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第66回広島2人デモ 9月20日報告

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みなさま

毎度毎週お騒がせしております。
第66回広島2人デモのご報告を致します。

バタバタしていて報告が遅れて申し訳ありません。

先に広島2人デモの終了後の話から。
結・広島主催で講演会がありました。
当日の広島2人デモ参加者は9人のうち、8人が講演会に参加しました。

講演会は前米原子力規制委員長、グレゴリー・ヤツコさんと
サン・オノフレ原発を廃炉に導いた市民活動家の一人、トーガン・ジョンソンさんでした。
この講演会の中身はまた別途詳細報告いたします。

この2人は翌日土曜日、愛媛の伊方町の隣の八幡浜市で講演があったのですが
事情があって車で四国までお送りすることになりました。
秋晴れの瀬戸内海を島伝いのしまなみ海道を通って、四国に行きました。

お二人とも瀬戸内海の美しさ、古来より豊かな水産資源、
そしてその瀬戸内海に伊方原発があると言う事実のデタラメぶりを
改めて確認するツアーでもありました。

さて今回の参加者は9人でした。
哲野、網野、東京から参加してくれたハヤキさん、
前から参加したいと言ってくれていたtakuさん
それから、じゃけえさん、大歳さん、の6人で出発しました。

じゃけえ「直前まで30分繰り上げだったことをすっかり忘れてて
     急いできたら、いつもより早く着いてしまいました。」

ハヤキさんは広島に来るのは2回目。
前回も参加することを計画していたら
遊びすぎて間に合わなかったそうです。
今回は30分繰り上げにも関わらず、時間通り現場に登場してくれました。

6人で自己紹介して、出発です。

▼A4版
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20130920_A4.pdf
▼A3版
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20130920.pdf
1-2
3-4

スピーチのトップバッターはいつものように大歳さん。
今日は充分に準備してこなかった、と言いながらも
スピーチしている間にだんだん熱がこもって来たようです。

大歳さんはオリンピック招致劇で生じた汚染水問題に触れました。

大歳「この一定範囲内というのは事故現場の湾内に設置されたシルトフェンス、
    これは水中のカーテンのようなものらしいですが、
    東電が説明するように一日で、中の水の約半分は
    内と外で入れ替わるものなので完全にブロック出来てはいません。
    一日に300t、セシウム、ストロンチウム合計で600億ベクレルが
    一日で外洋に漏れている状況のどこが、
    完全にブロックだのコントロール下にあるだのそういう言葉になるのでしょう。
    これは表現が不適切であるとか、そういうレベル通り越して、完全な嘘です。
    大ボラです。
    他にも健康被害は出ていないやら、
    食品の安全基準は日本が世界一厳しい、であるとか
    調べれば、すぐにわかる嘘を並べています。」

次に哲野にマイクが渡りました。

哲野は新聞マスコミがほとんど報じなかった、そしてきわめて重要な
9月5日全部改正された原子力災害対策指針についてスピーチしました。
この原子力災害対策指針のポイントは苛酷事故時の避難計画とその基準にあります。

哲野「即時避難の基準は1時間あたり500μSvの値になった時は避難をする。
    500μSv/hと表記します。
    空間線量率といわれても、チンプンカンプンですし、
    500μSv/hというのはどういう値なんだろうか?

    極わかりやすくいって、空間線量率とは
    ある一定空間にあるガンマ線を1時間あたりで表しています。
    ですから空間線量率500μSvということは
    500μSvに相当するガンマ線がその空間にありますよということです。

    東電のwebサイトに掲載している
    福島第一原発敷地内の空間線量率を表したサーベイマップというのを
    簡単にまとめてチラシの載せておりますが
    避難基準の500μSvというのは事故を起こした2号機原子炉建屋の
    横のタービン建屋の海側道路で計測されるのが500μSvです。

