2009.6.15
オバマ政権と核兵器廃絶<参考資料>

ローズ・ゴットモーラーの声明 2010年NPT再検討会議 準備委員会
「インド、イスラエル、パキスタン、北朝鮮はNPTに署名すべき」


 2009年5月4日から2週間にわたって開催されたNPT(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)の2010年再検討会議準備委員会の2日目、アメリカ代表の国務長官補佐官、ローズ・ゴットモーラーの出した声明はちょっとした驚きだった。「インド、イスラエル、パキスタン、北朝鮮」にNPT加盟を呼びかけたのである。インド、パキスタン、北朝鮮はともかく、国際会議の場で、正式なアメリカ代表が、「イスラエルは核兵器保有国」であることを認めたのは、これがはじめてではないではないだろうか?オバマ政権になって中東政策が大きく変更されつつあることの反映だが、一方で「核兵器廃絶」にとっても大きな意味がある。核兵器廃絶のためには「核兵器保有国」を特定する必要があるからだ。イスラエルは今でも自国が「核兵器保有国」であることを認めていない。これまでアメリカもそのイスラエルの立場を認めてきた。広島の平和記念資料館(原爆資料館)の展示でも、イスラエルが核兵器保有国かどうかは未確認だとして、つい最近まで、イスラエルを核兵器保有国として表示してこなかった。いわばイスラエルが核兵器保有国であることは「公然の秘密」であった。しかし、今やもう秘密でもなくなった。

 5月5日の「ゴットモーラー声明」はオバマ政権の、2010年NPT再検討会議に臨む姿勢を判断する意味で重要である。全文翻訳をしておきたいと思った所以である。
<http://www.un.org/disarmament/WMD/Nuclear/NPT2010Prepcom/
PrepCom2009/statements/2009/05May2009/05May2009AMSpeaker-4-USA.pdf>
 

 最初にローズ・ゴットモーラー(Rose Gottemoeller)という女性について触れておきたい。オバマ大統領は、09年4月6日正式に、ゴットモーラーを、国務長官補佐官に任命した。すでに3月指名は行われていたものの、上院の承認事項であるため、上院外交関係委員会での承認を経て、任命となったもの。担当は「査察・法令遵守・実施」である。

 正式な肩書きは、Assistant Secretary of State for Verification, Compliance and Implementation。
<http://www.state.gov/r/pa/ei/biog/121630.htm>

 なお彼女の肩書きを「国務次官補」としたものが多いが、国務長官補佐官である。彼女の担当部署、国務省査察・法令遵守・実施局の担当はこれまで国務次官(Under Secretary)の一人が担当していた。

 ゴットモーラーはジョージタウン大学を卒業、ジョージ・ワシントン大学で修士を取得している。その後恐らくは外交問題評議会の研究員の職を得たのだろうと推測される。英語wikiの記述
<http://en.wikipedia.org/wiki/Rose_Gottemoeller>では、外交問題評議会の国際関係担当の主任研究員(Fellow)だった、と書いている。戦略問題のシンク・タンク、ランド・コーポレーション(Rand Corporation)にもいたという。外交問題評議会で実績を積んで、政官界に華々しくデビューするというパターンは例のヘンリー・キッシンジャーでおなじみだ。彼女が登場するのは、イギリスの国際戦略研究所の副所長をつとめた時だ。その後アメリカへ戻って、1993年から1994年まで国家安全保障会議(National Security Council)の、ロシア・ウクライナ・ユーラシア担当の責任者(director for Russia, Ukraine and Eurasia Affairs)となった。この時の彼女の大仕事は、ソ連崩壊後、ベラルーシ、ウクライナ、カザフスタンに置き去りにされた旧ソ連の核兵器の始末である。ロシア側と協力して、これら核兵器を完全廃棄処分とするか、ロシアに引き渡すまで担当した。この時彼女は核兵器問題の専門家のキャリアに加えロシア問題の専門家として評価を確立したのだと思われる。ちなみにロシア語は非常に堪能だそうである。

 1997年、エネルギー省の不拡散・国家安全局長に就任する。その後エネルギー省では、核兵器問題の専門家として、不拡散・国家安全担当の長官補佐官、防衛核不拡散担当の副次官(Deputy Under Secretary)に就任。その後カーネギー・コーポレーション(日本語ではカーネギー財団と訳されている)に移って、06年から08年の間、カーネギー・モスクワ・センターの所長を務めた。
 
以上はアメリカ国務省のサイト:<http://www.state.gov/r/pa/ei/biog/121630.htm>、カーネギーのサイト:<http://www.carnegieendowment.org/experts/index.cfm?fa=expert_view&expert_id=101>、英語Wikipedia:<http://en.wikipedia.org/wiki/Rose_Gottemoeller>などによる。)

