(2010.4.24)
<参考資料>イラン核疑惑:テヘランの「反核サミット」関連


そのB アフマディネジャド:「アメリカのIAEA資格停止」を追求


 「プレスTV」(Press TV)の電子版で、同じくテヘラン国際会議の初日、2010年4月17日付のイラン大統領アフマディネジャドの演説に関する記事(<http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=123553&sectionid=351020101>)。「IAEAからアメリカを追放せよ」とする演説で、突飛と見えるがそれなりに筋が通っている。以下本文。

 イランの大統領、マフムード・アフマディネジャドは、原子兵器敞のない世界についておおよその構想を語った。アフマディネジャドは、アメリカのような核武装国家はIAEAやその理事会から完全に除かれるべきだ、と云う。

 「みんなのための原子力エネルギー、誰のためでもない核兵器」軍縮会議は、この土曜日アフマディネジャド大統領が「核兵器のない世界」の構想をおおよそ述べることで始まった。

 2日間にわたる国際会議での演説で、アフマディネジャド大統領は、アメリカとその宏大な核弾頭の兵器敞は、地球規模での長く待望されている核軍縮からすると遅れている、と語った。

 さらに付け加えて、ワシントンは、いわゆる「抑止政策」の一部分を構成する核兵器の開発を続けているが、これは近年の大量破壊兵器拡散の主要な理由となってきた、と述べた。

 非常に興味深いことに、アメリカもイランも、同じく大量破壊兵器の、拡散あるいは不拡散、“proliferation”あるいは“non-proliferation”という言葉を使う。アメリカにおいては、「拡散」あるいは「不拡散」の対象に、核兵器不拡散条約の定める「核兵器保有国」は含まれていない。別な表現を使えば、5つの核兵器保有国以外の国あるいは地域、あるいはテロリスト、何でもいいが、核兵器が5つの核兵器保有国以外に広大することを「拡散」と呼び、5つの核兵器保有国に限定することを「不拡散」と呼んでいる。つまり「不拡散」とは5つの核兵器保有国の「独占」状態のことを指し、「拡散」とはその独占状態が壊れることを指している。しかしイランやこの会議に集まった諸国はそうではない。核兵器自体が地球規模で拡大することを拡散と呼んでいる。「拡散」の対象にアメリカを始めとする5つの核兵器保有国は含まれている。「西側」の常識からすると、非常にいびつな「拡散概念」である。しかし、核兵器の拡散は、アメリカが広島で最初の原爆投下をおこなったその翌日から始まった、という事実を考えると、むしろ核兵器の地球規模での拡散概念の対象にアメリカを始めとする5つの核兵器保有国を含めない方が「いびつ」なのであり、イランなどの言葉の使い方の方が正しい、と思える。)


  ワシントンは他の諸国に核兵器で対応してきたばかりでなく、何年にもわたって、自ら優位に立つために世界の諸国に大量破壊兵器を使用する威嚇してきた。』とイランの大統領は説明した。

 それを念頭に置いて、アフマディネジャドをこういった。

 そのような諸国(今日核兵器を使用すると他の諸国を威嚇し続けるような国)は国際原子力機関(IAEA)のメンバーの資格を剥奪すべきだ。』
 そのような諸国は(国連の番犬組織の中に)居場所はないし、IAEA理事会の中に居場所はない。』とアフマディネジャドは力説した。

 アフマディネジャドは、これに続けて国際社会の中に地球規模での核軍縮を監視する、独立した監視委員会を立ち上げることを要求した。

 今日われわれが必要なものは、核拡散を防止し、核軍縮のプロセスを監視する独立した国際主体である。』
 
 この演説の中で、アフマディネジャドは、すべての国家は、立ち昇る核兵器の脅威から安全だと実感する権利がある、しかしそのような安全を実感することは、幾ばくかの国だけが享受できる贅沢品なのだ、と述べた。

   
(そのCに続く)