する。熱交換率を上げ、効率よく熱交換するためには、この管はできるだけ薄い方が望ましい。薄ければ薄いほど熱が伝わりやすいからだ。一方で安全を考えれば管は厚い方が望ましい。厚くて頑丈であればあるほど、減肉しても丈夫に放射能そのものの一次冷却蒸気を密封できるからだ。「コスト」をとるか「安全」をとるかの究極的選択である。そして核機器メーカーや電力会社は躊躇なく「コスト」を選択するのである。


関電美浜、「ギロチン破断」のメカニズムそっくり

 熱交換時、一次冷却系蒸気を使って二次冷却系蒸気を作らなくてはならない。そのためには一次冷却系の蒸気の温度は100℃をはるかに上回らなくてはならない。また二次冷却系の蒸気も100℃程度ではまだ温度が低い。タービンを回すまでに温度が下がって水に戻ってしまうからだ。このため二次冷却系内では気圧を50気圧程度とし、高い温度の蒸気を作るように設計されている。熱交換する一次冷却系の蒸気はそれをさらに上回る温度、300℃以上でなくてはならない。一次冷却系蒸気を300℃以上にするために、一次冷却系の気圧は150気圧以上を保っている。

 つまり熱伝導管(蒸気発生器細管)の中は温度300℃以上の蒸気が激しい勢いで流れている。しかも伝熱管は、内部からの圧力(一次冷却系蒸気の圧力)約150気圧と外部からの圧力(二次冷却系からの圧力)約50気圧の差約100気圧の伝熱管内からの圧力を常に支えていなければならない。

 表1は三菱重工業製の蒸気発生器の仕様である。旧型の54F型の伝熱管は長さ21m、直径22.2o、厚さ1.3oとなっている。つまり長さ21m、内径19.6oの超細長い管の中を温度300℃以上の蒸気が激しい勢いで流れ、しかも1.3oの薄い管の壁を常に約100気圧で外へ向かって飛び出そうと圧力をかけている。長さ21m(21,000o)、直径22.2oの伝熱管は支えをしてやっても自力で自らを支えきれないからポッドに巻き付けてある。旧型54Fの仕様では1基の蒸気発生器の中に熱効率を上げるため、3386本の伝熱管がポッドに巻き付けてある。従って、蒸気発生器の外観は図2のように非常に醜くグロテスクな格好をしている。

 2010年と2011年に三菱重工業がサン・オノフレ原発に納品した蒸気発生器は間違いなく新型の70F-1型である。新型では長さは21mと変わらないが、肉厚を約1.1mmとさらに薄くしてある。外径もさらに細くなり19.1oと2cmを切ってしまっている。さらに熱効率を上げるため、新型では1基に5830本も入ってる。こうして伝熱面積を5060平米から6500平米に上げた。通常100万kW出力の原発では蒸気発生器が2基必要だから、1基の原発に約1万2000本の伝熱管が格納されていることになる。 高い温度の蒸気の激しい流れと高い内圧に常にさらされた伝熱管が摩耗、疲労しないはずはない。定期点検時のチェックはここに集中するし、伝熱管の交換や応急手当(外からパッチ状のつぎあてをして減肉をカバーしたりする)をする。

【参照資料】三菱重工「蒸気発生器」
http://www.mhi.co.jp/products/detail/steam_generator.html
  (図2)蒸気発生器

日本語WikiPedia「蒸気発生器」より引用
(クリックでウェキペディアに飛びます)
実際にこれが破れることもある。1991年2月関西電力の美浜原発2号機が運転中に伝熱管が耐えきれずスパッと切断した。(ギロチン破断事件)この時はメーカー(ここでも三菱重工業)の製作ミスとされたが、実際は製作ミスというよりももともと設計ミス、さらにいえば「コスト最優先」「効率最優先」の設計思想が誤っている、という他はない。蒸気発生器伝熱管(細管)は「加圧水型原子炉のアキレス腱」といわれるゆえんである。

 原発などという危険な設備の装置や器機を製造する際の設計思想が間違っていることを如実に示したのが、2012年1月末に発生したサン・オノフレ原発3号機の一次冷却水漏出事件であろう。伝熱管が破れて放射能が格納容器内に漏出したのである。調べて見ると、2010年から2011年にかけて取り換えたばかりの蒸気発生器の中の伝熱管約3000本に約1万5000個所に“早期摩耗”(premature wear)が発見された、というのだ。これはもう製作ミスレベルの話ではない。日本では北海道電力(泊原発)、関西電力(美浜原発、高浜原発、大飯原発)、四国電力(伊方原発)、九州電力(玄海原発、川内原発)など加圧水型原子炉を採用している原発は数多い。サン・オノフレ原発のような“早期摩耗”はないのだろうか?あるともいえるし、ないともいえる。それは「摩耗」(減肉)の定義による。たとえば、肉厚の10%が減肉すれば、“摩耗”とみなすか、90%までは大丈夫というかという問題である。確かな事は2つある。

