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公職選挙法で定める選挙期間中の政治活動について

みなさま

広島県の選挙管理委員会に12月3日(公示前日)に行ってまいりました。

訪問の目的は、総選挙公示後の、市民の通常の政治活動が
公職選挙法に抵触するとすれば
いかなる点を注意したらよいか、ガイドラインを求めることです。

公示前日の広島県選挙管理委員会は急ごしらえの事務局で、狭い部屋がごったがえしていました。

市民から問い合わせが来る、などということは全く想定していなくて
入口のところで手近な人に声をかけ、要件を伝えました。

やがて女性の職員が現れて
書類で山盛りになった小さなテーブルを片づけて
そこで対応してくれました。
(15分待ちましたが)

15分待っている間の哲野との会話

哲野「こりゃあ、全く、政治活動についての市民へのアドバイスなんか、想定してないね、これは。
    受付のテーブルすらない。
    マニュアルの紙切れくらいあると思ったけど・・・それもないね。」
網野「結局、こういう要件で誰も来ていない、ということじゃないだろうか?
    考えてみると、公示後はみんな、選挙活動に入ってしまって
    政治活動をする市民はいないんじゃないかしら?」
哲野「うん、それ意外と当たってるかも。」

そんなことを喋っている間に、女性職員が再び登場。
手には、「選挙制度研究会 編 衆議院選挙の手引 平成24年」(ぎょうせい 2100円)を
しっかり握っていました。

1.6月から大飯原発再稼働反対のデモを続けていること
2.その都度、チラシを作って市民に散布していること
3.公示後もこの活動をやめるわけにはいかないこと
4.当然、選挙で反原発勢力に投票してくれと呼びかけたいこと

を説明しました。

職員「それは政治活動としてなさるわけですね?」
哲野「はい、憲法で保障された市民の正当な政治活動として行います。」
職員「要するに、公職選挙法で定められた選挙活動なのか、通常の政治活動なのか、
    その境目が問題ですね。」
哲野「はい、その通りです。」
職員「それは警察の刑事2課が判断することだと思います。」
哲野「!!!はぁ?!」
職員「選挙管理委員会は選挙活動が公職選挙法に合致してるかどうか
    例えば法定ポスターを使っているか、
    法定ビラを使っているかは判断しますが
    政治活動と選挙活動の境目については、判断できません。」

これは、暴論というものでしょう。
念のために、後で警察に寄って確認をしてみました。
警察の話ではすでに先週、総選挙取締対策本部を県警本部の中に立ち上げて
選挙違反になりそうな事案をチェックしているそうですが
基本的に選挙管理委員会から示されたガイドラインに沿って対策を講じているそうです。
当然、通常の政治活動か、選挙活動かのガイドラインも
本来であれば選挙管理委員会から示されるべきである、との見解でした。

これは警察の解釈のほうが正しいわけで
警察は法の執行機関であっても、判断する機関ではありません。
判断は、あくまで選挙管理委員会がすべきである、という県警の見解は
健全なものだと思います。

もし警察があらゆる事案を独自に判断するとすれば、それは警察国家になってしまいます。
広島県警も意外と健全なんだな、と思いました。

推測するに、急ごしらえの選挙管理委員会の職員は一般の県職員にすぎません。
長い間、国の下請け機関に甘んじてきた県の職員たちは
自ら住民の利益を図る、法の精神を守る、憲法を地方行政に活かしていく、という姿勢を
失っていると思います。

それで今回のような問題が起こると、自ら判断することをやめ
他に判断基準を求めるという体質が染みついているのではないかと想像しました。

この女性職員と議論をしてもはじまらないので

哲野「それでは、政治活動が選挙活動に抵触しないためのアドバイスをください。」
職員「私たちは安全サイドに立ちますので、出来れば選挙に触れないというやり方が望ましい。」
哲野「そういうわけにはいかない。
    原発問題は高度な政治問題ですから、政治問題を解決する場、
    すなわち選挙、これに触れないというわけにはいかない。
    だいたい、私たちのほうが選挙より先にはじめてたんですから。」
職員「それでは、公職選挙法の精神は公平ですから、
    選挙活動以外である特定の政党や
    候補者に有利になったり不利になったりする言動は
    選挙活動とみなされますので、ご注意ください。
    特に喋ったりして消えてしまうものはともかく、
    チラシをお作りのようなので、またチラシは残りますので、
    表現にお気を付け下さい。
    これが選挙活動だとみなされれば、チラシは違法チラシということになります。」
哲野「ま、あとは誹謗中傷は論外として、事実関係を提示するのはどうですか?」
網野「今、各政党の原発に関する政策を一覧にしたチラシを作ろうとしていますが・・・」
職員「それは構わないと思いますが、ただその一覧に、反原発の議員を選びましょうという呼びかけを入れると
    全体としては有利になる政党と不利になる政党が出てきますよね。
    これはどうでしょうか…」
哲野「そうすると、選挙期間中に経団連が『脱原発は非現実的だ』と言えば
    これは選挙活動としてみなされますか?」
職員「・・・・・・・・・・・・・」

このようなやりとりを45分間くらいして、もういいや、と切り上げました。
わかったことは、

1.公職選挙法で定める選挙期間中に、政治活動をすることをあまり選管は想定していなく、
  その境目は限りなく曖昧で、また、判例も少ない
  (公職選挙法に違反する選挙活動かどうかの判例はうんざりするくらいあります)

2.こうなれば自らのリスクで政治活動のギリギリを考えるほかはない。

3.選挙の摘発は買収・供応・選挙妨害など悪質な事例に限定されているようだ。

4.したがって、誹謗中傷、事実無根の主張、など市民社会の良識に反しないことを前提

にして、あまり気にしないことにしました。
ただ、はっきり言われたことは

1.特定の政党や個人に対する投票行動の呼びかけ
  (公職選挙法で定める選挙活動)
2.街頭演説等の選挙活動の妨害
  (公職選挙法で定める違法活動)

になる、ということです。

選挙期間中だからこそ、ひるまず、反原発を市民に訴えていこうと思います。

報告にもならない報告ですが、以上お知らせします。