<参考資料>ヒロシマ・ナガサキ2009資料

(2009.8.11)


ミゲル・デスコト・ブロックマン第63回国連総会議長あいさつ

(長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典において)2009年8月9日

(* 引用元は
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/unsokai/63_sokai0908_a_n.html>である。英語原文は<http://www.mofa.go.jp/policy/un/remark0908-2.html>。私は、若干訂正した。最初の呼びかけは "Dear, brothers and sisters,"となっているので、日本語訳「兄弟の皆さん、」ではなく「親愛なる兄弟・姉妹の皆さん、」とした。また「これまでに犯した二つの最大の残虐行為」ではなく、原文に忠実に「これまで犯した最大の残虐行為のうちの二つ」とした。以下本文である。)


 親愛なる兄弟・姉妹の皆さん、

 私は、広島及び長崎への原爆投下という人類が他の人間に対してこれまでに犯した最大の残虐行為の二つにより命を落とされた方々及びかろうじて生き残った方々との連帯を表明するために来日いたしました。

 私はまた、ローマ・カトリック教会の神父及びナザレのイエスの信奉者という個人的な立場から、64年前にこの場所で起きた犯罪に私の教会の者が直接関与したことについて、日本の全ての兄弟から許しを請うために来日したのです。私の教会の名において、私は皆様に許しを請います。

 核兵器が二度と使用されないことを保証する唯一の確実な方法は、核兵器を完全に廃絶することです。しかし、この目的を達成するためには、我々はいくつかの困難な課題に取り組まなければなりません。

 我々がまず、最優先で取り組まなければならないのは、これまで通りという惰性を廃して、本当の呼び名で物事を説明することです。

 今日のジョージ・オーウェル的な世界においては、核攻撃による瞬間的な壊滅の脅威は「抑止」と呼ばれ、お互いに対する恐怖は「安定」と呼ばれています。「軍縮」は通常であれば削減を意味しますが、核戦力の廃絶というより近代化を意味するものでもあります。我々は、この不誠実で偽善的な詭弁をやめなければなりません。

 次に取り組むべき優先課題は、全ての核兵器の完全で最終的な廃絶に向けて宣言し、断固たる行動を取ることです。これを信頼できるものとするためには、廃絶を確実に実現する野心的かつ現実的な期日を設定する必要があります。

 私は広島市長、長崎市長そして世界中の多くの協力者とともに、1945年の原爆投下から75年目を迎える2020年までに、核兵器のない世界を実現するという呼びかけを支持します。日本と広島市長、長崎市長は、核保有国にこれを求める道義的な権威を持っています。

 最後に、必要となる世界的な取り組みを継続するためには、以下のことが不可欠であると申し上げたいと思います。それは、全ての国に等しく適用される新しいルールを含め、公正さを高めること、そして全ての国の人々の正当な安全保障上の利益を高めるべく、透明かつ公平に機能するように様々な仕組みを改革することです。