【参考資料】ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ
(2011.4.12)
最新更新:2011.5.3
福島原発事故:参考サイト集
 私はこれまで記事中以外参考サイトを紹介しなかった。が、福島原発危機は違う。多くの人に閲覧してもらいたいサイトは数多くある。(私もお世話になっている。)

 以下解説とともにご案内する。取りあえず拙速で順不同、未整理のままである。ただ優れたサイトでも、筆者の実名(筆名でも構わない)や身元や責任が明らかになっていない、言い換えれば匿名性の強いサイトはオミットする。執筆者の執筆責任が取れていない記事には価値がない。

ドイツ連邦政府運輸建設都市開発省(ドイツ気象庁)の福島原発事故における放出放射能拡散状況予測サイト
Federal Ministry of Transport, Building and Urban Development / Deutscher Wetterdienst
※ドイツ語サイトだが、英語でも読める
http://www.dwd.de/bvbw/appmanager/bvbw/dwdwwwDesktop?_nfpb=true&_windowLabel=T178400415551302522764483&_state=maximized&_pageLabel=dwdwww_start
IRSN(フランス放射線防護原子力安全研究所)による2011年3月12日から3月19日までの、福島第一原発放出放射能拡散シュミレーション。
http://www.irsn.fr/FR/popup/Pages/animation_doses_corps_thyroide_19mars.aspx
国土交通省 国土地理院
http://mekira.gsi.go.jp/
「日本の地殻変動」から
■最新の地殻変動情報
http://mekira.gsi.go.jp/project/f3/ja/index.html
■地殻変動アニメーション
http://mekira.gsi.go.jp/JAPANESE/crstanime9604_9912v.html
http://mekira.gsi.go.jp/JAPANESE/crstanime9604_9912b.html
武田邦彦 (中部大学)
http://takedanet.com/
 中部大学教授 武田邦彦氏のサイト。これだけむつかしいことをよくこれだけやさしく説明できるものだ。武田氏の記述は科学的かつ客観的であり、かつ易しく優しい。特に子供をもつお母さん方は必見だろう。
原子力安全研究グループ
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/index.html
 京都大学・原子炉実験所の今中哲二、海老澤徹、川野真治、小出裕章、小林圭二などを中心とする研究者グループのサイトである。良心的科学者のサイトといっても過言ではない。やや専門的かも知れない。しかし私たち一般市民がこの内容を読みこなせないようでは、日本のエネルギー政策に関して正しい判断は下せない。「知らしめよ、拠らしむな」のサイト。なおこのグループは1980年6月から「原子力安全問題ゼミ」を継続して開いている。http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/100/NSRG_ZEMI.htmからゼミのレジメがダウンロードできる。チェルノブイリ原発事故関連の情報は圧倒的に豊富である。
原子力資料情報室(CNIC)
http://cnic.jp/ 
 『「安全な暮らし方を」と望むなら、原子力発電にエネルギーを頼ることはやめるようにしたい』と述べているように明確に「反原発」を掲げる科学者・市民グループのサイト。専門的知見から一般市民向け情報まで幅広い資料を扱っている。
Peace Philosophy Centre (ピース・フィロソフィー・センター)
http://peacephilosophy.blogspot.com/
カナダ・バンクーバーに本拠を置く平和問題シンクタンク「Peace Philosophy Centre」のサイト。日本語記事が充実しており、専門家の論文も日本語訳で読めるほか、ブログ投稿陣の記事も内容がある。福島原発問題の全体観をつかむには最適だろう。
The Atomic Age (原子力時代)
http://lucian.uchicago.edu/blogs/atomicage/
シカゴ大学・東アジア研究センター(<http://ceas.uchicago.edu/>)が後援するサイト。サブタイトルが「ヒロシマから現在まで」であるように、一貫して核兵器・原子力エネルギー問題を扱っている。核兵器の問題も原発の問題も出発点は「ヒロシマ」にあるという正しい歴史観に貫かれている。日本語ブログの記述は多くを学べるし、またアーカイブは、日本の新聞などを読むよりはるかに正しく「フクシマ危機」を概観できる。