    これが即時避難の基準だというのです。
    計算してみると、実効線量で一週間で50mSvの予想被曝線量となります。
    チェルノブイリ事故の時、旧ソ連政府はおよそ5mSvを避難基準としました。
    福島事故の時は20mSv以上でした。
    苛酷事故が起るたび、避難の表現はどんどん上がっていきます。」

次にハヤキさんにマイクが渡りました。

ハヤキ「みなさんこんにちは。
    私はいま東京に住んでいるんですが、
    今日はこうして広島で毎週デモをされている方々に敬意を表して
    一度参加したいと思い、こちらに伺いました。

    今は東京に住んでいますが、生まれ育ったところは福島県中通りの須賀川市というところにあります。

    …去年の9月に一人、小児甲状腺がんの子どもが見つかった時に
    悔しくて悲しくて。
    でも先月、8月に最新の県民健康調査の結果では、調査対象が58%にまで増え
    悪性小児甲状腺がんのこどもが18人になりました。

    …子どもたちは校庭でだけ生きているわけじゃありません。
    家にいる時も通学路でも寝ている時も、放射能を吸っています。浴びています。
    でもそうして言葉や数字のちからで、なんだかあやふやにされて
    事故前だったら許されなかったことが、どんどんなし崩しに許されていく
    そうして、いま、こうした甚大な健康被害が起きていても、
    『チェルノブイリの内部被曝の調査結果では、
     小児の甲状腺がんが現れるのは4年後からなので、原発事故とは関係がない』と
    切り捨てられてしまいます。

    なので、こうして隠ぺいされて切り捨てられる原子力事業を
    少しでも危機感を持って見ていただければと思います。
    ありがとうございました。」

ハヤキさんの話を補足する意味で、哲野に「4年の根拠を言って!」と解説させました。

哲野「ただ今、福島県で見つかった甲状腺がんは放射線被曝の影響ではないと切り捨てられたという話がありました。
    その理由は放射能による甲状腺がん発症は、被曝後4~5年してからだと言うのが理由です・・・」

そして、がん発症4~5年後説は、広島・長崎原爆の被爆者寿命調査LSS(Life Span Study)が根拠になっていること
また、LSSが1950年時点で生存している被爆者が対象となっていること
放射線被曝をして4~5年してがんを発症したのではなく、
4~5年して調査を開始したにすぎないこと、
原爆投下直後からがん、白血病患者は数多く居たことは、他ならぬABCCの第一回報告や
その他の報告で確認されていること、
LSS自体がこの点、極めて非科学的な引用のされ方をしていること、
この論法でチェルノブイリ事故死も多くのがん、白血病が放射能の影響ではないとされたこと
福島でも同じ手が使われていることなどを説明しました。

次にマイクが渡ったのはじゃけえさんです。

じゃけえさんはいつものように広島2人デモのチラシを解説し
伊方原発の再稼働反対請願署名の件にご賛同いただければ協力してほしいと訴えました。

じゃけえ「…原発再稼働を容認することは私たちの住む広島から100km圏内にある伊方原子力発電所で
     事故が起こっても構わないと言っているのと同じです。
     事故が起ったら広島で築き上げたものを全て捨てて避難しても構わないと言っているのと同じです。
     広島市議会に伊方原子力発電所再稼働反対の決議を上げてもらうための請願を17日に提出しました。
     一緒に提出した署名は1500筆以上になります。」

じゃけえさんは喋っている時に前方からKさん親子が登場しました。
哲野「よく間に合ったねえ。今日は30分繰り上げているから、仕事終わって急いで来ても
    間に合わないと思ってた」
Kさん「電車1本ミスすると、間に合わなかったけど、ダッシュして乗り込んだ。
    だいたい時間を見ると2人デモがどこらへんに居るかはすぐわかる。」