 日本では伝熱管の減肉許容値が伝統的に一貫して甘くなって来ているといこと、もう一つはアメリカの規制値の方が日本の規制値よりはるかに厳格で、運用も厳格だということ。早い話が点検をサボってしまえば、“摩耗”も存在しないことになる。さて話をサン・オノフレ原発に戻そう。


アグラン議員の指摘

 サン・オノフレ原発の最高幹部は、伝熱管洩れの原因そして伝熱管の減肉(degradation)の原因が判明するまで再稼働しないことを誓約した。(というより余儀なくされた)またその再稼働は永遠にないことも誓約した。 サン・オノフレ原発が稼働しないことで電力不足も起こらなかった。天然ガス火力発電の割合を増やしたからだ。そのかわり環境汚染対策コストとして、一般消費者は余計な料金を支払わされることになった。(原発が通常運転で放出する放射能に健康対策コストがかからないのはおかしな話である。)

 2012年3月、サン・オノフレ原発の前幹部で現在はフェアウィンズ・アソシエーツ(Fairewinds Associates)のアーノルド・ガンダーセン(Arnold Gundersen)はある報告を用意した。その報告の中でガンダーセンは、「伝熱管の合金材料の違いなど、新しく設置した蒸気発生器全体の設計変更のために、サン・オノフレ原発の問題が発生した」と主張した。ガンダーセン報告によれば、2012年に発生した運転停止は、アメリカ原子力委員会(NRC)のチェックを経ていない数多くの設計変更を含んでいるお粗末な蒸気発生器の設計のためだ、ということになる。ガンダーセン(すなわち、南カリフォルニア・エジソン社−SCE)は、トラブルの責任を全面的に三菱重工業に負わせようとしている。そこはかなりの部分真実を含んでいるが、一方でSCE側の監理責任は一体どうなるのか、という問題もある。(後にこの問題が追及される)

2012年4月、“閉鎖”をめぐる多くの懸念から、NRC委員長のグレゴリー・ヤツコ(Gregory Jaczko=当時)は、州選出の上院議員ダイアン・フェインスタイン(Dianne Feinstein=民主党)、下院議員ダレル・アイサ(Darrell Issa=共和党)などと共々、同原発を視察した。事態は完全に政治問題になったのである。

 NRCは南カリフォルニア・エジソン社にかねがね不信感をもっていた。「サン・オノフレ原発 概要」参照のこと


地元で反原発運動の先頭に立った
ラリー・アグラン議員
(アーバイン市議会)

(Larry Agran。アーバイン市元市長)
(引用元:Emerging Corruption)
Eternal vigilance is the price of liberty
   2012年3月、NRCは原発の器機や装置の諸問題が完全に解明されかつ解決されるまで、サン・オノフレ原発の再開を禁じる書簡を交付した。そして地元の反原発運動に後押しされるかたちでアーバイン市の市議会議員ラリー・アグラン(Larry Agran。アーバイン市元市長)は同原発の、可及的速やかでかつ安全な廃炉を要求した。アグラン議員によれば、懸念には「原発内に溜め込まれている核廃棄物(nuclear waste)、放射性物質に由来する健康への危険(health hazards)、そして全く不適切な避難計画」などが含まれる。またアグラン議員は、原発の存在そのものが南カリフォルニア全体の脅威になっている、と指摘している。(「不適切な避難計画」は日本の原子力災害計画も同様だ。なぜ私たちが原発事故におびえて暮さなければならないか)

(全くお恥ずかしい限りだが、もし福島第一原発事故がなければ、私はアグラン議員の指摘を何事もなくよみとばしただろう。しかし今は違う。一つ一つ身に沁みる指摘だ。今私は、広島からもっとも近い原発、四国電力の伊方原発の再稼働を念頭に置きながらこの文章を書いている)

 近隣の自治体、たとえばラグナ・ビーチ(Laguna Beach)やサン・クレメンテ(San Clemente)などの市議会では、より安全で確実な核廃棄物の貯蔵を要求する決議がなされた。またサン・クレメンテでは、サン・オノフレ原発付近での放射能レベルを公開情報とする要求に関する住民投票も行われた。ボブ・スタインは、エジソン・インターナショナル(「南カリフォルニア・エジソン社 概要」参照のこと)のスポークスマンだが、「当社は市議会と地域社会の皆さんの疑問と懸念に応えるべく、きめ細かい回答を用意する取り組みを実施する」と声明せざるを得なかった。