(マンハッタン計画当時、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア大学とともにシカゴ大学は原爆開発における主要研究開発拠点の一つだった。しかし政権ベッタリの他大学と大きく異なり、同大学冶金工学研究所に集まった物理学者や化学者は、人類最初の原爆使用−日本に対する原爆の使用−に最後まで反対した、という輝かしい歴史を持っている。そのため、原爆開発の軍部側最高責任者レスリー・グローブズから「シカゴの雑草ども」呼ばわり<http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/Interim%20Committee1945_531.htmの「望ましくない科学者の扱い」の項参照の事>もされた。学問系統は全く違うが、私はこのサイトから、かつて原爆使用に反対した科学者たちの伝統を感じている。)
原子力百科事典 ATOMICA
http://www.rist.or.jp/atomica/
 こちらは原子力発電推進の雄、(財)高度情報科学技術研究機構(RIST)が運営するサイトである。原発推進派の運営するサイトであるからといって無益なのではない。特に原子力発電に関する基本的知識や仕組み、技術的背景を手っ取り早く学ぶには最適のサイトである。原発反対、賛成を言う前に原子力発電に関する基本的理解をしておかねばならないだろう。
(原子力発電技術に関する私の印象は、一つの矛盾を解決するために導入した技術が次の矛盾と問題を生むという、永遠の「技術のもぐら叩き」技術体系だということだ。それはこのサイトの情報を通読して見るとわかるかも知れない。)
日本語ウィキペディア 「福島第一原子力発電所事故」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80%E4%BA%8B%E6%95%85
 事故発生直後から丹念に毎日の事故のいきさつを追っており、第一級の参照資料だろう。「福島第一原子力発電所事故の経緯」(<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%AE%E7%B5%8C%E7%B7%AF>)とともに丹念に読めば、何が起こったかが把握できる内容になっている。「福島第一原子力発電所事故の経緯」は「福島第一原子力発電所事故」から途中で独立した項目。この記事の優れたところは、原発推進、反対のいずれの立場からでもなく、この「フクシマ危機」を見つめようとしているところにある。現在著作権問題が起こっているようであるが、けちくさい話である。私は原発推進派の学者か研究者が足を引っ張ろうと出しているクレームだろうと見ている。原発反対派の学者・研究者はそんなけちくさいことは言わない。
 一般に日本語ウィキペディアは英語Wikipediaに比べて出典があいまいであり、信憑性にかける項目もある。しかし本項目は、一つ一つ出典が明確であり執筆陣の意気込みを感じさせる。厖大な手間だと思う。敬意を表したい。
産業経済省 原子力安全・保安院
http://www.nisa.meti.go.jp/
私が「原子力不全・不安院」ではないかと悪口を書いた政府行政機関のサイトだが、それはそれで多様な情報を満載している。たとえば、「審議会・研究会一覧」(<http://www.nisa.meti.go.jp/shingikai/index.html>)は、原子力行政のこれまでの議論を跡づけられるし、用語集(<http://www.nisa.meti.go.jp/word/index.html>)などは彼らが使う言葉の意味について学ぶことも出来る。また「広報・広聴」(<http://www.nisa.meti.go.jp/koho/index.html>)では彼らがいかにこれまで「原発業界」や「原発器機業界」そして電気事業業界とともに、国を挙げて「原発安全神話」を広めてきたかを知ることも出来る。要するに書いてある内容ではなくてどの視点・観点から読むかだけの問題だ。その視点さえしっかりしておけば、非常に参考になるサイトである。
欧州放射線リスク委員会 (European Committee on Radiation Risk−ECRR)
http://www.euradcom.org/
 欧州放射線リスク委員会は、今日本が採用している放射線被曝線量基準を作成し、勧告している国際放射線防護委員会(ICRP)とは全く異なる基準で放射線被曝を研究し勧告を出している非営利団体であり、上記はそのサイトである。ECRRは2010年の勧告が最新。国際放射能防護委員会(ICRP)が、核兵器、原子力発電、放射線への医学的応用(X線、CTスキャン、アイソトープ治療など)人工的な放射能と共存することを前提にした勧告を出しているの対して、ECRRは人工的放射能を最低限にして、社会を作っていこうと考え、その思想から彼らの勧告が出されている、という言い方は許されよう。このサイトは残念ながら日本語では読めないが、2003年勧告日本語版序文(<http://www.jca.apc.org/mihama/pamphlet/pamph_ecrr2_msg_jpn.htm>)、2003年勧告序文(<http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nuclear/articles/ECRR_Recommendations_2010_Preface.html>)、2003年勧告第1章「ECRRについて」(<http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nuclear/articles/ECRR_Recommendations_2010_1_ECRR.html>)、2003年勧告「実行すべき結論」(<http://www.jca.apc.org/mihama/pamphlet/pamph_ecrr2_smry.htm>)などは日本語で、インターネット上で読むことが出来、おおよそ彼らの背景と考え方を知ることが出来る。ICRP基準とは異なる基準が存在することを知っておくだけでも価値がある。