次に網野にマイクが渡りました。
網野はチラシの内容を紹介し、このところ、南相馬市の街に通って避難の受け入れ活動に
熱心なある友人からきいた話を紹介しました。

網野」…高校生、『私はどうせ子どもが産めないから』と言って自殺した子が出たそうです。
     またその方がマスコミの方から直接聞いた言葉は
     『私たちは福島から出る人間の報道が出来ない。入る人間の報道は出来る。
      自民党政権からこれは報道するなという圧力がかかってて、私たちはこれが書けないんですよ』
     と直接言われたそうです。
     私たちは残念ながら、自民党安倍政権の情報操作の中にいるんですけれども
     報道関係者の自分たちの報道の自由を守らないという、余計にまともな情報が入らない
     間違った、誤った、誘導された情報の中でものを考えてしまいがちな状態にあるという
     危険な状態であるということも一応お伝えしておきます。

     お騒がせしました、ありがとうございました。」

網野のスピーチも終わりかけたところでデモももう元安橋が見えてくるころ、
ふと見ると、哲野の横にツナさんが来ていてチラシまきをしています。
哲野「よく来れたねえ!寝てないんじゃないの?」
ツナ「ええ、まぁ、寝てることが寝てますね。」
哲野「僕もこのところ網野にこき使われて昨日なんか一時間しか寝てない。」

とかいいながら、元安橋に戻ってきました。
ほとんどが講演会に行く予定なので恒例の立ち話のそこそこに解散しました。

チラシは50部持って行って、10部余ってしまいました。
反応はハヤキさんによると、取りに来る人もいて、好評だったよです。
哲野も3人ほど、当たり前のようにチラシを取りにくる人がいたということです。

以上ご報告をいたします。

◆以下各人全文スピーチ◆

◆大歳

 通勤通学中の皆様、どうもお疲れ様でございます。今日、日中は夏が戻ったかのような暑さでしたが、朝晩はかなり涼しくなってきています。皆様風 邪などひかぬよう、お体には十分お気をつけていただきたいと思います。
 今週のトピック、安倍首相は昨日19日に汚染水が問題となっている福島第一原発を国内外の多数の記者の方々と共に視察に訪れました。そしてオリ ンピック開催を決定させたあの名台詞、汚染水の影響が一定範囲内で完全にブロックされている、との認識を改めて示したそうです。
 この一定範囲内というのは事故現場の湾内に設置されたシルトフェンス、これは水中のカーテンのようなものらしいですが、東電が説明するように一 日で、中の水の約半分は内と外で入れ替わるものなので完全にブロック出来てはいません。一日に300t、セシウム、ストロンチウム合計で600億 ベクレルが一日で外洋に漏れている状況のどこが、完全にブロックだのコントロール下にあるだのそういう言葉になるのでしょう。これは表現が不適切 であるとか、そういうレベル通り越して、完全な嘘です。大ボラです。他にも健康被害は出ていないやら、食品の安全基準は日本が世界一厳しい、であ るとか調べれば、すぐにわかる嘘を並べています。
 こうした安倍首相のプレゼンを聞いた、いろんな立場の人たちはどのように反応しているか、なのですが、まずIOCのジャック・ロゲ会長をはじめ とするIOCの委員の方たちは「安倍首相のプレゼンは素晴らしかった。あの言葉が心に響いた。安心して任せられる。」とおっしゃっているそうで す。さすが接待漬けの毎日を送れる方々は我々とはどこか違うようです。
 では、原子力規制委員会委員長・田中俊一氏はどう思っていらっしゃるのか?本人のコメントでは「非科学的だと思わないし、政治家の発言として問 題ない」「言葉の端々をあげつらっても何の意味もない。このようなことを言うことによって、福島県の漁業関係者が不安になり、復興に向けた意欲が 絶たれてしまうことが心配。福島の人たちにもっと心を寄せてほしい」そして福島県沖で捕った魚については、全て線量を計測し、基準を超えるような 魚は市場に出回っていないので「大いに食べていただきたいと思う」とも語ったそうです。
 褒め殺す訳ではありませんが、この方は本当にさすがです。こんな方が日本の原子力関係の最も権力の高い組織のトップなのです。『食べて応援』大 賛成なのです。こういう方々の言っていることを聞いていたら命がいくつあっても足りません。
 権力者と言われる方々は一般の人よりも悪質な妄想や幻想にとらわれやすいようです。「強い日本と取り戻す」「原子力産業を復活させる」「オリン ピックでその復活を世界にアピールする」。その一方でそうしたことのしわ寄せは普通の人や立場の弱い人、マイノリティに向かいます。しかしマスコ ミ使って、そんなことはなかったことにしてしまうんです。声を上げるしかありません。

