(2010.4.17)
<イラン核疑惑>関連資料

テヘランで反核サミット開催−
「みんなのための原子力エネルギー、だれのためでもない核兵器」

 イランは外相レベルの「反核サミット」を4月17日(土)18日(日)の両日テヘランで開催する。この記事はイラン国営テレビ「プレスTV」(Press TV)の4月16日(金)の電子版。(<http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=123491&sectionid=351020101>)。

 実際にどれくらいの国が参加し、どのレベルの人たちが集まるかは不明。このプレスTVの記事では、「各国外相あるいは高官クラス、それに各国NGOや国際団体が60カ国」としているが、「イスラム・イラン共和国放送」では、「外相あるいは政府高官35カ国としている。(<http://english.iribnews.ir/newsbody.aspx?ID=7460>)。「核兵器国」イスラエルを念頭に「核兵器のない中東世界」のための話し合いが目的のように思われる。

 しかし、同時に「核テロリズム」を口実に、新興国や途上国から「原子力エネルギー開発の権利」をとりあげ「結果の利用」の権利だけに限定しようというオバマ政権の「核政策」に反対する諸国が中心的参加国であろうことは間違いない。5月のNPT運用再検討会議を前に、刻々その争点があきらかになりつつある、という感じだ。なお、この記事の最後に、イランの外相マノウシェール・モッタキがある宗教的集会で演説した内容を紹介した、同じく4月16日付けの「プレスTV」の記事(<http://english.iribnews.ir/newsbody.aspx?ID=7460>)を追加しておく。この演説の中で、モッタキは「核兵器保有国は信用できない。」といっている。私も同感である。

テヘラン・サミット「核のない世界」を主張
イラン国営テレビ「プレスTV」(Press TV)4月16日(金)電子版
<http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=123491&sectionid=351020101>

 テヘランは非核国際会議を準備中であるが、イランの高官は「世界中で核軍縮」を促進するための話し合いが目的である、と語った。

 2日間の会議は「みんなのための原子力エネルギー、だれのためでもない核兵器」(Nuclear Energy for All, Nuclear Weapons for none)と名付けられているが、今週土曜日に開幕する。

 60カ国以上からの高官や様々な国際組織やNGOからの代表団が会議を担う。イランの当局は、この会議は予想以上に歓迎されていると語った。会議の目的は世界、特に中東世界は「核兵器のない世界」でなくてはならない、というメッセージを送ることが目的だ。

 われわれは、誰でもその見解を述べる事の出来る土台を作りつつある。イランの首都、中東の中心、テヘランから、この世界における極めて微妙な部分(中東のこと)に、核兵器はその居場所はない、という強いメッセージを送り続けていきたい。』

 とイランの副外務相、モハメッド・メーディ・アホンダゼは核会議を前にしてプレスTVに語った。アホンダゼはこのサミットの事務局長であるが、先頃アメリカで開かれた核サミットの影を薄くしてやろうという意図はない、とも語った。

これは(この国際会議のこと)過程であり、目的なのではない。これはワシントンで進行中のことの影を薄くするのが目的だと考える人もいようが、しかしわれわれはそのようには見ていない。』

 アホンダゼによれば相当数の外国高官がこの会議に参加するだろうという。

出席者はわれわれの予測を上回って素晴らしいものに見える。アラブ3カ国の外相の他世界の異なった地域からの外相がこの会議に参加する。』『NGOからは極めて強い提案がなされるだろう。』

 会議はイランの原子力エネルギー計画に対する国連の第4ラウンドの経済制裁が強く押し進められている西側諸国の取り組みの真っ最中に行われる。

 アメリカとその同盟国は、イランが非平和目的の原子力エネルギー計画を追求していると非難する。しかし、イランはこの経済制裁を拒否し、西側諸国はその核兵器敞を廃棄することに焦点を当てねばならない、その核兵器敞が世界平和と安全に対して深刻な脅威として対峙しているからだ。

