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第130回広島2人デモ 2015年5月15日報告

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みなさま

毎度毎週お騒がせしております。
第130回広島2人デモのご報告です。

今回も、地味な話題です。
哲野の解説から。

哲野「前から、気にはなってたんだけど、原子力規制委員会に今年から
    『廃炉等に伴う放射性廃棄物の規制に関する検討チーム会合』が発足した。
   よく話題になるのが、使用済み核燃料などの高レベル放射性廃棄物。
   しかし、これから始まる廃炉ラッシュで原子炉設備、建屋解体にともなう
   放射性廃棄物はいったいどうするのか。
   これらは、『低レベル放射性廃棄物』だとして、これから処分されようとしている。
   この検討チームはこの低レベル放射性廃棄物の処分法規制について
   一年以内に結論を出すのがその使命。
   例によってここでも出てくるのがICRP。
   2013年勧告のPub.122がベースになっている。

http://www.icrp.org/publication.asp?id=ICRP%20Publication%20122

   主著者のウォルフガング・ヴァイス氏はICRPの幹部の一人で
   原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の重鎮。
   この人は、最近貰ったメールだと京都で講演をするそうだ。

https://www.jrrs.org/informpage/detail/25

   また、共同著者のCarl-Magnus Larssonはオーストラリアの核規制庁のトップで
   ICRPの第5委員会の委員長。
   日本人の共著者の梅木博之氏は去年までJAEA(日本原子力研究開発機構)の
   地層処分部長で現在はNUMO(原子力発電環境整備機構)の理事に就任している。
   本来、ICRPは、放射線防護の国際的勧告機関、
   UNSCEARは、国際的な核防護の評価機関、
   各国の核規制庁(原子力規制)や日本で言えばNUMOなどは
   こうした勧告や評価を批判的に検討して核規制行政(原子力規制行政)に
   取り入れる行政機関。
   ところが、同じ人物のグループが提案をし、その提案を評価し、
   その提案を取り入れるわけだから、
   なんのことはない、最初から出来レース。

   例えは悪いけど、殺人事件の犯人が、警察をやって、検察官やって、
   裁判官もやって、おまけに、殺人事件の法整備までやる、という図式。

   高レベル放射性廃棄物の処分問題も重要だけど
   もっと切実なのは、『低レベル放射性廃棄物』。
   見てると、低レベル放射性廃棄物っていったって、
   炉心設備の放射性廃棄物はぜんぜん低レベルでもなんでもない。
   おまけに、いままで低レベル放射性廃棄物だったものは
   クリアランスレベルと称して、一般産業廃棄物とすることを合法化しようとしている。
   電気事業連合会なんかは、これを再利用しようとしている。

http://www.fepc.or.jp/nuclear/haishisochi/clearance/
(このページの一番下に再利用例として、ベンチなどの写真が掲載されている)

   しかも、低レベル放射性廃棄物のうち、L3は
   『きわめて放射性レベルの低いもの』としてトレンチ処分だと。
   トレンチというと、なにやらありがたそうに見えるけど、
   要するに、地面に穴掘って埋めちまえ、というこういう話。

   これから、廃炉に伴って出てくる『低レベル放射性廃棄物』自体が
   各レベルで裾切処分にあって、我々一般の生活空間にあふれかえる恐れがある。
   今原子力規制委員会で進めていることは、こうした生活空間の中の
   放射性物質を合法化しようという動き。
   廃炉をスムーズにするためには、まず廃棄に伴うコストダウン、
   そのためには、放射性廃棄物の裾切処分がこれから進められるという話。
   これはある意味、高レベル放射性廃棄物の地層処分問題よりも
   我々の生活に密着しているだけに、深刻な問題かもしれない。

   ところでこうした世界の核産業界の体質、問題がせっぱつまってくると
   バタバタ動き出す、という体質は何も今に始まったものじゃない。
   いまから70年も前の核産業のパイオニアたちによって
   こうした体質を持ち続けると、核のエネルギーの利用は大きな発展が
   見込めないかもしれない、とすでに指摘、自己批判していた」