以下は、2009年核兵器不拡散条約2010年各国再検討会議(いわゆる再検討会議)・準備委員会(いわゆる準備会合)・第三セッション、一般討議(General Debate)におけるローズ・ゴットモーラーの声明である。

(*青字)は私の註かコメント。見出しは原文のまま。


<追加註>2009年9月13日

私は、全くうかつで杜撰な話でお恥ずかしい次第ではあるが、アメリカがNPTの追加議定書を09年1月に正式に批准していたことを知らなかった。オバマのプラハ演説でも触れてなかったし、ゴットモーラーの声明でも触れてなかった。スーザン・バーク(アメリカ大統領特別代表<核不拡散担当>のジュネーブ安全保障政策研究所における講演のテキストを読んではじめて知った。

この「批准」の説明については、核不拡散科学技術センターの『核不拡散ニュース No.0116』
<http://www.jaea.go.jp/04/np/nnp_news/0116.html>が圧倒的に優れている。それによると、

 2008年12月30日、米国が追加議定書の批准書に署名し、翌年1月6日、同議定書は発効した。米国の追加議定書は、「国家安全保障除外」(National Security Exclusion)と「管理されたアクセス」(managed access)の適用についての米国の権利が明文化されており、他の核兵器国の追加議定書には見られない目立った特徴といえる。

 他方、「補完的なアクセス」の中に「環境試料の採取」条項を非核兵器国並みに含めてはいるが、その実効性は疑問と言わざるを得ない。

 米国の追加議定書の批准は、追加議定書未批准国(イラン、北朝鮮、インド、アラブ首長国連邦等)における追加議定書の適用を促す政治的な狙いの他、IAEAによる未申告活動の検知能力向上への貢献が目的といえる。

 しかし、適用に際しては事実上大きな制約が課せられており、米国の追加議定書の適用がねらい通りの効果をあげられるかは不明である。』

と【概要】は説明している。なお解説記事は政策調整室の濱田という人のようだ。

 これで、予告なしの査察権限を認める追加議定書を、NPTが確認する5つの核兵器保有国すべてが批准し、効力を持つ事になり、大きな前進といえる。ただ、濱田の解説記事に詳しく述べられているとおり、アメリカの「批准」は特異である。まずアメリカの国家安全保障に関わる案件については、アメリカは査察を拒否できる。また環境資料の採取についても、実質的には認めなくていい内容になっている。またアメリカが「テロ支援国家」と認定する国の国籍を持つ査察官が、査察に来た場合、アメリカは拒否する事ができる等々、余りにも付帯条件が多すぎる。政策調整室の濱田は、これは追加議定書をまだ未批准の国に対して、批准を促すことが狙いの一つと解説しているが、濱田も云うとおり、この内容で説得力があるのかどうかは大きな疑問である。言い換えればこれは『形ばかりの批准』で実質を伴っていないという事でもある。

<以下本文>


「 ありがとうございます。議長。合衆国を代表して、今年の重要な核不拡散条約(NPT)(*原文はNuclear Nonproliferation Treaty )準備委員会会合の議長の選択に祝福されている各国代表団に、賛同する私の声を付け加えさせていただきたい。さらにこの会合の成功を確かなものとするため、アメリカ代表団は完全な協力をすることを保証したいと思います。私の話を進める前に、アメリカ大統領バラク・オバマのメッセージを読み上げたいと思います。


 『 1ヶ月前、プラハで私は核不拡散条約(*原文はNuclear Non-Proliferation Treaty)に対するアメリカのコミットメントの重要性を再確認いたしました。
(* 「オバマのプラハ演説」:<http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/obama/obama_03.htm>

 その時も云いましたように、アメリカはNPTのフレームワークは健全であると信じています。:核兵器保有国は核軍縮へむけて動く。非核兵器保有国は核兵器を保有しない。そして全ての国は平和的核エネルギーを利用できる。

 このフレームワークに賛成する一方で、私たちは核兵器と核テロリズムの脅威に効果的に対処するため、NPTを強化しなければなりません。NPTに関する法令遵守と査察の改善のため、また全ての国家による核エネルギーの使用に対応しもっとも広い可能性を育むために今行動を起こすことが求められています。

 核兵器のない安全で平和な世界を追求するため、私は、プラハでこの方向へ向かって初期的ないくつかの段階にアメリカが深く関わるともうしました。協力と共通の理解を通して、私たちはNPTのいくつかの柱を強化し、その信頼性と効力を恢復することに希望をもっています。

 違いは不可避的です。またこの条約の参加国は、の一つ一つの要素に関して全く同じような見解を抱くことはできません、私はこのことをよく分かっています。しかし私たちは、違いによって自らの態度を決めるのではなしに、対話を追求することに道を開くことによって、またNPTが国際平和と安全保障に貢献することを忍耐強く追求することによって自らの態度を決めなければなりません。

