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第135回広島2人デモ 9月18日 2週遅れの報告です

みなさま

毎度お騒がせしております。
2週遅れの第135回広島2人デモ、9月18日の報告です。
なぜ2週間も遅れてしまったのか。
これは、説明できない理由があります。
したがって、説明できません。

この日のチラシのテーマは、引き続き川内原発再稼働に伴う私たちの動きです。

チラシ会議で、今、出来ること、法令を変えなければ出来ないこと、を
整理しておく必要がありそうだということが一つ。
もう一つは、川内原発1号機再稼働をじっくり検証してみると、
そこに原発推進勢力の原発再稼働戦略がくっきり浮かび上がってくるので
この点をテーマにすることが一つ。
原発再稼働は九州電力の経営にとっても、大きな重荷となっていくことを
説明することが一つ。

3つの、テーマを一連の流れとしてうまく説明できているかどうか
甚だ疑問ではありますが、やっておく必要を感じました。
結局、このことをしっかり理解しておくことは、マスコミにかき回されて
ことの本質の見失っている、特に川内原発30km圏自治体の人々にとって
重要だと思いました。

▽第135回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20150918.pdf

▽タイトル
現行原子力規制法体系下で私たちに何ができるか
ー“30km圏自治体同意”が法的要件問題ー

▽トピック
1.原発再稼働問題、4つの整理
2.川内原発1・2号機、規制基準適合性審査合格―これまでの経過
3.原発推進勢力の再稼働戦略-ダマしのテクニックとマスコミの全面協力ぶりー
4.なぜ「30km圏自治体同意が再稼働の法的要件なのか」-簡易版
5.“同意”とは、人為的放射能放出からの避難に“同意”
6.原子力災害(放射能災害)に関する国、道府県、自治体(市町村)の法的役割と責務
7.「自治体避難拒否宣言」はきわめて有効
8.「避難計画の実効性を自治体自らが検証」も有効
9.「国が責任を持つべきだ」の議論に潜む非現実性と無責任性
10.そもそもベント時避難義務規定そのものが憲法29条違反
11.八幡浜市長回答書にみる原発推進首長の責任放棄とペテンの論理
12.鹿児島県姶良市議会の決議の位置づけ
13.佐賀県でも使われる同じ無責任とペテンの論理
14.全国自治体の再稼働反対決議や避難計画の実効性を求める決議は、現在きわめて有効な手段です
15.川内原発再稼働でさらに電力供給過剰状態に陥る九州管内
16.原発は九電の利益を吸い取る吸血鬼
17.福島第一原発事故の反省と陳謝を早くも忘れた専門家たち
▽本日のプラカード

▽植え込みに立てたプラカード

集合場所にいくと、仕事を終えたじゃけえさんが一人で待っていました。
ということで今日は3人です。

待っていると、拡声器の声が聞こえてきます。
ああ、そういえば今日は、安保法制反対のデモが大規模に行われるとメールで流れていました。
警備の警察の方に聞くと、出発時間が18時で同じで
どうも本通り電停でぶつかりそうだとのこと。
邪魔になっては悪いので、早めに出て、先に本通り電停を渡ってしまおう、ということで
18時になって即出発。

スピーチは、じゃけえさんがトップバッター。
この日じゃけえさんは、相当力が入っていました。

もう一度、はじめから原発再稼働を取り巻く環境を広島市民に説明したい、
という気持ちがあふれていたスピーチでした。

じゃけえ「3.11前は、原発は事故を起こさない、安全でクリーンな発電方法だと謳い
     稼働してきましたが、3.11で事故は起こりました。
     原発は、けっして安全でもなければ、クリーンでもないことが明白になりました。
     おまけに、決して、安い発電方法でも、また、原発の電気がなければ
     電力不足に陥るわけでもないことも、明らかになりました。
     原発を取り巻く環境が大きく変わりました。
     これからの日本では、原発は苛酷事故を起こす可能性があることが前提で
     再稼働とされようとしています。
     規制基準に適合していても、けっして事故を起こさない、安全な原発ではありません。
     原子力規制法体系も大きく変わりました。
     それまでは、苛酷事故を起こさない前提で法体系ができていましたが
     現在は苛酷事故を起こすことを前提に法体系が整備されています。
     規制基準に適合していても、けして事故を起こさない原発ではありません。
     ですから、事故を起こすことが前提で、避難計画策定も義務付けられています。
     避難計画策定の範囲は、概ね30km圏自治体に法令で義務付けられています。
     実際にはいったん福島原発事故並の苛酷事故が起これば
     こんなものではすみません。
     30km圏の避難計画は、再稼働の法的要件です。
     30km圏自治体の避難計画が出来ていなければ、原発は法的に再稼働できません。
     川内原発1号機は、営業運転を開始しましたが30km圏内の自治体の避難計画は
     出来てはいるものの、実際の役に立つかどうかは検証されていません。
     実効性があるかどうか、極めて疑わしいものとなっています。
     疑わしいどころか、9つある自治体のうち、3つの自治体までが
     正式に市議会決議で避難計画の実効性について大きな疑問を出しています。

