プロフィール

コンテンツ

記事一覧

第90回広島2人デモ 3月7日報告

ファイル 271-1.jpgファイル 271-2.jpgファイル 271-3.jpgファイル 271-4.jpg

みなさま

毎度毎週お騒がせしております。
2014年3月7日、第90回広島2人デモの報告です。

この日、10時から広島市議会の決算特別委員会が開催され
トップバッターの質問者が田尾健一市議で、私たちが請願している
「伊方原発再稼働反対決議」(市議会で継続審議中)に関する関連質問が
なされるという連絡があり、傍聴に行きました。
(傍聴人市民は合計7人、すべてこの請願の関係者です)

請願の主旨は、伊方原発の再稼働は広島市民の生存権を侵害するというものなのですが
広島市当局、広島市議会には原発問題を生存権問題として捉える枠ぐみ自体がありません。
広島市当局、広島市議会は、基本的に
「原発問題はエネルギー問題」「環境問題・地球温暖化問題」として捉えています。
ですから、広島市議会の請願審査の枠組みも、「地球温暖化エネルギー対策」として
扱うほかはなく、最初から認識のずれと広島市・広島市議会の原発問題に対する
厚い壁を崩すところからスタートしなければなりません。

反対決議を求めるのではなく、

「地方自治法第九十九条
普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき
意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」

に基ずく意見書決議であるならば、国の政策に対して物申すということなので、ハードルは低いのですが
これでは原発問題をエネルギー問題として扱う枠組みから一歩も出ることが出来ず
あくまで広島市議会の伊方原発再稼働反対決議でなければならないと考え、

「第百二十四条
普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、
議員の紹介により請願書を提出しなければならない。 」

の条項にのっとった反対決議請願としました。

余談ですが、地方議会に特定の原発を対象とした反対決議は日本で初めてだろうと考えていました。
(現在まで反対決議とされている地方議会の決議は99条に基づく意見書決議です。)
ところが最近になって知ったのですが、函館市議会が2012年9月25日に
「大間原子力発電所の無期限凍結を求める決議」
http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/soumu/ohmagenpatsu/data/hakodate/ketsugi240925.pdf
を全会一致で採択しており、これがおそらく日本で初めての
地方議会が特定原発を対象にした反対決議になります。
(この場合は大間原発は建設中なので稼働反対ではなく建設反対となっています。主旨は同じです)

広島市議会の議員さんに個別に当たってみると、やはり意見書採択決議より再稼働反対決議のほうが
政治的影響が大きいことを認識している人も多く、意見書採択よりハードルが高いと実感しました。
(面白いことに、この決議の政治的影響力を正当に評価している議員さんは
 革新系の人よりも、保守系の人たちに圧倒的に多く、
 被爆都市ヒロシマでこんな決議を採択すれば、国際的影響が大きすぎるという
 自民党議員さんもいました。)

▼広島市議会の決算特別委員会の様子

前置きが長くなりました。

この日の質問は田尾議員に対する広島市当局の回答が中心のやりとりでした。
面白い事に、原発問題に関する市担当部局は環境局温暖化対策課です。
なぜ原発問題の担当部局が温暖化対策課なのか?
これは国の政策課題の流れに沿った割り振りです。
つまり、原発はCO2を出さない、地球温暖化の元凶はCO2など温室効果ガスである、
従って原発推進することは地球温暖化対策の有効な武器である、という
認識に沿った担当割り振りです。
つまり、広島市は原発推進政策を採っていることになりますし
質疑の当局回答もほぼこの線に沿ったものでした。

いわく、伊方原発再稼働問題は原発問題・エネルギー問題である、
エネルギー問題は国の専管事項であり、地方自治体としての広島市は
国のエネルギー政策の行方を見守り、福島原発事故で発生した国民の不信感についても
充分留意しながら政策を進行していってほしい、と要望している、という回答に尽きます。

いくつか当局の回答のなかでデタラメや嘘もありました。
一番酷かったのは原子力規制委員会の審査進行状況に関する広島市当局の見解でした。
曰く、「現在再稼働申請をしている原発については、原子力規制委員会で適合性審査
(この言葉を使うようになったのは大きな前進です。前回はまだ「安全審査」と呼んでいました。)
が進行中であり、その行方はまだわからない、また新しい規制基準や審査の内容については
非公開なのでよくわからない」
これはとんでもないデタラメで、規制基準及び規制規則、規制規制に伴う原子力規制委員会の内規は
堂々と原子力規制委員会のwebサイトに公開されていますし
(ただし、A4版1000ページ以上と言う大物ですけども)
審査の内容についても、資料、議事録、審議状況動画映像も全て公開されています。
(対テロ対策だけは概要のみ。詳細公開はなし)
ですから、温暖化対策課の回答は全くのデタラメなのです。