◆哲野

毎度毎週お騒がせしております。
全ての原発核施設に反対して歩いております、広島2人デモです。
いつもは6時出発ですが今日は5時半に出発いたしました。

毎週こうやって歩いて原発が止まるわけではありません。
原発が停まるわけではありませんが、黙って見ているわけにもいきません。
それでこうやって歩いて私たちの考えたこと調べたことをお伝えしながら歩いております。
チラシを毎週作っております。
毎週違うテーマを取り上げております。

今日もいまお配りしているチラシは三つのトピックを扱っています。
その一つをご紹介します。

今年9月原子力規制委員会は3回目となる原子力災害対策指針を全部改正しました。
これは原子力災害対策法、原災法という法律に基づいて施行される一種の法令です。

この原子力災害対策指針に原発が苛酷事故を起こした時の避難基準、防護基準などが詳しく書かれています。
ということはこれは法律で決める、ということです。

もし原発が福島事故並みの苛酷事故を起こしたら、一体どうやって避難をするのか
避難の基準はどうなのかということが書かれてあります。

それによると、即時避難の基準は1時間あたり500μSvの値になった時は避難をする。
原発の近くに住んでいる人たちは避難をする、という、こういうことになっています。
500μSv/hと表記します。
空間線量率といわれても、チンプンカンプンですし、
500μSv/hというのはどういう値なんだろうか?
これもピンときません。
極わかりやすくいって、空間線量率とは
ある一定空間にあるガンマ線を1時間あたりで表しています。
ですから空間線量率500μSvということは
500μSvに相当するガンマ線がその空間にありますよということです。

通常、ある空間というのは地表面から1mのことを差すことが多いので
原子力災害対策指針もそういう書き方をしております。

東電のwebサイトに掲載している
福島第一原発敷地内の空間線量率を表したサーベイマップというのを
簡単にまとめてチラシの載せておりますが
避難基準の500μSvというのは事故を起こした2号機原子炉建屋の
横のタービン建屋の海側道路で計測されるのが500μSvです。

事故を起こして、みなさん、福島原発から放射能がまだ出続けていることは御存じだと思います。
もちろん大量放出した時期に比べれば小さな量ですが
平常時に比べれば相当大変な量が出ています。

液体の形でストロンチウム90やセシウムが大量に出ているわけではなくて
実は気体の形でも大量に出ております。
それが福島原発敷地内で空間線量率を高めている原因になっているわけですが
その事故を起こした原子炉の近くの値になったら避難しなさいということです。
これはちょっとわかりにくいですが、私が計算したところ
仮にそこに1週間暮らしたとしたら被曝線量で50mSvになります。
1週間で50mSv。
チェルノブイリ事故で旧ソ連は避難基準を5mSvと決めました。
旧ソビエト政府は5mSvの被曝をする市民を、無理やりバスに載せて避難させたわけです。
2011年の福島原発事故ではこの避難基準が4倍に跳ね上がります。
みなさん覚えていると思いますが20mSvが避難基準です。

日本の法律では公衆の被曝線量は年間1mSvを上限とするとなっていますが
福島第一原発事故では、決めた法律の20倍の避難基準としたわけです。

ところがつい9月5日に全面改正された原子力災害対策指針では
20mSvどころか、その2.5倍の、あるいは2.5倍以上の、50mSvになって初めて避難しなさい、と
こういう風になってきています。