というわけで、今回のチラシとなりました。

▼第130回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20150515.pdf

▼タイトル
「研究の前段階の成果をもぎとり 続けてきた」核産業界(原発業界)
そのツケの一つが今回るー放射性廃棄物処理問題

▼トピック
1.1945年5月31日暫定委員会「研究の方法としては完全に誤っている」
2.当初から核の軍事利用のその向こうに、核の産業利用を見据えていたパイオニアたち
3.原子力規制委員会の「廃炉等に伴う放射性廃棄物の規制に関する検討チーム」初会合2015年1月26日
4.「廃炉に伴う放射性廃棄物」の課題は何か?
5.原発廃炉措置とは何か?
6.私たちはどれくらいの量の話をしているのか?
7.私たちはどの程度の時間軸の話をしているのか
8.いったいこれら措置に現実性があるのか

話題が地味なだけに、(地味な話題はたいていの場合、重要問題です)
プラカード作りに苦労しました。
これといって、一般受けしそうなフレーズがなかなか見当たらなかったからです。
結果以下のようになりました。

▼今日のプラカード

▼植え込みに差したプラカード


じゃけえさんがチラシの準備に手伝いに来てくれたので、
いつもより大幅に時間が出来ました。
哲野「チラシ何部もっていく?」
網野「15日だから15部にしよう」
哲野「配り手もいないし、そんなに取りにくるかなぁ。」
じゃけえ「哲野さんが一生懸命渡せばいいんじゃない?」
哲野「う、う~ん。それも言えるかなぁ。」

集合場所に着くと、ポツリポツリと雨粒が。

▼出発前の元安橋

警備の警察と指令書の確認。

6時の出発を待っていると、植え込みに立てたプラカードを遠くから見つけて
こちらに近寄ってきて、じ~~っと見ている初老の男性がいました。
哲野が、黙ってチラシを差し出すと、黙って受け取って読みながら立ち去りました。
哲野がじゃけえさんに、「ホラ、ホラ、チラシ取って行ったよ。こんな地味な話題、興味があるのかなぁ」

話していると、6時の音楽。出発です。
トップバッターはじゃけえさん。

じゃけえ「これから日本は原発の廃炉ラッシュに入ります。
     しかしまだ決まっていないことがたくさんあります。
     決めても実現できるかどうかもわかりません。
     まず廃炉がどういう風に進められるのかなど、チラシでまとめてあります。
     廃炉に伴う放射性廃棄物とはどういう分類になっているのか
     どれくらい廃炉で放射性廃棄物が発生するのか
     原子力規制委員会の資料を基にまとめております。

     地面に埋めてしまうくらいしかないんですが、
     日本では恐らく候補地もなかなか見つからないと思います。
     (高レベル放射性廃棄物は、地層処分と言う言葉を使うのに対して
      低レベル放射性廃棄物は、浅地処分と言う言葉を使っています。)

     廃炉にしたあとどのように炉心設備や放射化した金属や、建屋などの
     放射性廃棄物を処分するのかという技術が
     開発されないまま、日本も原発がたくさん建ってしまいました。

     廃炉には厖大なコストがかかります。
     放射性廃棄物の処理にも厖大なコストがかかります。
     これはすべて、わたしたちが払う電気料金や税金に組み込まれていきます。
     原発は決して低コストな発電方法ではないともう明らかになっています。

     70年前から平和利用時の核利用について
     幅広い基礎研究が必要だということが指摘されていました。

     ようやく廃炉に伴う放射性廃棄物処分について検討する会合が
     原子力規制委員会ではじまりました。
     日本の原発導入は、あまりにも向こう見ずな結論だったのではないかと思います。

     未来を生きる人たちに少しでも敬意を払うのであれば
     今すぐ廃炉にして放射性廃棄物処理の技術研究に注力するべきだと思います。

     廃炉後の放射性廃棄物の規制に関する検討が始まりましたが
     放射性廃棄物の規制基準が甘ければ、
     私たちの生活の身近に放射性物質があるという状態になります。」

歩き始めてすぐ哲野はチラシを2部渡したそうです。
それに、全員が気が付いたことですが、プラカードの注目度が高かったです。
それも、全く原発や、被曝などに関心を持たない層と見られる人たちが
良く見ていた、というのが実感です。
「なんじゃろ?この人たち」(私たちデモのこと)という層から、
放射性廃棄物に関心のある層まで、幅広かったと思います。
しかしその層の人たちは、積極的にチラシを読んでみよう、というところまではいきません。
今までと全く違う層が反応を示した、というのが大きな特徴です。