いちいち数え上げればきりがありませんけど、もう一つだけ加えれば
質問者が中国電力管内の電力事情はいかが?という主旨の質問に対して
広島市当局の回答は中国電力そのものの販売電力量とその比較でお茶を濁しておりました。
中国電力管内ということは、中国地方全体です。
発電容量全体は中国地方は原子力・火力・水力合わせて約1600万kWの発電設備を持っています。
それに対して、中国電力が持っている発電設備は1180万kWにすぎません。
中国電力は自前の火力発電設備を寝かしてでも、他社から電力を買って販売しています。
また一般電力は(家庭用を除く)すでに独立系電気事業者と大口顧客の間で取引が進んでおり
中国電力を介在しない電力取引量が次第に増加しています。
すなわち、中国電力管内の電力需給状況について、中国電力だけを語っていたのではまるで実態がわからない。
そういう事態にいまなっていることを、全く議会に報告していません。
(あとでこの問題を田尾議員に聞いてみると、意図的に市当局がとぼけている、というよりも
 勉強研究不足なんだと、一部電力自由化前、福島原発事故前の状況認識そのままで
 中国電力から貰った資料を鵜呑みにしているという事情説明がありましたし
 私たちもその通りだと思います。)

というわけで、ぶんぶんに怒りながら、午後の広島2人デモと相成りました。

今日の参加者は5人、
哲野、網野、じゃけえさん、飛び入り初参加のアイさん、原田さんですが
各人、入れ代わり立ち代わりのめまぐるしい1日でした。

▼今日の出発前
 陽が延びました。欄干の街灯に灯がついていません。

▼第90回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20140307.pdf

▼本日のプラカード

集合場所に行って待っていると警察の方がみえたのでいつも通り指令書の確認。
警察の方と「寒い!」という話になりました。
前日は広島も寒波で小雪がちらつきました。
雑談していると音楽が鳴りました。
哲野、網野の2人で出発です。

最初は哲野のスピーチです。
今日のチラシのテーマである、トリチウムをかいつまんで説明し、
トリチウムの危険は本当は有機結合型トリチウム(OBT)にあること、
従ってトリチウムは外部被曝ではほとんど無害、
100%内部被曝する極めて特殊なかたちの放射性物質であること
その細胞損傷のパターンはICRP学者のいう様な電離エネルギーによるものではなく
身体の内部、とくに細胞形成とその破壊に関わる内部被曝のパターンであることなどを
説明しました。

しかしやはり怒りが収まらず、午前中の広島市議会の決算特別委員会のやりとりを
広島市民のみなさんに報告しつつ、

哲野「申し上げたように、広島市当局及び、多くの広島市議会議員は
    目の前に事実を突き付けられてもなおかつ、
    伊方原発再稼働問題は原発問題、
    原発問題はエネルギー問題、
    エネルギー問題は国の専管事項、
    従って地方自治体としては国の動向を見守る、という
    原発安全神話時代どっぷりの姿勢を全く崩していません。

    福島原発事故からやがて3年を迎えようとしていますが
    福島原発事故から私たちが学ぶことは
    私たちの生命と財産は、私たちが守らなければ誰も守らない、守ってくれない、
    という教訓ではなかったでしょうか。

    大変気の毒な話ではありますが、国に騙された、と飯舘村の村長さんは言いました。
    飯舘村の村長さんとしてはそう言いたかったでしょうが、
    村民の生命と財産を守るという首長の第一義責任からすれば
    これは言い訳にもなっていません。

    広島市民の生命を財産を守る第一の責任は、まず広島市長、
    それから広島市民の代表である広島市議会が
    負っていなければなりません。

    今日私が広島市議会の決算特別委員会で見た光景は
    広島市民の生命と財産を守るという第一義責任を放棄し
    生命と財産を『お国まかせ』にする広島市の姿勢でした。

    広島市当局は、そして、決算特別委員会に出席にしていながら、
    市長あての質問にも一言も発しなかった松井広島市長は
    担当部局である環境局温暖化対策課長の答弁に100%任せました。

    みなさん、この事実を忘れないようにしてください。
    広島市は原発に関わる、広島市民の生命と財産、一言でいえば生存権問題を
    一担当課長にすべて下請させている、そういう姿勢であることを。
    総じていえば、広島市は、ポスト・フクシマ時代の地方政治の在り方から
    全く取り残されています。
    私は何にもまして、この広島市の態勢は大変危険極まりないものだと思いました。
    みなさまはいかがお考えでしょうか。」

