(2010.8.22)
【ヒロシマ・ナガサキ関連】

<参考資料>「核密約」報告書公表に関するヒロシマ・ナガサキ声明(2010年3月29日)

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 「非核三原則の厳守・法制化を求める広島・長崎連絡会」が、3月1日に出した「非核三原則の法制化を求めるヒロシマ・ナガサキ声明」(正式には「日本政府が非核三原則を厳守・法制化し、核兵器廃絶の先頭に立つことを求める声明」<http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/hiroshima_nagasaki/2010_0301.html>に続く第2弾である。この間、外務省の内部調査チームが「調査報告書」を提出したのが2010年3月5日<http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mitsuyaku/pdfs/hokoku_naibu.pdf>、続いて北岡伸一を座長とする「有識者委員会」が報告書を3月9日<http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mitsuyaku/pdfs/hokoku_yushiki.pdf>に提出している。またこの文書は、前回同様「内閣総理大臣 鳩山由紀夫」、「外務大臣 岡田 克也」、「防衛大臣 北沢 俊美」、「官房長官 平野 博文」あてに送付されている。

 予想はしていたとはいうものの、ここまであけすけに「密約」があった、といわれるとこれまで「広島」「長崎」の平和式典で、歴代首相が「非核三原則堅持」を言ってきたことは一体何だったのか、と先ず怒りをあらわにする。

 そして首相鳩山が「非核三原則堅持」を言明し、外相岡田が「核艦船の一時寄港は核持ち込みにあたる」と言明しても、それは信用できない、何故ならば外相岡田は「核艦船の一時寄港は核持ち込みにあたる」と言ったその舌の根も乾かないうちに「密約解明は日米安全保障体制の運用に影響を及ぼさない」と述べているからだ。これまで「密約」があって、それが明らかになった上で「日米安保体制の運用に影響がない」ものだとすれば、それはひとつのことしか意味しない。 

 すなわち、日本政府としては、アメリカが「核の一時持ち込み」これまでしてきたか、あるいは今現在しているか、あるいは将来もするか、に関しては一切あずかり知らない、ということを意味している。しかも外相岡田は「私は核の抑止力を肯定している」というのだから、間接的に「一時持ち込み」が行われていることを認めたも同じだ。

 だから、この声明文は、『これらの発言は、非核三原則堅持の前述の首相及び(岡田)自身の約束とは絶対的に相容れないものである。』と舌鋒鋭く迫っている。

 それでは岡田は自身の発言の矛盾をどう取り繕うかというと、『米国が核政策を変更した1991年以降、持ちこみはないと考える。いまそれが具体的に問題になることはない。持ち込みが将来あるとは考えていない』と自身の希望的観測の世界に逃げ込むしかない。つまり政治家の責任放棄である。

 しかもその岡田は『国民の安全が危機的状況になってもあくまで(非核三)原則を守るのか、例外をつくるのか、鳩山政権として将来を縛ることはできない』、『一時的寄港を認めないと日本の安全を守れないという事態がもし発生したとすれば、そのときの政権が政権の命運をかけて決断し、国民のみなさんに説明するということだと思う』と言明し、要するに「非核三原則」を日本の国是とする意志のないことを明らかにしている。(現在は、鳩山政権は倒れ、早くも菅直人政権である。)

 ならば、とこの声明は次のように要求する。

 国民的な総意を反映し、政権交代によって揺るがされることのないよう、厳格な非核三原則の法制化を実現すること。』

 そして返す刀で、非核三原則を実質「非核2.5原則」に、日本の世論を誘導しようとする日本の主要ジャーナリズムの体制翼賛体質に関して、日本の市民対して警告を鳴らし、こうした問題の根源である「日米安保体制」に大きな疑問を呈している。

 私個人は、被爆地「ヒロシマ」と「ナガサキ」が連携して、「日米安保体制」の問題にまで踏み込めば、「核兵器廃絶問題」を巡ってアメリカを始めとする核兵器国と激しいつばぜり合いを演じている世界の非核兵器諸国(その主体は非同盟諸国だが)にとっては、最大の援護射撃だし、アメリカ・オバマ政権にとってはもっとも恐るべき危険な「時限爆弾」だと思う。またまた能書きが長くなって申し訳なかったが、安保体制賛成反対にかかわらず、「核兵器廃絶」を願う日本の市民必読の声明である。(最近になってわかってきた・・・)


 
事前協議制の積極的活用、非核三原則の法制化実現を求める有識者委員会の「核密約」報告書公表に関する声明

2010年3月29日
非核三原則の厳守・法制化を求める広島・長崎連絡会

 核問題の専門家の間では、かねて米国側の情報公開や元政府高官談話などによって、「核持ち込み」の事前協議の対象に関する日米間の取り扱いに明らかな違いがあることは分かっていた。しかし、釈然としない区分ではあるが、「暗黙の合意」として広義というにせよ、「密約」があったと認定した報告書を読むと、改めてやりきれなさと強い怒りがこみ上げてきた。原爆が投下された8月6日及び9日に広島、長崎において、歴代首相が「非核三原則の堅持」と誓ってきたことは何だったのか。許せない。これがヒロシマ、ナガサキの声である。否、叫びである。