 繰り返しになりますが、よりよきまたより安全保障が確立された未来にむけて努力されるみなさんに、私の感謝を受け入れていただきたい。会議が成功されんことを願ってやみません。』

(*   このメッセージは、オバマのプラハ演説の繰り返しである。いくつかの基本的問題点をオブラートに包んだまま、オバマは「核兵器のない世界」の実現を力説する。

 第一の問題点は、「核兵器の脅威」は一体どの方向からやってきているのか、と言う点である。オバマは躊躇なく「核テロリズム」だという。しかしわれわれ地球市民の立場すれば、躊躇なく「核兵器保有国」だという。実戦配備の核兵器を含め、全世界に存在する核兵器は、既存核兵器保有国、米ロは95%以上を配備または保有または貯蔵している。素直に考えて、この事実こそ、「脅威」である。

 しかし、オバマにとって、この事実は脅威ではない。歴代大統領が明言している如く、オバマにとっても、守るべきは「地球全体」ではなく「アメリカ」である。このオバマの立場からすれば、自国の核兵器や話し合いのできるロシア、中国の核兵器は本質的には脅威ではなくなっている。もっとも「脅威」は、自らのコントロールが効かない「核テロリズム」である。このオバマの立脚点は、先のプラハ演説でも、このメッセージでも表面覆い隠している。従って「核兵器のない世界」を実現する第一のステップは、「即時核兵器廃棄ではなく、核兵器をテロリストの手に渡らないようにすることだ。」という論理構成になる。オバマは核兵器廃絶そのものは、自分が生きているうちは実現しないだろう、とも云っている。よく彼の主張が実現する世界を考えてみると、その世界は「核兵器のない世界」ではなく、「核兵器独占の世界」ということになる。

 第二の問題点は、NPTに対する姿勢である。NPT体制の骨子はこのメッセージでオバマ自身が要約しているとおりである。この骨子には「核テロリスト」たちの存在はまったく想定されていない。主権国家のみが想定されている。従って、NPT体制の強化とは、先の3つの骨子の徹底化に他ならない。NPT体制の強化と核テロリストとは本質的に全く関係がない。しかしオバマの論理は、「核テロリズム」を防ぐために、NPT体制を強化する、という構成になっている。「核テロリズム」が本当の問題ならば、NPT体制の枠外で実施すべきなのに、本質的に関係のないNPT体制の枠内で実施しようとすれば、なにが起きるか?それは恐らくNPT体制の強化ではなく、NPT体制の変質であろう。

 第三の問題は「テロリスト」なるものは、地球全体の脅威として本当に存在するのか、という根本的疑問である。この問題が大きくクローズアップされたのはいうまでもなく9・11である。9・11の犯人像は、いまだに明確ではない。アメリカ政府が犯人として特定したグループや人物像は、時が経つにつれて曖昧模糊となる。パキスタンや中東のテロリストは実はテロリストと呼べる実態はなく、反政府軍あるいはグループに過ぎない。ないものをあるかのように、あるいは誇張して「脅威」として仕立て上げている、という疑いは消え去るどころか、時間が経つにつれ大きくなっている。

 以上の三点は、一つの疑問を構成する3つの要素だ。その疑問とは、「オバマは核テロリズム口実として、NPT体制の変質を狙っているのではないか、そしてそのあらたな体制の下で、核兵器による支配を恒久化しようとしているのでないか。」というものである。)


   さらに私は、アメリカはこれらの項目に力点をおくに際して、バランスを反映した再検討プロセスを追求するつもりだ、と言う点を付け加えたいと思います。それでは一つ一つの項目について申し上げたいと思います。」


軍縮(Disarmament)

議長。軍縮及びオバマ大統領がプラハで概括したNPT第6条(Article Y)の到達目標へいたる具体的ステップについて詳述させてください。

NPTの第6条、原文は次。

Article VI
Each of the Parties to the Treaty undertakes to pursue negotiations in good faith on effective measures relating to cessation of the nuclear arms race at an early date and to nuclear disarmament, and on a Treaty on general and complete disarmament under strict and effective international control.

<http://www.un.org/events/npt2005/npttreaty.html>
締結国の誠実な核軍縮交渉の義務、を明記した条項。

 しかしオバマが「核兵器のない世界を」を目指し、その文脈で核軍縮を語るのであれば、ここでNPT第6条を単独で持ち出すのはおかしいと誰もが感じるであろう。「最終的核兵器廃絶条項」を含んでいないからだ。この条項は1995年のNPT運用検討会議で更に進化を遂げている。この時、「核不拡散と核軍縮のための原則と目標に関する決定」が行われ、核軍縮について、96年までのCTBT交渉完了とそれまでの核実験の最大限の抑制、カットオフ条約交渉の即時開始と早期妥結とともに、核兵器国による究極的廃絶を目標とした核軍縮努力が謳われた。つまりこの時、NPTは究極的核兵器廃絶を目指す国際条約になっている。それに対して第6条そのものはまだ「究極的核兵器廃絶条項」を含んでいない。)


