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第109回広島2人デモ 9月26日報告

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▼第109回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140926.pdf

みなさま
(いくつかのメーリングにお送りします)

第109回広島2人デモ9月26日のご報告です。
・・・といって、報告もなにも、この日はデモ開始早々中断・中止となりました。
暴力的なデモ妨害があったためです。

いきさつをご説明します。

いつもの通り、18時に音楽を聞いて、じゃけえさん、哲野、網野の3人で出発しました。

▼第109回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140926.pdf
▼プラカード

この日はとりわけ夕暮れの綺麗な日でした。

▼出発時の元安橋東詰めから見た西方向の夕暮れです。

網野が両手にプラカードを持ち、スピーカーを肩にかけて先頭を歩きます。いつものチンドン屋スタイルです。
次にじゃけえさんが、マイクを持ってスピーチ。
哲野がチラシ撒きで最後尾。(といっても、たった3人きりですけど)

出発して7分後、チラシまきをしていた哲野の視界に
若い男が、持っていたカバンで網野の頭を狙って、右側から殴る光景が飛び込んできました。
網野はスピーカーを右側に抱えていて、プラカードを持っていたために
カバンは網野の頭を直接ヒットせず、スピーカーをヒットする形となりました。
スピーカーは網野の右頭部に当たり、悲鳴を上げてそのままうずくまりました。

網野はさほど大きな痛みは感じなかったものの、頭の芯に鈍い痛みを感じて
立っていられなくなり、その場にしゃがんだ模様です。
じゃけえさんも哲野も網野のことが心配で、その場から逃げた犯人から目を離してしまいました。

じゃけえ「大丈夫ですか?」
網野「・・・」
殴られたことはわかったけど、何が起こったのか頭の中が真っ白でした。
我にかえって顔をあげると、犯人が逃げていくのが視界に入りました。
そして警備の警察の人が、追いかけて行くのが見えました。

哲野が、大丈夫か、病院に行った方がいいんじゃないかと声を掛けました。
というのは、ゴーンともガーンともつかぬ大きな音がして、一瞬これは大事だなと思ったからです。
網野が大丈夫と返事をしたのを聞いて、哲野は犯人が警察の人に取り押さえられている現場に近づきます。
犯人は警察の人に対して大暴れに暴れています。
やむなく、警察の人は犯人を地面に寝かせ、上から押えつけています。
それでも犯人は大暴れに暴れて逃れようとしています。
警備警察の人が通りがかった人に、警察に通報してください、と依頼すると
依頼をうけた若い女性も警備警察の人から指示を受けた連絡先に電話をしてくれました。
暴れている犯人に警備警察の人が「暴れるな、おとなしくしなさい、逃げてはいかんだろ」と声を掛けます。

警備警察の人が哲野に、「この人で間違いないですか?」と犯人確認を求めますが
哲野は目を離して網野の方ばかりに注意を向けていたので正確な犯人確認ができません。
近づいてきた網野に「きみ、犯人がこの人で間違いがないかどうか、僕は確認できない。きみ、出来るか?」
本人をしっかり目に焼き付けていた網野はすぐに警備警察の人に「はい。この人で間違いありません。」

犯人は暴れながら「警察を呼べ!警察を!」
警備警察の人「私が、け、い、さ、つ、です。」
それを聞いても犯人はまだ暴れます。

冗談みたいな話ですが、この時の事をあとで哲野と網野が話し合ってみました。
哲野「警察を呼べ、と言ったのは、恐らく自分が不当な扱いを受けていると思っていたに違いない。
   押さえつけられている自分は、警察が来れば解放してくれる、と考えたんじゃないか。」
網野「人を殴っても、自分は許されると思ってるんじゃないのか」
哲野「恐らくそうだろうね。デモをしている人間を殴る、殴る自分の行為は正当だが、
   そのために取り押さえられる自分は不当な扱いを受けている、と考えているんだろうと思う。
   そしてその不当な扱いは、警察が来て正してくれる、警察は自分の味方だ、と思っているんじゃないか。
   僕の見たところ、さして深くものを考えるタイプとは思えないから
   彼がそう思ったのは、身勝手な考え方という以外に、
   おそらくそういう情報環境に身をおいているんじゃないか。
   とにかく事情聴取の結果に凄い興味があるね。」

そうこうしているうちに最寄りの派出所から警官が4人、
県警本部から担当刑事2人を筆頭に警官がパトカーで乗りつけてきます。
警備警察の人はこの時点で、捜査担当の刑事に犯人を引き渡しました。
おおごとになりました。

▼駆けつけた警察官に取り押さえられる犯人
 なおも暴れるので警察官3人がかりで対応しなければなりませんでした。
 暴れないようにと注意する警察官の声も耳に入らないようです。警察官も大変です。
 取り押さえなければいけないし、怪我をさせてもいけない・・・。

このころになると、あたりは騒然としてきました。
何事が起ったのかと人だかりができ、本通りのこの辺りは人であふれかえりました。
中には撮影をしてツイッターに投稿している人もいます。

網野「Kさんが遅れて参加するかもしれないから、連絡しておいたほうがいいんじゃないか?」
網野がKさんに連絡すると、やっぱりKさんは本通りに来ていました。そしてパルコ前あたりで待っていました。
網野「デモは妨害にあって、いま洋服の青山の前あたりで止まってるの。」
Kさん「ええっ!何ごと?」
網野「Kさん、とにかくこっちにきて」
Kさん「わかった、これから向かいます」
で、Kさんも合流。

