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第94回広島2人デモ 3月28日報告

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みなさま

毎度お騒がせします。
第94回広島2人デモの報告です。

出かける前に珍しく時間の余裕が出来ました。
哲野「今日で何回目?」
網野「94回目」
哲野「気ちがいじみてるね。良く続いたよね。」
網野「なんで続いたんだろうね」
哲野「いい質問だね、僕も時々考える。
   なんで続いたんだろうか、じゃなくて
   どうだったら続かなかっただろうか、と考えることがある。」
網野「どうだったら続かなかった?」
哲野「もともと2人でデモするわけだろ。
   今でこそレギュラー、セミレギュラーの仲間も増えて
   それでもせいぜい10人じゃない?」
網野「うん。」
哲野「たぶん、いつも同じことをスローガン風に連呼してたら
   10回くらいで嫌になっただろうね。」
網野「まぁ、少人数だしね。
   大人数でデモならそれはそれで勢いで続くだろうけどね
   少人数ならなんの意味があるのか、と思っちゃうね。」
哲野「そりゃそうだ。
   でも元々、同じことを繰り返して歩くということにはならなかったんだよ。」
網野「まぁチラシの文句じゃないけど
   いてもたってもいられんかったしね。」
哲野「そうそう。伝えたいことや言いたいことが初めからいっぱいあった。」
網野「そういえば、そうだったね。
   原子力災害本部の報告をチェックしはじめたのがきっかけだったけど
   ニュースにぜんぜん肝心なことが書いてなかったもんね。」
哲野「そうそう。これはみんなに言っとかないといけない、ということがいっぱいあった。
   しかも、回数重ねるごとに伝えたいことがどんどん増えていく。
   そりゃそうだ。現実がどんどん進行してるんだから。
   今じゃページを増やしても伝えたいことのほんの一部しか言えない。
   伝えたいことが多くて、捨ててる事の方が多い」
網野「誰に伝わってるんだろうか。誰が聞いてくれてるんだろうか」
哲野「そうそう。でもそれはしょうがない。わからないんだから。
   もしかして誰も聞いてないかもしれないし
   誰にも伝わってないかもしれない。
   でもだからといって、やめる?」
網野「やめられんねえ・・・・」
哲野「だろ?だからそれは今当面の問題じゃない。
   当面の問題は伝えるべき事実があって、それを伝えて、記録に残す、
   これが今一番大事な事だと思う。
   いつかは必ず役に立つ」
網野「そうね。いつかは役に立つかな」
こんな話をしているうちに、出発の時間がきてしまいました。
もしかして遅刻?
網野「せっせとやりましょうか。出かけるよ。
   哲野チラシ袋持ってよ」
哲野「あ、もうこんな時間か。プラカードがないプラカードが。」
網野「プラカードとスピーカーは私が持った!」

この日は集合場所に行く途中、車が物凄く多くて
本当に遅刻かと思いましたが、10分前に到着出来ました。

先週は咲いてなかったのに桜が咲いていました。
陽気もあって観光客も多かったです。

▼元安橋の上から、平和公園の桜。5~6部咲き

▼まだ5分咲きの元安川の川岸の桜

撮影して出発地点の花時計前に戻ろうとすると
「こんにちは。集合場所がわからなかった…」と声をかけてくれたのが英さんです。
英さんは哲野と網野の共通の友人ですが
ちょうど1年前に参加してくれて2回目。
網野「来てくれたの?!」
哲野「今日は先頭でプラカード持って街の雰囲気や
   みんなの反応がどんな感じか、前回とどう違うか観察しておいてくれる?」
リサーチ役に回ってもらいました。

警察の方がきて指令書の確認をし
しばらく待っていると「お久しぶりです!」と現れたのがSさん
網野「東京から帰ったの?」
Sさん「ええまぁ。その話はあとでゆっくり。」
哲野「今日スピーチの用意は?」
Sさん「ま、今日はやめときましょう。
   私、チラシ撒きに回ります」

で音楽が鳴って4人でスタートしたのですが
すぐ、横断歩道の信号待ちをしていたところへ
外国人の観光客の団体(30人くらい)が横切り
目ざとくプラカードを見てくれました。

▼今日のプラカード

今日のチラシ

http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140328.pdf

彼らが理解できる言葉はたったひとつ。
「There is no safe dose of radiation」
(放射線被曝に安全量はない)
大きくうなづく人、親指を立ててOKサインを出す人
拍手してくれる人、カメラで撮影する人・・・
これで、わかってくれるんです。
哲野「どこから来たんだろうかね。西ヨーロッパのどこかの国だ。
   放射線被曝に安全量はない、これが市民社会の常識になっている国だね。
   日本はまだこれが常識になっていない。
   がんばりどころだろうね、僕たちの。」
中の一人の男性が、プラカードの前でじっと立って
カメラで撮影している間に、他の人たちは移動してしまいました。
男性「どこにいったんだ」
哲野「あっちあっち」
と全員が指さしました。
男性は慌てて追いかけて行きました。