     つまり、事実上、避難計画はないも同様なのです。意味がありません。

     私たちは原発のために避難計画を策定すべきだと、みなさん、思いますでしょうか?
     原発のために、いざとなれば、逃げる覚悟がみなさん、出来ていますか?

     広島から一番近い原発は、四国電力の伊方原発ですが
     瀬戸内海をへだてて、100kmしか離れていません。
     風のながれも潮の流れも、広島に向かっています。
     もしここで、福島原発事故並の苛酷事故が起これば、
     広島は1週間で4.32mSvの被曝実効線量になることが
     原子力規制委員会のシミュレーションでわかっています。
     空間線量率に直すと、約40μSv/hになり、現在の福島原発敷地内と
     ほぼ同じ線量になります。とても人が住める線量ではありません。
     一時移転という名の避難を強いられることになります。
     その可能性がある、ということです。
     その可能性に向けて、みなさん、避難する覚悟がありますでしょうか?」

ここで、警備の警察の方が「安保法制反対デモの最初のグループが、もう来ているようです」
網野「はやっ」
▽安保法制反対デモの先頭集団(こっちに気がついているようです)

ここでスピーチを中断し、本通り電停を渡りました。
安保法制反対のデモの声とぶつからないことを確認して、じゃけえさんのスピーチ再開です。

じゃけえ「広島市民のみなさん、原発問題について、考える必要があります。
     みなさんの中で無関心の人がいるとしても、無関係な人は一人もいません。
     原発問題について考える際、私たちは知らないことが多すぎると思います。
     テレビや新聞では、肝心なことを全く知ることができません。
     それどころか、私たちを混乱させ、本当に知ることから遠ざけるような報道が圧倒的です。
     でも、知ろうと思えば、調べれば、必要な情報は
     手の届くところに公表されています。

     あとになって、教えてくれなかった、知らなかった、騙されていた、では通用しません。
     知ろうと思えば、知ることのできるように、情報は公表されているからです。

     原発問題を考えるにあたって、是非、こういう一次的情報、
     正確な情報を元に、考えてみてください。

     昨日、参議院の関連委員会で安保法案(いわゆる戦争法案)が可決され
     本会議に上程されることになっています。
     あれは、憲法違反です。
     原発問題も、憲法と大きく関わっています。
     原発は稼働するだけで、人格権侵害の具体的恐れありとして
     大飯原発3・4号機は福井地裁から運転差止めを命じられましたし
     さらに今年は高浜原発3・4号機が同様の理由で福井地裁から仮処分命令を受けました。
     これらは全て日本国憲法を元にしています。
     憲法を守って貰わなければ、私たちの権利を守ってもらえません。
     安保法案も、原発問題も同じように考えてみてください。」

次に哲野です。

哲野「昨日、参議院の委員会でいわゆる安保法案が可決しました。
    集団的自衛権の行使を前提とした安保法案ですから
    これ、まるごと憲法違反です。

    今日は、安保法制の話ではありません。
    憲法違反の安保法制が日本で成立するそのドサクサにまぎれて
    九州電力川内原発1号機が違法な再稼働をしました。
    9月10日のことです。

    九州電力川内原発1号機の再稼働は、違法な再稼働です。
    このことをみなさん、よく覚えて置いて下さい。
    この違法な再稼働は、広島から最も近い原発、伊方原発でも行われるだろうからです。
    なぜ、これが違法な再稼働なのか。
    憲法に違反するからじゃありませんよ、みなさん。
    今の原子力法体系の中で違法なんです。
    詳しくはチラシをお読み下さい。

    また、九州電力にとっても、川内原発の再稼働は決して良いことではありません。
    さらに、経営を圧迫し、悪化させるだけです。

    いま、お配りしているチラシに、九州電力直近3期の経営指標を掲載しています。
    それによると、直近通期決算で、2015年3月期、九電本体の自己資本比率は
    7.3%。7.3%ですよ、みなさん。
    一部上場会社の自己資本比率が7.3%。
    こんなことはありえません。
    零細企業だって、7.3%の自己資本比率だと、もう倒産レベルですよ。
    今一部上場会社の自己資本比率って、平均すると35%くらいでしょうか。
    株式投資の基準だって、自己資本比率が40%を切る企業の株は買うな、と
    指南するほどです。7%なんていうと、よく上場してるねっていう感じです。
    それほど内容が悪化している。