つまりチェルノブイリ事故、福島原発事故、大きな原発事故が起るたびに
避難基準がどんどん上がっていると、こういうことになります。
この原子力災害対策指針では避難のほかに一時移転の基準もあります。

一時移転と避難の区別はわかりにくい、どちらにしてもそこを離れるということですが
この一時移転の基準は空間線量率で20μSvが7日間連続したとき
市民は一時移転しなさいと、こういう内容の指針になっています。

一時間あたり20μSvというと、これもよくわかりません。
私たち一般市民にはなかなかわかりにくい数字を使って大事なことをどんどん決めている。
ちょっと不健全な感じもいたします。
しかし取り急ぎ、20μSvは東電サーベイマップで見ると、重要免震棟の前が1時間あたり20μSvです。
みなさんもしテレビを見たことがあれば、東電の福島第一原発に色んな偉い方が視察においでになる。
必ず重要免震棟の指揮所に寄ります。
バスに乗ったり下りたりするシーンが映りますが、丁度その場所が20μSvです。
もちろんみんな完全防護服です。
口と鼻を完全に覆って、全体的には鉛の入った防護服を着ているわけですが
一番肝心な事は口や鼻や皮膚から放射性物質が身体の中に入ってくることを防ぐ、
これが防護服のポイントです。

1時間20μSv、これも同じように1週間そこで暮らし続けたらどうなるか。
計算すると約2.2mSvの被曝、つまり対策指針に従えば、わかりやすく言って
君たちは2mSv以上の被曝をして、はじめて一時移転をしなさいと、こう言っているわけですね。
先ほども引用しました、公衆の被曝線量が年間1mSv、これはいまだに法律で決まった被曝線量の上限です。
365日かけて、1mSvが被曝線量の上限です。
それに対して一時移転の基準は1週間で2mSvを超える被曝をして、
初めて一時移転をしなさい、こう言っているわけです。

広島から最も近い原発は中国電力の島根発電所ではありません。
毎週こうやってみなさんに触れて歩いている通り
四国電力、伊方発電所です。
伊方発電所から広島はわずか100kmしか離れていません。
伊方原発で苛酷事故が起きたらいったい周辺はどれくらいの放射能が拡散するか。
こういうシミュレーションを12年の12月に原子力規制庁が発表しました。
そこにグラフや関数表が載っておりますのでそれを分析すると
100km離れている広島は風向きもありますが、風は南と北に流れるようです。
北に流れた風は中国山地にぶつかって下に落ちます。
海に流れたものは広島湾まで達してそこでとどまります。
広島は4mSvの被曝をするというシミュレーションの結果になっている。

さっきの指針と合わせて考えてみると、広島は完全に一時移転の対象となる。
こういうことになります。

原子力災害対策指針は2012年の10月に根本的に変えられました。
それまでの対策指針は原発は苛酷事故を起こさない、起こしてもせいぜい放射能漏れくらいの
INESのレベルで言えば3とか4くらいにしかならない、そういう考え方で出来ていました。

そこに2011年3月の福島原発事故が起り、恐らくはもうチェルノブイリを上回る放射能を環境に放出している。
この事実に遭遇して原子力規制行政は180度転換いたします。
つまり原発は苛酷事故を起こす、重大事故は苛酷事故に発達する可能性がある。
こういう前提に立って、この原子力災害対策指針が作られております。
これが根本的変化です。

現在の原子力災害対策指針は原発事故が起ったら、われわれ住民はどういう基準で
どういう風に避難をするのか、どういう風に防護するのかというのが
うんざりするほどきめ細かく書かれております。