 最初に、アメリカとロシアは、今から6ヶ月後に効力を失うロシアとの戦略兵器削減条約の更新のための交渉に入ります。プラハで(*オバマ)大統領はこう指摘しました。「今年の末までには、法的にも万全で十分大胆なあらたな合意を追求します。これは、さらなる削減の段階を用意するものとなりましょう。そして私たちは(*メドベージェフとオバマは)この真剣な試みに他の全ての核兵器保有国を含むものとして追求を行います。」

 オバマ大統領とロシアのメドベージェフ大統領は、現在既存の軍備管理条約よりも更に低い削減を達成する新たな条約を指示しています。またこの新たな条約は、START実施の経験から導き出された有効な査察の手段をも含むはずです。2人の大統領は、即時に対話を開始することを指示いたしました。さらにこの7月までに新たな条約へ向けての作業がどの程度進捗しているかについて報告されることになっています。

(* START:Strategic Arms Reduction Treatyについては、日本の外務省のサイトが手際よくまとめている。<http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/beiro/start.html> これによれば、STARTはT〜Vまであるが、結局Tしか発効しなかった。骨子は実戦配備の戦略核弾頭数の総数は6000発に制限され、米ロの核弾頭保有数は、アメリカ:5949発、ロシア:5518発となっており、合計約1万2000発である。これらは2007年までに実施されたと見られる。)


 議長、私はアメリカ国務省の査察・法令遵守・実施担当国務長官補佐官として、私の能力の限り、アメリカ交渉団を率いています。ロシア側の交渉相手と私は4月24日にローマで最初の会合をもちました。そして私たちは、この準備委員会会合が終了すると、モスクワで次の会合を持つ予定にしています。オバマ大統領とメドベージェフ大統領によって設定されたSTARTに続くゴールに向けて、私とアメリカの代表団は全力を尽くすことをここに固くお約束します。

 議長、オバマ大統領はプラハで、アメリカが即座にまた積極的に、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を追求することを確認いたしました。また私たちは、条約が発効するのに必要な国の批准をもたらすための外交的努力を追求します。

(* 包括的核実験禁止条約は、現在180カ国が署名し、うち148カ国が批准している。しかし条約発効要件に別途44カ国の批准が必要としている。いわゆる発効要件国である。この発効要件国のうち、インドネシア、中国、イスラエル、イラン、インド、パキスタン、エジプト、コンゴ、アメリカ、北朝鮮の10カ国が批准していない。中には署名すらしていない国がある。特にイスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮の“札付きワル”4カ国カルテットがやっかいだ。以上は外務省のサイトによる。なお外務省は“札付きワル”4カ国カルテット、という用語は用いていない。<http://www.mofa.go.jp/Mofaj/Gaiko/kaku/ctbt/pdfs/list.pdf>


 オバマ大統領は、またアメリカは核兵器用の核分裂物質の生産を、査察をともなって終了させる新たな条約、核分裂物質カットオフ条約、を追求すると云いました。この条約は、NPT第6条を実現するのに大いに力があるばかりでなく、世界規模で核分裂物質の総量を制限することによって、たとえば南アジアのような地域における軍拡競争の不安定さを、排除するのに助けとなります。またテロリスト・グループによる盗みまたは強奪から核兵器用核分裂物質の安全を構築することにもなります。

 FMCT(核分裂物質カットオフ条約)は軍縮会議においてアメリカが最優先事項におく問題であります。核軍縮会議(*CD=Conference on Disarmament)は、遠くない将来、核兵器に使用しうる、指定された兵器級物質の生産を終了させる交渉を開始する合意に達することができませんでした。そして今が一歩前に進める時です。アメリカはこの問題に関する柔軟性を更新することが、ジュネーブですぐに交渉をすることになると考えています。交渉を成功に導き、FMCTを発効させるに際して、アメリカは、核兵器のための核分裂物質の生産を過去10年間にわたって一方的に停止してきたことを再確認したと思います。私たちは、他の国、特に他の核兵器保有国が、公式に兵器級の核分裂物質をこれ以上生産しないことを宣言するかあるいは確認することを求めます。同様に、CTBTが効力を発揮するまで、アメリカはほぼ20年間にわたる核爆発実験の停止を継続するつもりです。私たちは他の政府も公式に実験しない意図を宣言するかあるいは確認することを求めます。

(*  以上で「軍縮」の項は終わりである。オバマのプラハ演説のときもそうだったが、よくもこれだけ自分に都合のいいことだけを並べたものだと言う気がする。全体を通じていえることは、意図的に「核兵器廃絶」と「核軍縮」を混同しているという点だ。核軍縮は核兵器廃絶とは全く異なる径=pathだということを世界は再確認しなければならないだろう。