    それを色々分析してみると、一言でいって
    原発ビジネスにお金を使いすぎた、ということです。

    たとえば直近3期、九州電力は原発の電気を1kWhも生産していません。
    1円の売り上げ寄与もしていません。
    にもかかわらず、原発の維持だけのために、3期合計約4000億円のお金を使っています。
    これ一般企業でいえば、考えられない話。
    1円の売り上げ寄与もしていない製造ラインや営業部門に、
    4000億円のお金を突っ込みますか、みなさん。
    こんなことをしてれば、株主総会で経営者はつるし上げ
    無能経営で総退陣を命ぜられます。
    ところが、電力会社というところは、これが許される摩訶不思議な世界です。

    といっても、今期は前期に比べて、大幅な経営改善をしています。
    この経営改善の大きな理由は、二度にわたる電気料金の値上げ
    値上げ効果が非常に大きい。
    それから、太陽光発電で高い電気を買って、政府から補償の交付金を貰っている。
    この交付金だけで1000億円ですよ。
    元はといえば、この1000億円も、私たちの電気料金です。
    中国電力の請求書をみなさん、見て置いて下さい。
    小さい文字で、再エネ賦課金が入ってます、と書いてあります。金額も書いてます。
    これが政府に集まって、電力会社に支払われる再エネ交付金に化ける、と
    こういう仕掛けになっています。

    次に、世界的なエネルギーコストの値下がり、これもう、暴落といって良いんじゃないでしょうか。
    この寄与が大きい。
    それと、やはり九電もやっと前期から、火力発電の合理化に手を付け始めました。
    高い燃料の石油や重油発電をやめ、効率的な
    LNG発電や石炭発電の方にやっとお金を使いはじめました。
    といっても、速効はありません。

    速効はやっぱり、長崎県の松浦、松島にデンと構える、電源開発の石炭火力発電所。
    これ、あわせて300万kW。
    川内原発の発電容量なんか、メじゃありません。
    しかも、電源開発から買う電気は安い。
    直近の電源開発の有価証券報告書を見ると、平均すると
    1kwhあたり8.3円で電力会社に売っている。
    チラシにも入れておきましたが、九州電力は1kWhあたり、平均約19円で売っている。
    大口需要家には17円で売っている。
    小口零細需要家には、我々家庭の電気料金のことですけど、22.75円で売っている。
    つまり、電源開発から8.3円で買って、一般家庭に22~3円で売っている。
    こんな悪どい商売はありません。
    江戸時代の博徒、国定忠治の賭場だって、てら銭は1割5分だった。
    電力会社がいかに悪どい商売をしてるか。
    こんな悪どい商売をしても、なお赤字。

    九州電力直近の経常赤字は、931億円の赤字。純損は1190億円。
    この1190億円の純損を出している会社が、この年、1円の売り上げもしていない
    原発にその維持費だけで1363億円のお金を使っている。
    このお金を使ってなければ、九電は今年だって立派な黒字だったんです。

    ところが、いったん原発を持ってしまうと、1円の売り上げがなくても
    1kWhの電気をつくってなくても、メンテ費とか、人件費とか、あるいは
    将来廃炉に向けた積立金とか、あるいは使用済み核燃料の再処理費用積立金とか
    地方自治体に支払う事業税とか、もろもろあわせてこれだけのお金を使わざるを得ない。

    原発が安い発電手段なんてのは、真っ赤なウソです。
    原発は、金喰い虫なのです。

    しかも今私が挙げた数字には、高レベル放射性廃棄物の最終処理費は
    ほとんど含まれていない。現在も積み立ててはいますけれども、
    圧倒的な積み立て不足であることは間違いない。
    こうした現在発生しているコストを、先送り先送りして、
    なんとか安く見せかけているというのが実態です。

    この実態が、福島原発事故後、一斉に止まった原発のために、
    有価証券報告書上、隠せなくなった、あわらになってきた、とこういう話です。
    一方で総資産は膨らみ続けている。
    純資産は目減りし続けている。
    つまり、借入金は膨らみ続けている、ということです。