 2012年5月、2つのすでに引退同然の天然ガス発電所が操業再開し、サン・オノフレ原発停止による源力不足をカバーするため、電力網(グリッド)に接続された。一つはハンティントン・ビーチ発電所(the Huntington Beach Power Station)である。しかし同発電所の発電容量は44万kWでしかない。もう一つのエンシナ発電所(Encina Power Station)は、96.5万kWの出力があり、この2つを合わせると、サンディエゴ郡とリバーサイド郡の電力を何とかカバーできる見通しだ。
(サン・オノフレ原発2・3号機の容量はフル操業時ネット215万kW。「サン・オノフレ原発 概要 参照のこと」)



包囲網にSECが全面降伏

 こうした動きを見て、原発推進派の政治家たちのいい方も微妙に変化してきている。たとえば、地元選出の下院議員ダナ・ローラバッチャー(Dana Rohrabacher=共和党)は、2012年5月、「サン・オノフレ原発は安全である。しかし時代遅れとなっている。だからもっと最新のハイテク原子炉に取り換えるべきだ。ただしそれは、現在安全でないからではなくて、もっと安全でさらに効率的にできるからである」と訳のわからない声明を出している。

 サン・オノフレ原発を太陽光発電に置き換えるというアイディアに答えてカリフォルニア大学アーバイン校教授、引退した物理学者で天文学が専門のデニス・シルバーマン(Dennis Silverman)は、計算の結果、もしすべてを置き換えるなら太陽光発電施設に必要な面積は20平方マイルで、これはオレンジ郡にあるグレート・パークの10倍の面積となる、また費用は440億ドルにのぼるだろう、とした。

 2012年6月、環境保護団体の『フレンズ・オブ・アース(Friends of the Earth)』は、原子力規制委員会に対して、サン・オノフレ原発を再稼働させるいかなる決定も、規制委員会(NRC)委員の決定によるのではなく、裁判形式のような公的フォーラムによってなされるべきだとする法的請願を正式に登録した。

 こうしてみると様々なグループや地元政治家たちが、サン・オノフレ原発再稼働の動きを包囲し、また規制委員会に圧力をかけていった経緯を垣間見ることができる。

 2012年7月、NRCは、引き続き追求しなければならない10項目の課題を同定した報告書を公表、その中で、「運営被許可者(南カリフォルニア・エジソン社のこと)が、蒸気発生器伝熱管のさらなる減肉(degradation)を防止する計画を策定するまで、サン・オノフレ原発の再稼働は認められない。そして同原発が安全に操業されるかどうかについてはNRCが独立して認証する」と述べている。

 2012年7月現在、操業停止に関わる費用は1億6500万ドルにのぼっている。うち1億1700万ドルまでが操業停止のための他社からの電力購入費だ。その結果、エジソン・インターナショナル社会長、テッド・クラバー(Ted Craver)は、「3号機に大幅な修繕費がかからずに再稼働できることが明確にならない限りは、3号機を廃炉にする可能性がある」と述べた。
 
 2012年8月カリフォルニア・エジソン社は、同原発の従業員の約1/3に相当する730名の解雇計画を発表、そして同原発の従業員規模縮小は、実は2年まえから計画されていた、と述べた。

 2012年9月、NRC委員長アリソン・マクファーレン(Allison Macfarlane。ヤツコ辞任に伴う新委員長)は、サン・オノフレ原発は長期間にわたって休止し、また2012年9月には、相当な損傷を受けたため3号機の核燃料は搬出されることになると述べた。一方南カリフォルニア・エジソン社は2012年10月にはNRCの承認を求めて2号機の再稼働を申請する計画だと述べた。

 2012年11月までに休止コストは3億ドルにのぼった。そして2号機再稼働に関する議論は延期となった。2012年12月、4基の古い蒸気発生器はユタ州クライブ(Clive)に適切な廃棄のため搬送された。

 2013年2月NRCは三菱重工業に対して蒸気発生器に関する報告を提出するように求めた。三菱重工業は、問題の蒸気発生器のメーカーであり、2009年に設置を開始していた。

 2013年5月13日、NRCの原子力安全管理者免許委員会(Atomic Safety and Licensing Board−ASLB)は、先に『フレンズ・オブ・アース(Friends of the Earth)』が提出登録していた公聴会開催を求める請願(2012年6月)に関する決定を公表した。ASLBは、この案件に関する現在の原子力規制委員会のプロセスでは、「事実上の操業許可追加」(de-facto license amendment)を構成し、3つの理由で全面的な公聴会(a full public hearing)が必要だ、と決定していた。

その3つの理由とは−。
(1) 2号機の出力を70%とするNRCの提案は、操業許可の本旨と一致しない。従ってこれは「追加許可」を構成する。(南カルフォルニア・エジソンは2号機の出力70%操業を提案しNRCもこれを取り上げた)
(2) 2号機は、「全面操業許可」(the full license)の範囲内で安全な操業を行うことはできない。よって(再稼働許可を認めるなら)追加許可が必要。
(3) 現在の質的に劣化している蒸気発生器伝熱管(細管)のまま再稼働することは、歴史的に未経験の事態となる。ために70%出力で操業しようという提案は、規制基準の定義でいう“試験または実験”に相当する。よって「追加許可」が必要となる。