「被害届を出されますか?」と聞かれた哲野は、網野に確認を取った上で「出します」と答えました。
というのは、これは単なる暴力事件ではない、憲法に保証された権利を行使している市民に
その権利を暴力的に妨害する行為であり、後々のためにもきちんと被害届を出して
きっちり捜査してもらう必要があると考えたからです。
私たちとすれば、捨ててはおけない問題です。
まだ若い犯人には気の毒とは思いましたが、自分がした行為が単なる暴力事件ではないことも理解させておかねばなりません。
こうした行為を何の気なしの出来心、と容認する雰囲気もこの社会にはあるのかもしれませんが
これは大げさにいえば、憲法を蹂躙する重大な憲法違反行為だということを
社会の共通認識にする必要もあります。

犯人はパトカーで最寄りの警察署に連行されていきました。

▼手錠をはめられてパトカーに乗せられる犯人。この時点でもまだ暴れるのをやめていません。
 警察官も3人がかりです。

被害届を出すと決めた時点で、今日の2人デモはここで終了となります。
というのは、これから現場検証、事情聴取、被害届を出すことになるのでここで終了せざるを得ません。

で、現場検証が終わり、事情聴取と被害届提出のためにそのまま最寄りの警察署に4人で向かいます。
被害届提出と事情聴取が終わって警察署を出たのが夜9時半。
大変な1日になりました。

哲野「警察の対応が、ものものしかったと思わない?」
網野「そう言われれば、そうだよね。考えてみれば単なる通りすがりに人を殴ったというだけの暴力事件だし
    被害者の私の怪我もさほどたいしたことはなかった。」
哲野「警察の対応がものものしかったのは、大きく2つ理由があるんじゃないかと思う。」

哲野の分析癖がまた始まりました。

哲野「一つは広島県の公安委員会が認め、憲法の保障する権利を行使中の市民が
   暴力的にその権利を侵害された、という認識。
   もう一つは、犯人が最後まで暴れて警察官に抵抗したという点。」
網野「被害届の中にも、そのことは記載した。
   また、警察の側も当然のこととして、その被害の中身に
   市民の権利が暴力的に侵害されたことが記載されていることについて当然という受け止め方だった。」
哲野「やっぱりそうだろう。憲法に保障された権利が侵害されているということは警察も重く見ていると思う。」
網野「それっておかしくない?安倍さんは憲法を侵して、憲法違反の集団的自衛権を決めた。
   それはなぜとがめられないの?」
哲野「いや、そういう問題に拡げてしまっちゃあ、逆に今回の事件のポイントが見えなくなる。
   集団的自衛権行使が憲法違反かどうかは、警察の判断する範疇ではない。
   あえていえば違憲立法審査権を持っている最高裁判所の範疇だ。
   そうじゃなくて、大事なところは普段、我々が気が付かないというだけで、
   日常生活もやはり憲法でしっかり守られているという点が今回のポイントだ。」
網野「警察も憲法を守らなきゃいけない、と思っていることは伝わって来たよ。」
哲野「警察や軍隊は国家権力の暴力装置、このことは間違いない。
   しかし、日本の国家権力はやはり今の憲法を土台に形造られている。
   だから、その国家権力の暴力装置としての警察も、土台となっている憲法を守るために機能しているということだろうね。
   それは警察官個々の判断事項じゃなくて、国家権力の土台である憲法を守るために機能することが
   いわば警察の遺伝子のなかにしっかり刷り込まれているということだと思う。」
網野「反原発ケシカラン、とか時の政権に逆らうのはダメだとかいう判断以前の問題ということ?」
哲野「そう。警察機構は憲法を守り、これに違反する行為を厳しく咎めるように作られていると言ってもいい。」
   (警察が自ら侵す憲法違反行為はまた別な問題なのでしょうが・・・)
哲野「だからこそ、安倍さんは憲法を変えたい。
   憲法を変えることによって、国家権力の暴力装置、軍隊、警察、検察などが
   末端まで一挙に変えられることを知っているからだ。
   その意味では憲法を変えるということは、単に政治上層部や行政機関上層部の話ではなく
   一挙に末端まで国家のしくみを変えてしまうということになる。」
網野「土台の末端まで一挙にひっくり返るということね」
哲野「そう。だから例えば、原発反対のデモは今は憲法に保障された権利だから警察もこの権利を守ろうとする。
   しかし、この権利が制限されてしまえば、警察も変えられた憲法に沿って動く、ということになるだろうね。」

網野「ところで、今回の犯人の動機についてはどう思う?」
哲野「そこは是非、知りたいとこだよね。事情聴取の調書を見せてくれ、というのは無理だろ?
   でもせめて、口頭でもいいから今回の犯人が何を考えてデモ妨害をしたのか、
   そもそも自分がデモ妨害をしたという認識があるのかどうか、
   そこは是非聞いてほしいけど・・・できるかなぁ」
網野「こんど警察に行った時に知る方法を聞いてみよう」
哲野「押さえつけられているときに、『毎週、毎週、デモをして歩いているから』と犯人が口走っていたのを僕は聞いている。
   だから、彼がデモそのものを毛嫌いして暴力行為に及んだのか、
   それとも反原発を訴えているから暴力行為に及んだのか
   それとも単にうるさくて、偉そうに目障りに見えたのか、
   色々な解釈や見方ができる。
   ぜひとも知りたいところだ。また、見方によっては背後関係があるとも考えられる。」

チラシは30部用意しましたが、哲野が集まった人たちに問われて事情説明をする時に
説明材料としてチラシを渡しましたので、17部しか残っていませんでした。

「何があったんだ?!」
「いや、僕たちがデモしてたら、襲われたんですよ。」
「どんなデモしてたんだ?」
「こんなデモですよ」(とチラシを渡す)
「なんで襲われたんだ?」
「いや、それはわからない。警察で事情聴取してもらう以外にはないですね。私も是非知りたい」

という風に・・・・

夜9時半回って警察署を出て、ようやく解散しました。
以上ご報告いたします。