 第一のロシアとの核削減交渉。現在世界に存在する核兵器は、ほぼ米ロで独占している。おまけに両国合わせて約6000発の核弾頭が実戦配備されている。これだけで地球を何十回も破滅させるのに十分な数量だ。これが1000発になったところで、核兵器の危険から地球は少しでも救われるだろうか?危険は減るだろうか?6000発の実戦配備はすでに“狂気”である。1000発になったところでその“狂気”は変わらない。しかし米ロ両国は、“核軍縮の成功”として自画自賛するだろう。いわゆる国際世論も褒めそやすかも知れない。しかしこんな“狂気”を評価してはならない。

 第二の包括的核実験禁止条約。この条約が達成するのは地下核実験の禁止だけだ。臨界前核実験や大型コンピュータを使った核爆発シュミレーションは対象外だ。ほとんど全ての国が、物理的な核実験をやめている現状では、実質的意味はない。そうではなく、核兵器の開発につながるすべての実験、シミュレーションを禁止しなければ21世紀的意味はない。もしこの真の「包括的核実験禁止条約」が提案されるなら、北朝鮮は乗ってくるだろう。しかし今のままでは、核兵器開発先進国を利するだけだとして、後発国は乗ってこないだろう。つまりこの条約はすでに歴史的意味を失っている。

 第三のカットオフ条約。ロシアについては調べていないが、アメリカについては、すでに30年近く兵器級核分裂物資の生産をやめている。理由は単純で、作りすぎているからだ。大量の貯蔵をしている。だから今兵器級核分裂物質を生産したいのは、核兵器後進国のみである。カットオフ条約は、結果としては核兵器先進国の“独占性”を高める結果に終わる。もしアメリカがこの問題に本気ならば、生産だけでなく、貯蔵分の廃棄にまで踏み込むだろう。廃棄条項を含むならば、核兵器後進国も条件は平等化できる。

  「核軍縮」一般に「核兵器廃絶性」はない、というつもりはない。しかしアメリカの提案は、ことごとく「核軍縮」から「核兵器廃絶性」を抜き取っている。だから、「やるなら勝手におやりなさい。」という他はない。しかしだからといって「今、世界は核兵器廃絶に向かって進んでいる。」といってもらっては困る。核兵器廃絶は、オバマも、ゴットモーラーも慎重に触れたがらない分野で確実に進んでいる。)


不拡散(Nonproliferation)

 不拡散に話題を移しましょう。議長、私たちの代表団は、核兵器の拡散をとめることが、国際平和と安全保障をそこなわずに、核兵器削減を、自信をもって押し進めることができる、と言う点に注意を喚起したいと思います。

(*  私の読み違いでなければいいが。ゴットモーラーによれば、核兵器保有国が核兵器削減できないのは、核兵器が拡散し続けているからだ、ということになる。しかし本当にそうか?

 NPTが成立した時点で、核兵器を保有していた5カ国以降、核兵器を保有した国は4カ国である。すなわち、インド、イスラエル、パキスタン、北朝鮮である。“札付きワル”4カ国カルテットである。―最近までこれはトリオだったが、めでたく北朝鮮が仲間入りして、カルテットを構成した。

 一方で、核兵器保有をしないと宣言した国は、はるかに多い。思いつくまま並べてみよう。

 まず、たちの悪い西ヨーロッパでもスイス、スエーデン。アフリカでは約50カ国中、2/3が核兵器を持たないことを宣言したか、自国法律で定めている。この中にはリビアも含まれている。特筆すべきは南アメリカ共和国だ。開発、実戦配備までして廃棄した。まさしくノーベル平和賞ものだ。アジアでは、ASEAN10カ国。この地域で特筆すべきはフィリピンである。憲法で非核兵器を明示したうえに、非核兵器法を制定し、核兵器を扱う人間まで含めて詳細な刑事罰まで定めている。それに中央アジア5カ国とモンゴル。オセアニア・太平洋諸国では、核兵器を持たないと宣言できていない国は、いまだに植民地的統治を受けている国を残すのみとなった。ラテン・アメリカ及びカリブ海地域はもっとドラスティックである。メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、チリといったこの地域の大国がことごとく核兵器廃棄を宣言するか、法律で定めた。2002年、キューバも宣言した。この地域で核兵器をもたないと宣言していない国はなんとアメリカとカナダだけ、それにいまだに植民地的統治を受けている地域のみとなった。

 NPT成立後、核兵器を持たないと宣言した国は、核兵器を保有した国より圧倒的に多い。それでもオバマやゴットモーラーは、核兵器は拡散し続けているというのである。そして、その「拡散の現状」を自らが、核兵器を保有し続ける正当性の根拠として使っているのである。)