    チラシに2015年3月末現在の、九州電力の有利子負債の一覧表を付けておきました。
    社債、長期借入金、短期借入金、あわせて3兆3370億円です。

    みなさん、仮に平均金利が1%強としても、目のこで400億円の金利を事実上
    金融機関や保険会社に払っている。これも元はといえば、我々の電気料金です。
    一方で目減りしている純資産、これが決算書上、3323億円。
    総資産4兆3909億円の会社の純資産がこれですよ。

    しかも、この純資産の中身がよくない。
    貸借対照表を見てみると、加工中核燃料という項目が出てきます。
    これは使用済み核燃料です。
    使用済み核燃料がなぜ加工中なのかというと、
    将来、青森県の六ヶ所村に送ってここからプルトニウムを取り出す、
    いわゆる再処理の課程にある、という建前なので、加工中なんです。
    しかし、使用済み核燃料は核のゴミでしかありません。
    資産価値はゼロです。
    資産価値ゼロの核燃料をどうどう資産計上できるかというと
    経産省の会計規則でそうなっているからです。
    経産省の会計規則は一定の比率を差し引いて、使用済み核燃料資産として
    計上しなさい、とこうなっています。
    この金額、2800億円です。
    純資産の3323億円から2800億円を差し引いて見て下さい。
    残る金額は500億円強。
    自己資本比率7%も、実は核のゴミを計上してやっと7%なんです。

    これでよく証券市場が文句を言わないものだと思いますけれども、
    使用済み核燃料の資産計上は、はっきりいって、粉飾決算です。
    経産省公認の粉飾決算です。
    せめて上場は取りやめるべきでしょう。
    もう企業の体裁をなしていません。
    これが、九電の実態です。
    本来、電力事業は、儲かる事業です。
    これがなぜここまで惨めな赤字会社になってしまうのか。
    一言でいって、原発ビジネスが屋台骨を食い荒らしている、と
    言って差し支えないと思います。

    それが証拠に、世界最大の原発企業、核コングロマリット、フランスのアレヴァ社は
    事実上倒産しました。
    フランス政府があわててお金を突っ込んだんで、倒産は免れましたが
    事実上の倒産です。
    もう、先進国では、原発はビジネスにならない、あまりにもお金がかかりすぎる
    あまりにもリスクが大きすぎる、ですから原発ビジネスは今、ロシアや中国
    あるいは発展途上国中心の、後進国ビジネスになりつつある。
    これが実態です。
    事故を起こすから、原発やめようというだけでなく
    経済的にも日本社会に大きな、大きな負担がかかる。
    原発やめましょうよ、みなさん。」

哲野のスピーチ中、通り過ぎるビジネスマンの注目度が凄まじいものがありました。
じゃけえさんによると、ビジネスマンでチラシを取りに来た人は3人いたそうです。
最後は網野です。

網野「今お配りしているチラシに、九州電力の有価証券報告書の数字を入れております。
    直近91期では、大幅な改善がありました。
    これは、料金値上げ効果、世界的なエネルギー価格の下落が大きく寄与しています。
    今期中間期予想では、580億円の経常黒字が予測されていますが
    これは、すべて、料金値上げ、世界的なエネルギー下落でもたらされたものです。
    このままいくと、今期(92期)は1000億円近い黒字かとおもいきや
    そうはいきません。
    いままで損益には関係なかった、規制基準適合性審査をクリアするための
    投資がこれから損益に繰り込まれます。
    オマケに、金融機関からの借入金利が重くのしかかってきます。
    つまり、稼いだお金は、ぜーんぶ、原発に突っ込む、ということになっています。
    原発は、安い発電手段などというのは、真っ赤なウソです。

    今回のチラシでは、今日本で無理矢理、国民を騙してでも
    原発再稼働に持って行こうとする勢力の、言ってしまえば騙しの手口も分析してます。
    一言で言えば、規制委の審査に合格した原発は安全だと思い込ませ、
    原子炉設置変更許可が出た時点で、審査合格と大宣伝し
    福島原発事故前と同様、同意は30km圏自治体ではなくて
    直接立地県と直接立地自治体だけで十分とし、
    30km圏自治体同意は法的要件ではない、と世論形成をするという手口です。
    良かったら、チラシをご覧になってください。
    お騒がせしました、ありがとうございました。」

元安橋に帰ってきてデモ終了。
チラシは10部しか持って行かなかったんですが
どういうわけか、いつの間にかなくなりました。
誰に渡したかがあまり明確ではありません。
みんなスピーチに夢中になってたんでしょうか。
しかし、ビジネスマンの反応は面白かった。

以上ご報告いたします。

広島2人デモ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/