やっと出発です。

哲野がトップバッターです。
哲野「今日のテーマは、なぜ私たちは原発に反対するか、
   なぜこれを(原発など核施設やそこから放出される放射能)敵視するか、です。
   私たちの生存を根本から脅かしています。」
としゃべったところでじゃけえさんが登場。
チラシまきに回ろうとしたじゃけえさんに
これ幸いとばかりにマイクを渡す哲野。
Sさん「あれ?まだ話終わってないんじゃないです?」

じゃけえさんのスピーチです。

じゃけえさんはこのところのテーマになっている伊方原発の危険、これを黙認することは
結局賛成しているのと同じ、今広島市議会に伊方原発反対決議を求める請願を出している、
所定用紙に署名をすれば、一緒に共同請願人になってもらえる、などをスピーチしました。

次に哲野にマイクが渡ります。

哲野「今日、すべてのプラカードに『There is no safe dose of radiation』と入れております。
   放射線被曝に安全量はない、放射線被曝はどんなに低線量でも
   可能性として人間の生命健康を害する、という意味合いです。
   この言葉は例外なく、世界の科学者が一致して、科学的真理だと承認している言葉です。
   ICRPの学者であれ、低線量被曝を、特に内部被曝をもっとも危険だとする学者を含め、
   全員が一致してこの見解を支持しています。
   私もこれが科学的真理だと考えています。

   福島原発事故以降の日本で、この言葉が市民社会の常識、共通理解となることが
   今最も重要です。
   というのは、この言葉に全く反する言説が日本で行われているからです。
   その言説は、放射線被曝は低線量なら健康に害がない、あるいは
   健康に害があるという科学的証拠はない、という言説です。
   この言説のことを私は『放射能安全神話』と呼んでいますが
   この放射能安全神話が福島原発事故以降の日本で特に強調され
   私たちを低線量内部被曝の危険に曝しているからです。

   非常におかしなことに、放射能安全神話を振りまく科学者たちは
   その一方で放射線被曝に安全量はない、という真理に
   賛成しているのです。
   放射能安全神話を振りまきつつ、一方で放射線被曝に安全量はない、ということは
   これは言葉のアクロバットです。
   こうした言葉のアクロバットを使わざるを得ないほど、彼らは追い込まれています。
   なにがなんでも放射能を撒き散らしつつ、原発の再稼働を進めたいのです。
   そして言葉のアクロバットを使いながら福島の高濃度放射線汚染地域に
   人々を縛り付け、被曝を強制したいのです。

   今日本は低線量内部被曝の危機にさらされています。
   ところが困ったことに放射線被曝感受性は
   人によって、年齢によって、男女によって、大きく違います。
   同じ人でも、その人の身体の中の状況によっても感受性は大きく違います。
   たとえば細胞周期中の放射線感受性はそうでないときと比べると600倍も違う、という報告もあります。
   要するに、目安としても、ここまでは大丈夫だ、ここから先は危ない、という一線が引けないのです。
   こうした状況の中では放射線被曝から自分の身、或いはお子さん、お孫さんを守るには
   正しい低線量内部被曝の知識と理解を深めるほかはないのです。」

次にじゃけえさんにマイクが渡ります。

じゃけえ「私たちはチェルノブイリ事故の経験に学ぶことができたはずなのに
     それをせず事故からもう3年経っています。
     内部被曝は外部被曝とは全く違う種類の被曝です。
     その被害の大きさは状況によって100倍から1000倍も違います。
     日本政府はICRPという団体の勧告に従って被曝対策を行っていますが
     このICRPは外部被曝も内部被曝もいっしょくたにして
     100mSv以下であれば安全である、本当は安全とはだれも言っていないのですが
     日本政府は安全であると勝手に解釈して被曝政策を採っています。
     それに対して、ECRRという団体は、全く相反する主張をしています。

     内部被曝はどんなに低線量でも人によっては命に係わる危険がある、
     どちらが正しいのか、みなさんよく考えてみる必要があります。

     私は日本政府が100mSv以下なら安全ですよ、と言っているのは
     実は原発を推進したいからだ、原発推進のためには
     人々の健康などあるいは命など、二の次、三の次としているのだと思います。
     原発を稼働していきたからだと思います。
     原発による利益を独り占めしたいからです。

     原発の事故によって被害を被るのは私たち一般庶民です。
     反対の声を挙げなければ勝手に進められてしまいます。

     広島市に一番近い原発は、四国の愛媛にある四国電力伊方原子力発電所です。
     今は稼働をとめていますが、再稼働が進められています。
     事故を起こすことを前提にして再稼働が進められています。
     事故をおこさないとはだれも言ってくれていません。
     事故を起こさない保証はだれもしてくれていません。

     原発立地地元とはいったいなんでしょうか。
     それは原発が苛酷事故を起こした時に被害を被る地域がすべて立地地元なんです。
     そして原発立地地元の理解と賛同が得られなければ再稼働はできません。