私はその原子力災害対策指針、約70Pほどしかありませんが
これを読み終わって感じたことがあります。
これはおかしいんじゃないか。
原発は電気をつくるただの道具なんじゃないか。
その道具のためになぜ我々が避難しなければいけない?
住み慣れた土地を、友人やコミュニティ、人間関係がはっきりしているそういう土地を捨て
あるいは商売をやっている人たちは10年20年30年40年かかって商売を築き上げた
お百姓さんは、いま耕作放棄地が多いんだそうですけど
何世代もかけその土地に住みついた、それは取りもなおさず我々がこの社会の主人公だということです。
それをたかだか電気をつくる道具に過ぎない原発のために我々が避難しなければならないんだ、
あるいは苛酷事故を起こした時にそれに備えて避難訓練をしなければならないのか。

これが津波や地震ならわかります。
自然やお天道様に逆らうことは出来ない。
しかし原発は人間が作ったものです。
不都合であれば我々人間がやめることも出来る。
しかし、おかしなことにいつの間にか、原発が社会の主人公の顔をして
僕のために避難訓練をしなさい、僕のためにこういうことをしなさい、ということで
原発が我々を支配しはじめている。
それに対して多くの人たちがおかしいと思わない。
私は9月5日の原子力災害対策指針を読み終えて、私たちがこの社会の主人公であって
原発がこの社会の主人公ではない、
むしろ原発はわたしたちの道具に過ぎない。

その道具のために私たちが振り回されるのは非常におかしなことだ、
こういう風に率直に思いました。

◆はやきさん

みなさんこんにちは。
私はいま東京に住んでいるんですが、
今日はこうして広島で毎週デモをされている方々に敬意を表して
一度参加したいと思い、こちらに伺いました。

今は東京に住んでいますが、生まれ育ったところは福島県中通りの須賀川市というところにあります。

今日は少し福島の話をさせてください。
先日東京オリンピックが決まりましたが、
東京オリンピックの招致活動のなかで汚染水問題は大丈夫なのかと聞かれ
東京は福島から250km離れているから安全ですといって東京オリンピックを招致しました。
原子力事業は国の国策事業ですから、不都合なことが起こると何が起こるか。
隠ぺいできるものは、隠ぺいされ、
福島第一原発事故のような苛酷事故が起れば、その地方に住む人たちは徹底的に否認されます。
それは今後どの原発でなにか事故が起った時でも同じことが起こることを、みなさんにお伝えしたいんです。

福島県では苛酷事故のあと、長崎大のチェルノブイリの子どもたちの健康影響を調べた
山下氏と言う人が福島県の健康アドバイザーとして就任して
県民健康調査というものが行われていますが
昨年9月11日に発表された福島県民健康調査の結果
福島県の37万人の調査対象の子どもたちのうち、一次調査が終わった3万8千人の子どもたちのうち
2次検査に進んだ37人の子どもの中から一人、小児甲状腺がんの子どもが見つかりました。
小児の甲状腺がんは、事故前の基準で言えば100万人に一人、
一人の小児科医が一生のうち一人、出会うか出会わないかといわれているくらい稀有な病気です。

去年の9月に一人、小児甲状腺がんの子どもが見つかった時に
悔しくて悲しくて。
でも先月、8月に最新の県民健康調査の結果では、調査対象が58%にまで増え
悪性小児甲状腺がんのこどもが18人になりました。

それがほとんど報道されていないのが現実です。

まだ58%しか調査が終わっていませんが、こうして慣れて行って忘れられていくのかと危惧しています。
事故後、先ほどの話にもありましたが、年間20mSvという基準が設けられたとき
福島県の子どもたちの校庭での屋外活動は3.8μSv以下なら行っても良いと言う文科省から通達を受けました。
3.8μSvは事故前の年間1mSvで言えば、毎時に直すと0.0113μSvくらいなんですけれども
途方もなく高い数字ですが、その件で福島県の教育委員会に電話をしましたら
子どもたちに年間浴びていい20mSvを子どもたちの生活の中から、学校で生活している時間、
さらにその中から屋外活動に当てる時間で割ったら毎時3.8μSvという、とんでもない答えが返ってきました。