国際原子力機関(IAEA)
http://www-ns.iaea.org/
原子力発電、原子力の平和利用を推進する立場のIAEAのサイト。“Fukushima Nuclear Accident Update Log(「フクシマ核事故 更新履歴」)というページ(<http://www.iaea.org/newscenter/news/tsunamiupdate01.html>)があり、彼らが「フクシマ危機」をどう見ているか、どう評価しているかを、事故発生の当日の3月11日時系列でおおよそ知ることが出来る。なお“Fukushima Nuclear Accident”のトップページはここ。<http://www.iaea.org/newscenter/focus/fukushima/index.html>
美浜の会
http://www.jca.apc.org/mihama/
サブタイトルが「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」とあるように、原発に反対する市民グループのサイト。ただ「美浜の会」が優れているのは、単に原発に反対するだけでなく、「市民」の立場から「原発問題」を勉強・研究しようという姿勢に貫かれている点だ。こうした姿勢から「シリーズ:六カ所再処理のここが問題」(<http://www.jca.apc.org/mihama/reprocess/rokkasho_series.htm>)、「チェルノブイリ事故」に関する一連の記述、世界中のニュースや出来事の紹介など参考になる資料を多く含んでいる。私は日本の市民運動はそれぞれが、それぞれのテーマ・課題のシンクタンクになるべきだと考えているが、この「美浜の会」は原子力発電問題に関する市民の立場からの「シンクタンク」に発展する要素を持っていると考えている。
文部科学省 環境防災Nネット
http://www.bousai.ne.jp/vis/
政府機関のいうことは嘘だらけと云うなかれ。このサイトは「放射能の生体への影響」というテーマに関して、さまざまな基礎知識を提供してくれている。たとえば、「原子力防災に関する資料」(<http://www.bousai.ne.jp/vis/shiryou/index.html>)では、原子力災害に関する法令集が読めるし、「用語の説明」(<http://www.bousai.ne.jp/vis/box/index03.html>)では原子力防災基礎用語集(<http://www.bousai.ne.jp/vis/bousai_kensyu/glossary/index.html>)、環境放射能用語集(<http://www.kankyo-hoshano.go.jp/kl_db/servlet/yg_s_select>)(サイト外ページ)に飛ぶことも出来てなかなか便利ではある。ただ基本的には「情報を提供しよう」と云う姿勢ではなく「情報を取りに来い」という姿勢で貫かれているのでさがしにくい。が、それさえわかれば、豊富な情報を提供してくれている。
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/
サブタイトルに「放射能汚染や事故の心配がなく、放射性廃棄物を生み出さない社会をめざして首都圏で活動を続けています」とあるように首都圏を基盤に、反原発運動を地道に続ける市民グループのサイト。特に福島原発事故発生以来、地道な勉強と研究の成果を生かして、「子供と乳児の安全を守る」闘い、「放射能測定プロジェクト」などをいち早く開始し、「20ミリシーベルト線量容認」を唱える菅政府・文部科学省を一歩一歩追い詰めていく姿は圧巻である。(「福島原発震災」コラム・バックナンバーを参照の事<http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/cat22627372/index.html>)これからの、現実政治を変えていく市民運動のあり方を強く示唆している。
 環境における放射線の医学的見地に関する委員会
http://www.comare.org.uk/