 報告書を公表した9日、鳩山首相は、非核三原則を「これまでどおり堅持する。変える必要はない」と言明した。岡田外相はさらに踏み込んで、「“核艦船寄港は核の持ち込みにあたる”との政府の考えは変えない」とし、非核三原則を「鳩山政権は見直さない」と明確に述べた。歴代政権のうそを確認させられた私たちは、日本政府の今回の明確な約束を決して忘れないし、二度とうそでごまかされることを絶対に許さない。

 しかし、核密約によって裏切られたヒロシマとナガサキはもはや、二人の約束を軽々に信じて、沈黙を決め込むわけにはいかない。次の点をはっきりと指摘しないわけにはいかない。

 すなわち、岡田外相は、非核三原則厳守を言うと同時に、一時寄港が核持ち込みにあたるかどうかに関して「日米で解釈が異なることが明確になった。核の持ち込みがなかったとは言い切ることができない」ことを認めておきながら、「密約解明は日米安全保障体制の運用に影響を及ぼさない」(強調は原文。以下同じ)、アメリカの核兵器の持ち込みについて確認も否定もしない(いわゆるNCND)政策については「米国の判断として理解している」、「私は核の抑止力を肯定している」ことを公然と口にした。これらの発言は、非核三原則堅持の前述の首相及び自身の約束とは絶対的に相容れないものである。

 この絶対的矛盾を取り繕おうとする岡田外相の唯一の根拠は、「米国が核政策を変更した1991年以降、持ちこみはないと考える。いまそれが具体的に問題になることはない。持ち込みが将来あるとは考えていない」ことに尽きる。しかし、国際情勢または米国の政策が変化する場合にはどうなるかという当然の質問・疑問に対しては口を濁して答えない。そもそも、「鳩山政権は見直さない」と言うが、すでに基盤が動揺を深めている同政権が未来永劫に続くはずはない。

 さらに岡田外相はその後国会答弁において、「国民の安全が危機的状況になってもあくまで(非核三)原則を守るのか、例外をつくるのか、鳩山政権として将来を縛ることはできない」、「一時的寄港を認めないと日本の安全を守れないという事態がもし発生したとすれば、そのときの政権が政権の命運をかけて決断し、国民のみなさんに説明するということだと思う」とまで述べるまでになった。いかなる「危機的状況」が起こるのかを説明もしないでいたずらに危機感をあおり、国民的総意に基づいて「国是」として確立している非核三原則の修正をあたかも当然視する姿勢は厳しく批判されなければならない。

 核密約の存在が明らかになった今、そして、岡田外相の無責任を極める発言を前にして、私たちは民主党政権が、私たちの重大な懸念を払拭するため、直ちに次の行動を取ることを要求する。

 @ 事前協議制度を積極的に活用し、米国の艦船、航空機が核兵器を搭載したまま、寄港、立ち寄り、領域通過をしないことを確保すること。これは、鳩山政権の決意次第で直ちに実行できることである。
 
 A 国民的な総意を反映し、政権交代によって揺るがされることのないよう、厳格な非核三原則の法制化を実現すること。これは鳩山政権の一存ではいかないが、同政権は民主党及び連立与党が多数を占める立法府である国会に直ちに働きかけ、誠意をもって実現に取り組むべきである。 

 私たちは、最後に、民主党政権が世論を侮ることのないよう警告を込めて、すべての人々に対し、次の2点を明らかにしておきたい。 まず、私たちは、今回の報告書に関する主要メディアの報道姿勢及び論調の多くに対して重大な懸念をもつ。
 
 特に、ヒロシマ、ナガサキの声をことさらに無視し、核抑止力を肯定・当然視し、非核三原則を2・5原則化すべきというたぐいの主張を掲載すること等により、国民世論を誘導しようとしているとさえ疑われる主要メディアのあることを批判せざるを得ない。私たちは、まなじりを決し、腰を据えて、日本政府及びその種の主要メディアに対する厳しい監視を行っていく決意である。

 次に、核密約と普天間基地移設問題に代表される在日米軍再編計画は、日米安保体制に起因するという点で同根である。総論として日米安保には賛成という世論が多数を占める中で、普天間基地移設先の候補に挙げられた地域はすべからく猛烈な反対という各論的状況が厳然としてある。
 
 しかし、核密約についても、同じことが起こる現実的可能性があることについては、人々はほとんど知らされていない。日米安全保障協議委員会(いわゆる「2+2」)の合意により、日本国内のすべての民間港湾及び空港は米軍に提供されうることになっている。今日の横須賀、佐世保は明日の我が身である。普天間問題を自らの問題と受け止めるものは、核密約についても同じ受け止め方を我がものとすることが切実に求められている。本当に日米安保体制は必要なのか。私たちは、すべての人々に対して、この根本的な問題に目をそらさず、しっかりと向き合うことを呼びかける。