哲野のスピーチ中に、じゃけえさんが合流です。
次にじゃけえさんのスピーチです。
じゃけえさんは、伊方原発が広島から一番近い原発であること
原子力規制委のシミュレーションでは伊方原発で福島並みの苛酷事故が起きたら
原子力災害対策指針に照らし合わせると、広島市は一時移転の対象になること
これに黙っていたら、伊方原発再稼働を認めたことになる
反対ならば、はっきり反対と意思表示しなければ再稼働賛成とみなされる、
みなさんが主観的にどう思おうが、黙っていれば賛成、これが政治的意思表示です、と
訴えました。

そして、折り返し近くで、じゃけえさんが所用でデモを離れました。
(あとで知ったのですが、古い友人2人に伊方原発再稼働反対の共同請願人署名を
依頼しにいったのだそうです。その友人は「福島は収束もしてないのに、再稼働なんておかしいよね」と
言ってくれたそうです。)

そして再び、哲野の網野が2人で歩くことになりました。

哲野のスピーチ中に立て続けに3人ほどチラシを取りに来た人がいました。
哲野は左腕にチラシのふくろを抱え、右手にマイクを持っていますので
渡すことができません。左腕をだして
哲野「すみません、これ、今日のチラシなんです。取ってもらえますか?」
慣れたような手つきで相手は持っていきます。
そうしてチラシを取りに来た人が、アイさん。
チラシをとって、読みながらしばらく哲野と並んで歩きます。
そのうち、スピーカーを肩からぶら下げて、両手にプラカードを持ってあるく
網野が気の毒になったのか、「あの~私、プラカード持ちましょうか?」
哲野「助かります!手が足りないので。」

しばらく哲野のチラシをようやくしたスピーチが続きます。
折り返して半分のところで原田さんが息せききって合流。
仕事場から直行で来たようです。

スピーチと寒さで疲れていた哲野はこれ幸いと原田さんにマイクを押し付けます。
哲野「寒くてくちびるが上手く動かないんだよね。」
原田さんのスピーチがはじまります。

原田「広島から最も近い原発は中国電力の島根原発、ではありません。
    広島から最も近い原発は、直線わずか100キロ、
    四国は愛媛県、佐田岬半島に付け根に位置する
    四国電力伊方原発です。
    そしてこの伊方原発の再稼働がまじかに迫っています。
    伊方原発は危険な原発です。
    使用済み核燃料はプールに1000体以上、ぎゅうぎゅう詰めのうえに
    南海トラフ震源域の端っこですが、その上に位置しており
    また、巨大な活断層帯である、中央構造線のほぼ真上にあります。
    地震でもあれば、巨大な事故に繋がる可能性があり
    広島市民としては、絶対に稼働させてはならない
    大きなリスク要因です。

    そればかりではありません。
    事故を起こしていない状態でも、通常運転でも
    瀬戸内海に大量のトリチウムを放出しているのです。
    トリチウムの危険については、本日のチラシを是非ご覧ください。

    伊方原発の再稼働を認めるかどうかは
    広島市民の生存権を守るかどうか、という問題です。」

とスピーチ、しばらくして網野にマイクが渡ります。
網野はやはり伊方原発再稼働問題に触れ、自治体の第一義的責任は
住民の生命と財産を守ることだ、と説明し、さらに

網野「それは事実ではありますが、自治体の首長や市議会に
    その第一義責任を守らせるのは、私たち一人一人の力です。
    いくら、松井市長や広島市議会に、その第一義的責任を果たせと言ってみても
    私たちが主体的に動いて、そうさせなければ、彼らは第一義的責任を果たしません。
    つまり、広島市民の生命と財産を守る仕事は
    私たち広島市民一人一人の仕事、そして私たちが次世代の人たちに果たす
    大きな責任と義務だということです。
    みなさん、フクシマ事故から3年経ちます。
    3月11日がまじかに迫っています。
    3月11日は東日本大震災で亡くなった人々の鎮魂と祈りの日だと言う人もいます。
    しかし、福島原発事故はまだ継続中です。
    事故は続いているのです。
    放射能の危機も続いています。
    私たちは第二の福島事故を起こさないように、
    私たち自身が第二の飯舘村にならないように
    いま、しっかり考え、行動しなければなりません。」

元安橋に帰ってデモ終了。
飛び入り参加のアイさんは最後まで付き合ってくれました。

警察の方も、私たちも、寒くてガタガタ震えていたので
すぐに解散いたしました。
原田さんと3人で、近くのコーヒーショップにいって
小一時間、おしゃべりしました。

以上ご報告いたします。

尚、3月11日火曜日は18時からいつものコースで
「3.11」特別版を実施します。
いまのところテーマは「放射能安全神話の克服」です。
もしよろしれば、ご一緒に。