 この理由は部分的には、NPT加盟国が完全にNPTの義務に対して忠実であるかどうかについて批判があるからです。この話題に関して、オバマ大統領はプラハで次のように云いました。「私たちは国際的査察を強化するための、さらなる当局、さらなる査察の資源が必要です。」
(*  ここの文章は若干曖昧である。というのは“当局”はauthorityであり、“査察の資源”はresourcesである。Authorityは単数形であって、“権威”という意味に解釈することもできる。しかし、国際的査察の絶対的権威当局はIAEAであって、これ以外にはない。だから権威という意味に解釈すると、文章としてはIAEAの権威を高める、とか強めるということになる。後に展開される議論を踏まえて云うと、ここはそう言う意味には解釈されず、IAEA以外の国際的査察当局を造ろうという意味になる。だから“当局”と理解しそう訳した。)


 この当局と査察資源の増強部分はIAEAで行われる必要があります。IAEAのセーフガードシステムは、NPTの不拡散義務の遵守を検証するに際して、極めて活力に富んでおります。

 私たちは、IAEAのセーフガード技術を最新にするために2倍の努力を払う必要がありますし、(*核兵器不拡散)NPTの第3条で要求している包括的なIAEAのセーフガードをまだ実施に移していない条約締結国に確信を持たせる必要があります。私たちはまた、セーフガード合意を定めた追加議定書の全世界的な実効性をもたせることを積極的に追求しなければなりません。

(* NPTの第3条、原文は次。
     Article III
1. Each non-nuclear-weapon State Party to the Treaty undertakes to accept safeguards, as set forth in an agreement to be negotiated and concluded with the International Atomic Energy Agency in accordance with the Statute of the International Atomic Energy Agency and the Agency's safeguards system, for the exclusive purpose of verification of the fulfilment of its obligations assumed under this Treaty with a view to preventing diversion of nuclear energy from peaceful uses to nuclear weapons or other nuclear explosive devices. Procedures for the safeguards required by this Article shall be followed with respect to source or special fissionable material whether it is being produced, processed or used in any principal nuclear facility or is outside any such facility. The safeguards required by this Article shall be applied on all source or special fissionable material in all peaceful nuclear activities within the territory of such State, under its jurisdiction, or carried out under its control anywhere.
2. Each State Party to the Treaty undertakes not to provide: (a) source or special fissionable material, or (b) equipment or material especially designed or prepared for the processing, use or production of special fissionable material, to any non-nuclear-weapon State for peaceful purposes, unless the source or special fissionable material shall be subject to the safeguards required by this Article.
3. The safeguards required by this Article shall be implemented in a manner designed to comply with Article IV of this Treaty, and to avoid hampering the economic or technological development of the Parties or international co-operation in the field of peaceful nuclear activities, including the international exchange of nuclear material and equipment for the processing, use or production of nuclear material for peaceful purposes in accordance with the provisions of this Article and the principle of safeguarding set forth in the Preamble of the Treaty.
4. Non-nuclear-weapon States Party to the Treaty shall conclude agreements with the International Atomic Energy Agency to meet the requirements of this Article either individually or together with other States in accordance with the Statute of the International Atomic Energy Agency. Negotiation of such agreements shall commence within 180 days from the original entry into force of this Treaty. For States depositing their instruments of ratification or accession after the 180-day period, negotiation of such agreements shall commence not later than the date of such deposit. Such agreements shall enter into force not later than eighteen months after the date of initiation of negotiations.
<http://www.un.org/events/npt2005/npttreaty.html>

 要するに4項目から成り立っており、(1)条約締結国のセーフガード受け入れ義務、(2)核分裂物質や核兵器製造に関わる機器などの提供の禁止、(3)第6条の誠実履行義務を前提とした平和利用への協力義務、(4)査察受け入れ協定締結の義務、を規定したものと考えられるだろう。ひとことでいえば、条約締結国はIAEAの定めたセーフガードを誠実に守る義務があるということだ。

 ゴットモーラーのいう、「包括的なセーフガード」というのは、厳密にはこの3条の事ではなく、「抜き打ち査察」を受け入れる「追加議定書」のことではないか?IAEAの査察官の常駐を認め、予告なしの査察を受け入れる追加議定書の締結批准が現在もっとも強力な「包括的セーフガード」だからだ。そう考えると、ゴットモーラーの言い分は随分おかしな事になる。アメリカはこの追加議定書の批准国ではないからだ。自分がまだ締結批准もしていない、“義務”を“条約締結国”に確信させるといっても随分説得力のない話だ。こうしたおかしな論理が、ゴットモーラーの中で論理的だと考えられている理由は、唯ひとつしか考えられない。それはアメリカは特別な存在で、IAEAを超越した存在だ、という強烈な意識だろう。オバマのプラハ演説のなかにもその意識は一貫して流れていた。)