 要するに、現在の蒸気発生器を使用したままの再稼働は、現在与えられている「許可」(ライセンス)の範囲外のことになる、従って「追加許可」が必要だ、「追加許可」を与えるならば全面的な公聴会が必要だという論理構成である。

 2013年5月28日上院議員のバーバラ・ボクサー(Barbara Boxer)はアメリカ司法省に、エジソン社幹部による不正行為(malfeasance)の可能性について調査するように要請、そしてエジソン社執行役員の2004年の手紙を公表した。その手紙によれば、旧型と類似仕様だが、新型蒸気発生器に入れ替えることへの懸念が表明されており、破滅的な問題を惹起するのではないか、という懸念が表明されていた。(実際に2012年1月にこの懸念そっくりの事故が発生した)もし同社幹部が、問題が生ずるかも知れないことをよく理解していてこの蒸気発生器を導入したのなら、アメリカでは刑事犯罪を構成する。この可能性について調査するよう要請する中で、ボクサー議員は次のように述べている。「この書簡は、私に、エジソン社は意図的に世論や規制委員会をミスリードしたのではないか、と信じせしめる。そのミスリードは、全く設計変更をすることに関連する公聴会や全面的な安全面での見直し作業を避けるために行ったのではないか。」

 エジソンは全く誤った事はしていない、と否定した。

 この部分は私たち日本の市民にとって極めて示唆に富む。問題が生ずるかも知れないような器機を電力会社幹部が知りつつ、原発器機メーカーのいうままに導入し、もし何らかのトラブルが発生したら、製造業者や納入業者にも、またそれを導入した事業者側にも、賠償責任だけでなく、刑事責任が問えるようにしなければならないだろう。

 2013年6月7日、南カリフォルニア・エジソン社は、2号機と3号機の発電容量を下げて再稼働することをあきらめて、かつ“永久に不使用”(permanently retire)とすると発表した。そして従業員を現在の約1500名から400名程度に削減する、従業員削減のほとんどは2013年度中に実施されることも発表した。さらにエジソン社は、蒸気発生器のメーカーである三菱重工業から受けた損害を回復することを追求する、とも述べた。

 親会社エジソン・インターナショナル社の最高執行責任者(CEO)は、「現在の操業許可は2022年に期限切れとなるけれど、地震に対する脆弱性に関する再評価も含んで“ポスト−フクシマ”(post-Fukushima)での安全面への要求水準を考えれば、器機の再入れ替えをしたとしても、経済合理性があるかどうか不確かである、従ってコスト面においてもまた政治リスク面においても、今修理することにはほとんど意味はないし、また2020年までに投資が回収できるかどうかは疑問だ」と事実上の閉鎖・廃炉の決定について説明している。

 一方上院議員のダイアン・フェインスタイン(前出)は、サン・オノフレ原発の永久閉鎖の決定を承認するサインを示しながら、次のように述べている。

 「私はこの決定は、サン・オノフレ原発から半径50マイル(80km)圏内に居住する700万人以上のカリフォルニア人にとって正しい決定だと固く信ずる」

 一方サン・オノフレ原発を自分の選挙区に含む下院議員のダレル・アイサ(前出)は、いささか腰が引け気味であり、次のように述べている。「私たちの地域社会は今や1000人以上の極めて高い技術職雇用の機会と低コストでクリーンなエネルギー源の両方の喪失に直面している」

 全く対照的にシエラ・クラブ(Sierra Club。1892年5月にサンフランシスコで設立されたアメリカで最も古い自然保護団体のひとつ)の理事キャスリン・フィリップス(Kathryn Phillips)はこの決定に万雷の拍手を送っており、次のように述べている。「これを機会にして、各電力施設が、たとえば屋根の上に取り付ける太陽光エネルギーのような地域ごとに発電できる再生可能エネルギーに変わっていく、そのような状況を望んでいる」



【参照資料】
英語ウィキペディア“Southern California Edison
英語ウィキペディア“Edison International
Southern California Edison”の公式Webサイト
年次報告“Southern California Edison 2011 ANNUAL REPORT”
http://www.edison.com/investors/annual_rpts.asp
NRC http://www.nrc.gov/ 
Emerging Corruption
http://emergingcorruption.com/2011/04/red-reps-6-larry-agran-irvine
-california-councilor-and-one-time-socialist-presidential-hopeful/
第21回伊方原発再稼働を止めよう!2013年6月8日チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20130608_ikata_A4.pdf