     私たち広島も、もし伊方原発が福島並みの苛酷事故を起こせば
     『一時移転』と言う名前の避難になるということが
     原子力規制委員会のシミュレーションで明らかになっています。
     広島は伊方原発の原発立地地元なのです。
     私たちの広島市民の反対の意思表示と行動が、
     伊方原発の再稼働を止めることが出来ると思います。」

次にマイクは網野に回ります。

網野「ご通行中の皆様、商店街の皆様、毎度お騒がせしております。
   金曜日恒例の広島2人デモです。
   ・・・・というわけで伊方原発反対決議の共同請願人署名を父にお願いしたところ
   お前はまだそんなことをやっとるんか、と言われました。
   このことの意味は、原発反対運動をやっているのは、共産党で
   共産党の勢力拡大だという思い込みがあったようです。
   私は共産党支持者でもないし、どの政党も支持してない、
   問題は、どこの政党を支持するかではなくて
   伊方原発が事故を起こしたら、私たちは広島にいられなくなる、ということだ、
   親戚には商売をやっているひとも、農家もいる、
   私たちもビジネスをやっている、
   みんな広島を基盤に生きている。
   広島を離れれば、たちまち生活に困る。
   こういう話だ、と言いました。
   そして保守党の市議会議員でも、このことをわかってくれる人はいる、
   しかし党本部からの方針で伊方原発反対と言われたら賛同はしにくい、
   君らが多くの賛同者を集めてくれたら、僕らも動きやすい
   がんばってくれと言われている、と説明しました。
   どうも、原発反対というと、政治運動、まさしく政治運動なんですが
   政治運動と政治党派運動を勘違いしている人が多く
   こういう話題を避ける雰囲気が広島にはあるようです。
   繰り返しますが、政治運動ではありますが、政治党派運動ではありません。

   残念ながら、原発問題は政治問題です。
   というのは、解決は政治の場でしか出来ないからです。
   個人的に福島支援とか、義援金を集めるとか、食べ物に気を付けるとか
   限界があります。
   早い話、個人では原発の稼働を止めることも、反被曝政策を採ることもできません。
   解決できるのは政治だけです。

   どうかみなさんも、原発問題と政党党派運動を混同しないようにしてほしいと思います。
   そして、この問題を正々堂々と日常会話の中で話し合ってほしいと思います。
   その時に、私たちが調べた内容を材料にて
   あるいはみなさんが調べられた内容を材料にして
   本当に話し合ってほしいと思います。
   お騒がせしました。ありがとうございました。」

元安橋に帰ってデモ終了です。
次の予定があって、あまり時間は取れなかったんですが
英さんと、Sさんが久々の参加とあって立ち話となりました。

哲野「(英さんに)どうだった?ちょうど一年前だろう?
   今日はプラカードを持って歩いていたから、反応がよくわかったと思うが。」
英「1年前歩いた時は、みんなの冷たい視線が刺さってくるようで痛かった。
  それで次回から参加しないことにしたんだけど
  今日はその冷たい視線を感じなかった。」
哲野「ほほう。それで?」
英「ん。それだけ。」
哲野「そりゃないだろ、おまえ。もうちょっとなんか言ってよ」
英「うーん。意外と、中高年層の男の人がプラカードをよく見てたと思う。」
哲野「うーん。それを感じたか。
   これねえ、ここ半年くらいかなぁ。
   大きな特徴なのよね。
   私たちの主張に賛成しているのかどうかはわからない。
   以前はアホな事を言ってる、と無視していた中高年層の男性が
   賛成か反対かはわからないんだけど
   大きな興味を示すようになってきたのは特徴だね。」
網野「ビジネスとか生活に関係していることが認識されるようになったというか
    実際に感じているところが出てくるようになったんじゃない?
    自分の身の回りに。」
Sさん「チラシは中高年層の男性では、
    受け取る人とはっきり拒否する人がはっきりしてきましたね。」
哲野「東京はどうなの?」
Sさん「うーん、あきらめムードが漂っているところもある。
   現実に、東京から離れようと思っても仕事や生活や家があるから
   離れられない。
   離れられないのに、原発や放射能の話をするのもむなしい。
   だから、話題に蓋をしているというか、お互いに触れたがらない、という雰囲気はありますよね。
   少なくとも僕の周囲はそんな感じですね。」
哲野「なるほどね。それはよくわかる。
   どうにもならないことをあえて話題にしない。
   その意味では同じ話題にすることを避けてるのでも
   東京と広島では深刻度が違うんだろうね。
   ほら、見てよこのチラシの数値。
   初期の大量放出期で東京が、といっても新宿区だけのデータだけど
   こんなに汚染されては本当は人が暮らしちゃいけない。
   確かにヨウ素131はもうなくなっているだろう、けど
   セシウム137はこの土壌汚染データと今も大きくは違わないんだよ。」

という感じでほっとけば延々続きそうでした。
チラシは30部すべてなくなりました。
今日のテーマは地味すぎるので
10部くらいは余るかなぁ、そしたら他に流用できるなと思ってましたが
また印刷して別に作らなければならなくなったようです。

以上ご報告いたします。