日本の大手メディアや多くの学者、研究者、政府要人や専門家の見解に反して、私は、「核テロリズム」が脅威なのではない、核兵器保有国の核兵器そのものが、地球に対する最大の脅威なのだ、という主張を繰り返しているが、孤立している。「核兵器廃絶には賛成だが、すぐには難しい。」とわけのわからぬことを言う人が日本には多い。)

 アホンダゼは、イランは大量破壊兵器には強く反対の立場を表明し続けた、化学兵器禁止条約(CWC)の締結には、イランは主要な役割を果たした、いう。

われわれは化学兵器の被害者だ。われわれは、中東も、いかなる個人も、いかなる政府も、いかなる国も核兵器を持って欲しくない。われわれは、これはヒューマニズムに反していると感じている。』
 イランは、イラン・イラク戦争の時、「フセイン・イラク」が使用した大量の毒ガス兵器のため、クルド人とともに多くの犠牲者をだした。現在も多くの元軍人や一般市民がガンなどその後遺症に苦しんでいる。それだけに、日本人の中に強い反核感情があるように、イラン人の中には強い「反大量破壊兵器感情」がある。「フセイン・イラク」に毒ガス原料を供給したのは、アメリカ、西ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、カナダなど西側の化学企業だった。西側諸国はもっと恥を知らなくてはならない。たとえば“Chemical warfare”<http://en.wikipedia.org/wiki/Chemical_warfare#Iran.E2.80.93Iraq_War>の“Iran-Iraq War”の項参照。あるいは<http://www.thestar.co.za/index.php?fArticleId=39470>の“'It's like a knife stabbing into me'”などを参照の事。)

 アメリカは、世界で最も大きい核兵器敞保有国の一つだが、実際の戦争で核兵器を使用した唯一の国である。広島や長崎など日本の都市に対するアメリカの核攻撃から立ち上るキノコ雲は、今なお世界中の人々や政府を苦しめている。

 分析家は、核軍備の脅威をさらに明確にし、そしてそうした軍備から世界が抜け出す方法を探求する、そうした努力は人類を存続させうる、といっている。


モッタキ:われわれは「核のない世界」が必要だ
イラン国営テレビ「プレスTV」(Press TV)4月16日電子版
<http://english.iribnews.ir/newsbody.aspx?ID=7460>

  イランの外務相、マノウシェール・モッタキは、すべての国が核不拡散と核兵器のない世界実現に努力すべきだ、と云う。

 この金曜日(2010年4月16日)、テヘランで、金曜日礼拝者のために集まった信者に向けて話をし、アメリカはその核兵器に関して世界を欺こうとしている、と語った。

 モッタキは、アメリカの核サミットは「見せかけ」であり、「核兵器を保有する諸国には信頼を置くことができないものだ。」と語った。

 第二次世界大戦中、2つの主要都市、長崎と広島にアメリカが投下した原子爆弾、それは22万人の一般市民を殺害したのだが、に触れ、「その後何年も経って、(元アメリカ大統領ドワイト・D)アイゼンハワーは、すべての国は核兵器がない世界を作る努力をすべきだ、と云った。」とモッタキは語った。

 さらに続けて、核不拡散条約は40年前に承認され、3つの主要な課題を含んでいる、それは核軍縮、不拡散、そして原子力エネルギーの平和利用の権利だ、と語った。

今日、世界のリーダー達が核軍縮について語っていることは、完全のアイゼンハワーが40年前にいったこととは違っている。』

 とモッタキは付け加えた。

 イランに関するアメリカ大統領バラク・オバマの声明に触れ、そのような威しをかけることは犯罪である、アメリカはその不正・不徳義について説明しなければならない。

これは、アメリカのNPR=核態勢見直しの発表の際、オバマ政権がイランに対して核兵器を使用することがありうるかも知れない、と語ったことを指している。ただこのNPRもよく読むと、核兵器の使用は何もイランばかりでなく、究極の状況では、アメリカは核兵器を使用する権利を留保する、と云っている。)

 モッタキは西側諸国は不拡散の分野では、なんらの達成も見せていない、と語った。