“Committee on Medical Aspects of Radiation in Environment - COMARE”。単に頭文字をとって「コマレ」と呼ばれることが多いようだ。コマレは「1985年11月にダグラス・ブラック卿を委員長とする独立諮問グループ(the Independent Advisory Group)報告による最終勧告 に対する一つの対応として設立された。」そしてその役割ないし目的は「自然放射線及び人造放射線の健康への影響に関して政府及び保健当局にアドバイスし評価するところにある。」そして今後の研究のために活用可能なデータや必要性について評価する。過去25年間コマレは放射線健康リスクに関して夥しい報告書や声明を発表してきた。その多くは本サイトで入手可能である。」ただしコマレもまた、放射線リスク評価においては国際放射線防護委員会(ICRP)モデルを使用している。もっとも最近の報告は「英国における原子力発電所近傍の小児白血病の事件に関するさらなる考察:コマレ第14次報告」である。(<http://www.comare.org.uk/press_releases/documents/COMARE14report.pdf>)なお人造放射線(man-made radiation)という訳語は、神戸大学・教授山内知也が、人工放射線(artificial radiation)と明確に訳し分けているので、その訳に従った。
 れんだいこの原子力発電訣別考
http://www.marino.ne.jp/~rendaico/genshiryokuhatudenco/top.htm
 「匿名」サイトはオミットという方針だが、このサイトは例外。(例外のないルールはない。)「れんだいこ」氏の論評は抜きに考えてみても、日本の原子力発電の歴史を豊富な資料や事実関係で裏付けている点は大いに参考になる。特に「日本における原子力政策史」(<http://www.marino.ne.jp/~rendaico/genshiryokuhatudenco/history_japan.htm>)や「原発ビジネスに群がる企業考」(<http://www.marino.ne.jp/~rendaico/genshiryokuhatudenco/kigyoco.htm>)などは一読の価値がある。私のような付け焼き刃でなく、年期の入った調べ様と見識である。(しかし、こうした人たちが実名で出てこないと、日本のWeb論壇・Webジャーナリズムも本物にならないなぁ)
 原爆生存者寿命調査−LSS  “Life Span Study (LSS)”
http://www.rerf.or.jp/library/archives_e/lsstitle.html
 財団法人放射線影響研究所−日米共同研究機関(放影研)(<http://www.rerf.or.jp/index_j.html>)のサイトの中にあるコーナーで、原爆生存者寿命調査の概説ページ。記述によれば、これまで寿命調査(以下LSSと略)は、1950年10月−1958年6月までの第1回報告を皮切りに1950年−1997年までのの第13回報告の概要が紹介されている。ためしに第13回報告の要約を読んでみると放影研の研究が外部被曝にほぼ集中し、被曝線量における外部被曝と内部被曝の影響の違いをほとんど区別していないことがわかる。当然のことながら、1990年代以降急速に発展した遺伝子研究の成果もほとんど反映されていない。恐ろしいことに、この放影研のLSSが、現在世界中で使われている(一部ヨーロッパ諸国はのぞく)国際放射線防護委員会(ICRP)のリスクモデルの基盤をなしている。そして日本政府はこのICRPモデルを基準にして福島原発事故による放射線影響に対処しているわけだ。従って放影研の日本語コーナー「福島第一原子力発電所事故について よくある質問 Q&A」(<http://www.rerf.or.jp/fukushima_qa.pdf>)の記述が、ほぼ外部被曝に集中したやりとりになっているのは決して偶然ではない。わずかにQ8で「内部被曝とはどういうことですか?」という質問に「放射性物質を体内に取り込んだ結果、内部から被曝することを指します。どういう元素であるかによって、排出される速度が違います。」と答えるのみである。こうした外部被曝のみに基づく知見からQ9「被曝した可能性があるときはどうすればよいのでしょうか?」という質問に「現在の状況では、被曝のレベルは低いと推定されますので、健康への害があるとは思われません」と答えながら、Q11「被曝後の発症予防は可能ですか?」の質問には「食べ物などを通して放射線が体に入ったときは(内部被曝)、発症を予防する方法は確立されていません」と極めて無責任に答えている。要するに放影研は内部被曝については無知なのだ。無知なのに「被曝のレベルは低いと推定されますので、健康への害があるとは思われません」と答えるところは、「ただちに健康への影響はありません」と答える官房長官枝野幸男以上に犯罪的ですらある。ここには電離放射線の体内細胞への諸影響、たとえばDNAの転位、破壊、変質をもたらす直接的電離、あるいはフリーラジカルの形成でもたらされるDNAの破壊や変質、ゲノム不安定性やバイスタンダー効果などがもたらすDNAの間接的な変質、対外に排出されないホットパーティクルなどによる慢性被曝状態から受ける影響などは一切無視である。いうまでもなく放影研は原爆障害調査委員会−ABCC(<http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/ABCC.htm>)を前身としている。