子どもたちは校庭でだけ生きているわけじゃありません。
家にいる時も通学路でも寝ている時も、放射能を吸っています。浴びています。
でもそうして言葉や数字のちからで、なんだかあやふやにされて
事故前だったら許されなかったことが、どんどんなし崩しに許されていく
そうして、いま、こうした甚大な健康被害が起きていても、
『チェルノブイリの内部被曝の調査結果では、
小児の甲状腺がんが現れるのは4年後からなので、原発事故とは関係がない』と
切り捨てられてしまいます。

なので、こうして隠ぺいされて切り捨てられる原子力事業を
少しでも危機感を持って見ていただければと思います。
ありがとうございました。

◆哲野

いまお話で、『内部被曝を中心とする放射線被曝のがんの発症は4年後だと公表された』ですが
これは調査の結果そう結論しているわけではなくて
その前にあるリスクモデルがあるからです。
そのリスクモデルはICRPという国際放射線防護委員会のリスクモデルですが
このリスクモデルに従うと、低線量被曝でがんを発症する場合は、
被曝から4年から5年後にがんが顕在化すると、こういうリスクモデルになっている。
このリスクモデルに従って福島でも、チェルノブイリでもがんが発症したという
言ってしまえば、一つのセオリーに従って分析した結果です。

じゃあICRPはどこからそのリスクモデル、低線量被曝で4年から5年でがんを起こすんだという
セオリーをどこの事実から持ってきたのかというと、
実は広島・長崎原爆の生存者たちの生涯調査、寿命調査と言っておりますが
LSS-Life Span Studyに基づいて、その結論を出しているわけです。
しかしながらLSSは調査を原爆直後からはじめておりません。
原爆が落ちてから5年後の1950年時点の生存者を対象に調査をはじめている。
ですから実は元々、5年後から発症した人たちを調べただけのことで
決して科学的事実や疫学的調査、或いは医療調査に基づいて今の結論が出されたわけではありません。
補足しておきます。

◆じゃけえさん

毎度お騒がせしております。
金曜日恒例の広島2人デモです。
本日は30分繰り上げてデモ行進しております。

全ての原発核施設に抵抗したい一心で意思表示のため歩いております。
みなさんに知っていただきたい情報をスピーチしながら歩いております。
少しでも耳を傾けていただけると幸いです。
毎回チラシをお配りしております。
今朝の4時に出来上がったチラシです。
原子力の恩恵に預かっている企業などのスポンサーがついていないチラシです。
個人的につくっているチラシです。
信念に基づいて作られているチラシです。
原発問題を考える際、是非参考にしてみてください。

チラシはwebでもご覧いただけます。
広島2人デモで検索してみてください。
ご通行中のみなさま、商店街のみなさま、お騒がせしております。
毎週金曜日恒例の広島2人デモです。

日本の原発は事故を起こさないことを前提に稼働してきましたが
福島原発で事故は起ってしまいました。
事故が起ってからは、日本の原発は、福島で起こったような苛酷事故が起こることが前提で再稼働されます。

原発を再稼働されるための新しい基準は福島のような苛酷事故が前提で再稼働されます。
事故が起ることが前提で稼働され、事故が起れば周辺の住民は避難すると基準で設けられています。
事故を起こさないことを前提で稼働された原発が、
事故を起こしてしまったことに対して
誰もなんの責任も取っていない状態で、原発は再稼働されようとしています。

今月17日に、広島市議会に、広島から一番近い原発
四国にある愛媛の伊方原発再稼働反対の決議を上げてもらうための請願を提出しました。
広島市内に住む方々の賛同いただいた署名は1500筆を超えました。
署名は請願後も追加で提出することができます。

広島から一番近い、四国にある愛媛の伊方原子力発電所の再稼働反対に
ご賛同いただける方は御署名のご協力をお願いいたします。
結・広島で検索してみてください。

広島から一番近い四国の愛媛にある伊方原子力発電所は
いま停まっている原子炉のなかで再稼働最有力候補となっております。
これから再稼働する原発は福島のような苛酷事故が起ることが前提で再稼働されます。