次に哲野です。

哲野「今日は廃炉に伴う放射性廃棄物の話がテーマです。
    すでに日本では福島第一原発の1~6号、
    中部電力の浜岡1~2号機
    日本原子力発電の東海原発、これは日本で最初の一番古い原発ですが
    これらが廃炉工程に入っております。

    さらに今年の前半、関西電力の美浜1~2号機
    中国電力島根1号機、九州電力玄海原発1号機、
    これらが採算ベースにのらないということで各社から廃炉の発表がされております。

    その他、福島第二原発には4基ほど原発がありますが、
    現在の状況では、福島の人たちは、この4つの原発の再稼働を
    たぶん許さないと思います。

    さらに北陸電力の志賀原発
    志賀原発の地下には活断層があるということが決定したようで
    再稼働できない、廃炉にせざるをえない。

    その他2020年までに寿命を迎える原子炉は8つあります。

    これらを全部数えると現在54ある原発のうち、半分くらいは
    20年代から本格的に廃炉に入っていくということになります。

    廃炉には、まず核燃料を撤去しなければなりません。
    それから原子炉内の設備を壊していって
    最後に原子炉建屋を壊し、更地にする。

    この過程ででる放射性廃棄物は膨大な量になります。
    原子力事業連合会の推計では
    恐らく45万トンに上るだろうという推計がでております。

    45万トンの放射性廃棄物をいかに処理するのか、これが大きな課題として
    原子力規制委員会で今年から議論が始まっています。
    『廃炉等に伴う放射性廃棄物の規制に関する検討チーム会合』
http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/hairo_kisei/

    しかし、ここの議論をきいていますと、非常におかしい。
    原子炉の炉心付近の設備。
    これらは長いこと中性子を浴びてますので、放射化現象を起こしています。
    わかりやすくいえば、普通の金属が中性子を浴びて、
    放射能を持ってしまう、ということです。
    どんな放射線核種が出てくるかは、その金属、あるいは物質によって決まりますが
    どちらにしてもコバルト60、ニッケル、こうした金属、それからトリチウム
    こうした同位体、放射性物質が大量に発生します。
    電気事業連合会の報告を読むと、たとえば
    炉心付近1kgあたり数千億ベクレルの濃度コバルト60を含んだ廃棄物が発生するそうです。
    しかしながら、今の日本の基準はネタ元はIAEAの基準なんですけど
    『低レベル放射性廃棄物』なんだそうです。
    なんか頭がおかしくなりそうですが…

    1kgあたり数千億ベクレルの放射能が、なぜ低レベル放射性廃棄物なのか。
    これ、非常に疑問なところです。

    議論をきいていると、原発を解体して発生した放射性廃棄物に
    使用済核燃量を除けば、中レベル放射性廃棄物は発生しない、
    全部低レベル放射性廃棄物である、こういうふうな議論になっています。

    低レベル、中レベル、高レベルといったって、
    しっかりした概念規定があるわけではありません。
    あくまでこれも、漠然とした言い方です。

    しかし、1kgあたり数千億ベクレルのコバルト60を含む物質が
    これが低レベルと言われると、こちらは頭が混乱してきます。
    これらをどう処分するのかというのが今回のお話です。

    現状では地中に埋めちゃう、というアイデア以外は出ていないようです。
    埋めるといっても3つのレベルに分けているようです。
    レベル1、レベル2、レベル3
    これもやっぱり放射能濃度で分けられているようなんですが
    たとえばL1は余裕深度処分にしなさいとこういうことになってるようです。
    余裕深度とはどういうことか。
    人間生活に充分な余裕のある深度にしなさい。
    地下鉄や、上下水道などに影響を与えない深さ。
    日本の法令では50メートル以上の深さを余裕深度と言っているそうです。
    ここに埋めてしまう。
    多くの放射性廃棄物は減衰する、限りなくゼロに近づくのに数千年から10万年かかる。
    もっとも時間の短いセシウム137も300年くらいかかる。
    私たちは頭の中で時間軸を拡げて考えないといけないことになります。
    10万年後、数万年後、せめて数千年後、はたしてここに放射性廃棄物を埋めたと、
    千年後に伝わるかどうか。
    その時には恐らく東京電力も、関西電力もありません。
    日本政府があるかどうかもわかりません。
    全く予想もつかない千年後、1万年後を想定して放射性廃棄物の話が
    いま話合われているわけです。