  NPT自身への世界的な遵法性という意味では、インド、イスラエル、パキスタン、そして北朝鮮も含めて、その問題はまたアメリカの基本的目標として依然として残っています。

(*  さらっと挿入されている文言なので、うっかり読み過ごしそうになったが、私は目を剥いた。随分婉曲な表現なので、わかりにくいが、NPT強化のためには、インド、イスラエル、パキスタン、北朝鮮の核兵器保有国をNPTに加盟させることが必要だ、それはアメリカの基本的目標だと、いっているのである。これは、NPT以外の核兵器保有国にNPT加盟を促す文言として読むこともできるし、アメリカの意思表明として受け止めることもできる。もちろんこの4カ国をわざわざ名指ししたのも、別段核兵器保有国と特定したわけではない、NPT以外の有力国だからだ、という言い抜けもあとで準備することもできるだろう。

 しかし、この会合に出席した各国の代表団には、十分にゴットモーラーの意図=オバマ政権の意図は伝わったろう。これまでアメリカは公式に“イスラエル”を核兵器保有国と認めたことはない。イスラエルもいまだに自身を核兵器保有国と認めていない。つまり肯定も否定もしていない。その意味では、この文言はアメリカがイスラエルを正式に核兵器保有国と認めた声明と読むこともでき、その上でこの4カ国にNPT加盟を呼びかけたものだということができる。ちなみにオバマのプラハ演説では、イスラエルについては一言も触れなかった。オバマ政権はNPT体制強化について本気だと評価せざるを得ない。このゴットモーラーの、うっかり読み過ごせば、なんということもない文言にもっとも激しく反発したのは他ならぬイスラエルだった。イスラエルの反発については、別途<参考資料>「イスラエルの反発」を掲載するのでそちらで参照して欲しい。

 もうひとつ興味深いのはこの4カ国の順番である。インドが核実験に成功したのは1974年である。パキスタンが核実験に成功したのは、1990年代の後半とされている。しかし、何故かインドとパキスタンは同じ時期に核実験に成功した、という説が日本語メディアでは流布している。(たとえば<http://ja.wikipedia.org/wiki/インドの核実験_(1998年)>。これも良く読めば1974年に核実験を行った、と書いているのだが・・・)。問題はイスラエルがいつ実験に成功したかという点である。これにはいまだに定説がない。しかし、この順番を見てみるとアメリカは正確にこの4カ国がいつ核実験に成功したかを知っていると推測される。誰かゴットモーラーに会う人がいたら、是非ともなぜこの順番に並べたかを聞いて欲しいものだ。)


 こうしたルール破り乃至は理由なしの条約からの撤退(*北朝鮮はNPTに加盟していた。)の結果についてもまた指摘されなければなりません。オバマ大統領がプラハで、「ルールは守られなければなりません。ルール違反は罰せられなければなりません。言葉は何か意味あるものでなければならないのです。世界はこうした兵器の拡散を防止するためしっかり共に立たねばならないのです。」といいました。アメリカの代表団は、NPT条約締結国こうした条約違反国に対する効果的な結末をさらに進展させるために協働する道を提議し、考えていくだろうと期待します。

(* オバマのプラハ演説では、北朝鮮の人工衛星打ち上げ非難のすぐ後にこの文言がおかれていた。だから誰もこの文言はルール破りをしたのは北朝鮮のことだと思った。ルール破りをしたのは、この4カ国全てを指すのだとは知らなかった。北朝鮮だけを指すのが本音なのか、4カ国全部を指すのが本音なのか。)


  (*核兵器不拡散)条約の基礎は、われわれが追加の、また補足の手段を追求することによって強化されます。またこうした手段にはわれわれがリードしようとしている世界中の核物質が十分に安全であるかあるいは全くなくなるような手段や完全に平和目的のためだけの核物質や技術の国際的商業取引が保証されるような手段を含みます。このような努力は各国に拡散が防止されるのに役立つばかりでなく、テロリストが核兵器を入手すること、これは地球的安全保障にとって最も緊急でもっとも大きい脅威でありますが、を防止するのに役立ちます。これらの危険性について、オバマ大統領は、1年以内にアメリカが主催する「核の安全保障に関するグローバルサミット」を開催することを発表しています。

(* オバマのプラハ演説でも指摘したが、NPTを強化するといいながら、いつの間にかアメリカが主催する、NPT以外の国際的合意や国際的協議を設けようという意図がここでもあけすけに語られている。これはブッシュ政権の時にすでに構想されていたもので、核兵器政策に関する限り、ブッシュ政権とオバマ政権は切れ目なしに続いている。変わったのは言葉の使いかたで、中身は一貫して同じ政策が流れていると見るべきだろう。逆にここを精査していけば、“核兵器のない世界”を標榜しつつ、実際になにを狙っているのかが明らかになるだろう。)