再稼働のための基準には、事故が起った後の避難基準が設けられています。
その避難基準では今事故が起っている福島原発敷地内での線量が1週間続くようであれば
避難しなさいというような、被曝を強制するような基準です。

原発再稼働を容認することは私たちの住む広島から100km圏内にある伊方原子力発電所で
事故が起こっても構わないと言っているのと同じです。
事故が起ったら広島で築き上げたものを全て捨てて避難しても構わないと言っているのと同じです。

広島市議会に伊方原子力発電所再稼働反対の決議を上げてもらうための請願を17日に提出しました。
一緒に提出した署名は1500筆以上になります。

◆網野

毎度お騒がせしております。
広島2人デモです。
原発に反対して歩いております。
チラシをお配りしております。
どうぞお手にとって参考になさってみてください。

商店街のみなさま、ご通行中の皆様お騒がせしております。
原発に反対して歩いております
チラシをお配りしております、どうぞお手に取ってみてください。
調べた情報をまとめてあります。
今回の情報は東電のことについてまとめてあります。

今アメリカ原子力規制委員会の前委員長が広島に来ています。
グレゴリー・ヤツコさんという人です。
この方や、アメリカ原子力規制行政の関連の方々が言っておられるのは
福島第一原発事故の収束は、もう東電に日本政府にも任せておけない
世界的なプロジェクトチームを組んで鎮圧に向かわなければ大変なことになると声を挙げられ始めています。
いま福島第一原発がどういう状態にあるのか、もう一度再認識するために
情報をチラシにしてまとめてあります。

よかったらお手に取ってご覧になってみてください。
東電のデータ、政府関連のデータを抜粋してまとめてあります。
わかりやすくしてありますのでどうかお手に取って読んでみてください。

アメリカの南カルフォルニア、サン・オノフレ原発廃炉の問題がありました。
三菱重工業関連の方はご存知の事と思います。
三菱重工業製の蒸気発生器が原因で廃炉になった問題です。
いまその廃炉の経過で市議会から提出された、グレゴリー・ヤツコ前原子力規制委員長に
出された手紙があって、それを抜粋し、翻訳してチラシの載せてあります。
市議会の方々はこう言っています。
『国や地方自治体の第一義の責務は、市民の安全と財産を守ることだ。
 市民から付託を受けた代議員としてこの事態を看過できない』
つまり市議会員、国、政府、こういった公務員
国や自治体の第一の責務は、国民、市民の命、財産を守ること、安全を守ることです。
今私たちに差し迫って目に見えている大きな危険は
福島第一原発事故の鎮圧出来ていない状況
しかも世界的な大惨事になる可能性をまだ捨てきれていないどころか
徐々に近づいている状況、及び、そこから放排出されている放射能による
私たちの健康損傷の被害です。
ここに全く手が当てられていない。

今日知り合いの業者さんのところにいくと
そこの業者の社長さんは、いままで過去20回、南相馬の方に支援活動に行っているそうです。
その方が言うには、高校生、『私はどうせ子どもが産めないから』と言って自殺した子が出たそうです。
私も調べた中では、2人ほど朝起きてみた時に死んでいた、どうも心臓疾患系のようなんですけど
子どもさんが亡くなっているという情報はあったんですけども
自殺者が出たと言うのは今日初めて知りました。

またその方がマスコミの方から直接聞いた言葉は
『私たちは福島から出る人間の報道が出来ない。入る人間の報道は出来る。
自民党政権からこれは報道するなという圧力がかかってて、私たちはこれが書けないんですよ』
と直接言われたそうです。
私たちは残念ながら、自民党安倍政権の情報操作の中にいるんですけれども
報道関係者の自分たちの報道の自由を守らないという、余計にまともな情報が入らない
間違った、誤った、誘導された情報の中でものを考えてしまいがちな状態にあるという
危険な状態であるということも一応お伝えしておきます。

お騒がせしました、ありがとうございました。