    映画で『猿の惑星』というのがありましたけど、
    ほとんどこの『猿の惑星』の話。
    こんな話が大真面目に原子力規制委員会の中で話あわれています。

    ちょっと考えてみてください。
    数百年先でいい、私たちがいったい、数百年先の人たちにどんな責任を負えるのか。
    関電や東電はまず残っていません。
    日本政府も別な形態になっているかもしれません。
    そういう、我々が責任を負えない世代、その世代を当てにして、
    現在、危険な放射性廃棄物を地中にうめちゃおうと。
    これで大丈夫なんだということを科学的に証明する必要がある、と
    原子力規制委員会の原子力規制庁の作った文書に
    書かれてあります。はっきり書かれてあります。

    1000年後、1万年後の人々に
    放射線による健康損傷の影響を与えないことを
    科学的に証明すること、と書いてあります。

    これを証明するためには
    1000年後の人間の行動様式がある程度想定されないといけない。
    生活様式、社会活動の様式、経済活動の様式などがある程度想定されなければ
    科学的に証明できません。
    しかしこれは誰にもわからない。
    従って、300年後、1000年後の人間の生活様式を
    現在の人間の生活様式をベースに考えている。
    これ、非常に非科学的な議論の進め方です。
    希望的観測に満ちた、非科学的な議論です。

    ウンザリするほど高い放射性物質、これらは原子炉の中で発生する
    自然にはない人工核種です。
    どうするのか、ようやく議論し、これといって妙案がでない、
    埋めることを正当化するための議論にしかみえない。
    それで原発を推進し再稼働しようという。
    こういうことじゃないかと思います。

    1000年後の話が私たちにできるでしょうか?
    これらを大真面目に彼らが議論しているのです。
    1000年後の地球に私たちが責任を持てるはずがありません。
    1000年後は、1000年後の社会が責任を持つ。
    私たちは今の社会に責任を持つ。
    今の問題を次の世代、次の次の世代、
    ましてや、1000年後の世代に先送りしてはいけないと思います。」

この間もチラシを取りに来た人がチラホラいました。
前にもお伝えしましたが、プラカードの注目度が高かったのが大きな特徴です。
なぜこんな地味な話題が注目度が高いのか、
じっくり分析してみる必要がありそうです。
次に網野です。

網野「廃炉に伴う放射性廃棄物の議論がようやく原子力委員会で始まりました。
    廃炉に伴うコストは、いままでは発電に伴うコストではありませんでした。
    それを、経済産業省のなかで、いや、廃炉は発電に伴うコストだ、という議論が
    にわかに起りました。
    廃炉に伴う費用を、各電力会社、純資産の中から負担できないからです。
    それで、廃炉費用は発電コストだと、規則を変えてしまって
    実は昨年2014年10月から、廃炉コストの一部は電気料金に含められるようになりました。
    このコストの範囲はこれからどんどん、拡大していくでしょう。
    相撲に負けそうだからといって、土俵をどんどん広げるようなものです。
    みなさんが、関心がない、と言っても、無関係ではありません。
    フトコロを痛めるのも、被害を被るのも私たちです。」

元安橋に帰ってデモ終了。
デモ終了したとたん、雨が降り始めました。
早々に事務所に引き上げました。
チラシは結局、15部持って行って、12部はけました。    

以上ご報告いたします。

デモのお知らせの時にも、書きましたが
翌週から広島2人デモは、しばらくお休みをいただきます。
実はここ3回も、綱渡りで続けてきましたが、時間的余裕から見ると
ここ3~4週間はアポイントメントが入って埋まってしまっており、
とうとう身動きが取れなくなりました。

6月23日は、広島2人デモをはじめてちょうど丸3年目になります。
この時までには、なんとか再開にこぎつけたいのですが、
いまのところ、なんとも言えない情勢です。

なお、デモが出来なくても、「まぼろしのデモチラシ」は続けたいなと思っております。