 
核エネルギーの平和的利用(Peaceful Uses of Nuclear Energy)

 議長、第三の、NPTの骨子は核エネルギーの平和利用であります。誤解のないようにしておきましょう。アメリカは核エネルギーの平和利用から受ける便益について全ての各国が権利をもっていることを完全に認識しておりますし支持してもおります。オバマ大統領がプラハでいっております。「ルールに従って行使される各国の権利を否定するならば、どのようなアプローチも成功しないでしょう。」ルールとは、もちろん条約の不拡散義務を含みます。

 1950年代に原子の平和利用計画がスタートして以来、アメリカは人類の利益に寄与する核エネルギーの使用に関する地球的な協力における一貫したリーダーでありました。われわれは引き続き、もっとも高い安全性と基準のもとに核エネルギーの平和的利用を適用する国際的な協力に関して、IAEAを通じまた双務的に、相当な資源を貢献していくつもりです。われわれは、長い間、第6条の権利を実際に各国が行使できるように協力してきた最大の貢献者であったことを誇りに思っています。

 議長、オバマ大統領はプラハにおいて次のように宣言しました。「気候変動に対する戦いのわれわれの努力を代表して核エネルギーの力を牽引していかねばなりません。」大統領はそれを“民生用核協力のあらたなフレームワーク”と呼び“国際的燃料バンクを含むものであり、その結果各国は核拡散の危険なしに核の平和利用を享受できる”ものと形容しました。IAEAのメンバー国は今や国際的燃料バンクの設立を考慮しつつあります。またそのためにアメリカ政府は新たに5000万ドルの拠出を使用としています。この燃料バンクは各国の原子力計画を目的地に導き、あるいは拡大させるものであり、商業的な供給が枯渇した時でも、信頼のできる原子炉用燃料を、核不拡散の義務にそって購入のできる完全に法令遵守の道であります。またこれは、核エネルギーの平和利用を享受するために高価なウラン濃縮設備や再処理設備を購入する必要がないということでもあります。

(*  もう大体、彼らの狙いは明らかになってきただろう。2004年、ジョージ・ウォーカー・ブッシュが米国防大学で、「非核保有国は、核技術を保有したり設備したりすることはない。買ってくればいいのだ。そして核エネルギーの消費をすればいい。」と述べたことを思い出す。)


結論(Conclusion)

 議長、この準備会合と来年の再検討会議におけるわれわれのもっとも大きな関心事は、この条約を強化するためいかに共に行動するかということでありますが、参加国はまた、過去最近の出来事に関して適切な見直しをする必要があるだろうとも思います。私たちの代表団はこの機会に、この条約を無期限に延長することを決定した1995年のもっとも重要な決断を再確認するばかりでなく、その年に決定した他の重要事項についても再確認したいと思います。すなわち、2000年にも行われた中近東決議であります。これらの決定が行われてからすでに何年も経過しました。しかしどのような観点からも、今日NPTの実施が適切と思われる課題が残っております。グローバルな状況が大きく変化したにもかかわらずにもです。

 議長、私は、オバマ大統領がわれわれの違いに焦点を当てるのではなしに、条約の項目すなわち、不拡散、軍縮、そして核エネルギーの平和利用に関しての共通の目的を推進するためにいかに協力し、いかに合意に達するかと言う点に焦点をあてるべきだと指摘した点に、注意を払っていただくことを希望します。

 来年の再検討会議のためのこの準備会合において、手早くこのように過程的調整を行わせてください。こうすることによって、世界の平和、安全保障、繁栄にとって極めて重要な基本的課題にわれわれ全員が追求する方向に向かうことができます。

 ありがとうございました、議長。』


(*  極めて興味深いまとめだった。オバマのプラハ演説では、本当に“核兵器の廃絶”を目指しているのか、それとも“核軍縮”が目的なのか、巧妙に言葉を操っているので、見定められなかったが、ゴットモーラーは明確に“不拡散、軍縮、そして核エネルギーの平和利用”とまとめてくれた。従って、核軍縮を義務づけた第6条にばかり言及し、核兵器廃絶を義務づけた1995年再検討会議における決定に全く触れようとしないことも理解できた。

 次には、来年の再検討会議においてアメリカが何を主要議題として提示するかも明確になった。つまり核エネルギーの平和利用を、完全な「核技術保有国・核技術生産・供給国」と完全な「核エネルギーの消費国」に分けようというプランだろう。IAEAの報告によれば2050年までに、世界の人口増加とエネルギー需要の激増に対応するためには、約2000基の原子力発電所が必要になるということである。つまり、地球温暖化現象対策としても、原子力の平和利用市場は莫大な需要になる。アメリカはこの市場をコントロールしたいという事だろう。)