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第123回広島2人デモ 2015年2月27日報告

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みなさま
(いくつかのメール・メーリングにお知らせします)

毎度毎週お騒がせいたします。
第123回広島2人デモの報告です。

今日のチラシのテーマは
「関電大飯・高浜原発運転差止仮処分命令申立訴訟の歴史的意義
司法が原発再稼働を止める日本初のケース」
です。

チラシをつくりながらの哲野との会話。

網野「今日のテーマは地味というか、広島市民には遠い話かも」
哲野「広島市民だけじゃないと思うけどね。
   ところがどっこい、これはすごく興味のあるテーマなんだよね。
   もしかすると、その可能性は高いけど、司法、この場合は福井地裁だけど、
   即効性で原発の稼働を止めてしまうかもしれない、という話なんだよね。
   丁寧に調べたわけじゃないけど、司法の命令で原発が動かせなくなる、
   運転できなくなる、これは日本ではじめてのことじゃないだろうか。
   それ以上に、今後の原発再稼働問題のキーファクターになる事件だよね。」
網野「憲法に基づいて原発が止まる、ということだよね。」
哲野「それはその通りだけど、憲法を根拠にして原発に運転停止命令を出したケースは
   たとえば昨年の福井地裁判決がそうだ。
   でも、関電は名古屋高裁金沢支部に控訴した。
   仮に関電がここで負けたとしても、最高裁に上告するだろう。
   原発を止める、という意味では即効性がない。
   ところが今回訴訟は仮処分命令決定が出れば、命令が取り消されるまで
   関電は大飯原発・高浜原発を運転できない、ここが決定的な違いだ。
   つまり、即効性を持って司法が原発の運転を止めるわけだ。」
網野「本当に止まるんだろうか、というより、まさか~と思ってる人は多いんじゃない?」
哲野「それもわかるような気がする。
   というのはこれまで司法は無力だったからね。」
網野「結局最後の最後には、ひっくりかえってきたからね。」
哲野「そう。でも今回の裁判はひっくり返るまで原発がとまる、という点にミソがある。」
網野「高裁か最高裁で、関電が勝訴するまで、止まっちゃうんだもんね。」
哲野「そう。現在金沢支部で争われている福井地裁の『大飯原発運転差止命令』裁判とは
   まったく逆転した展開になる。」
網野「止まるんだろうか?」
哲野「僕にもまだ実感がない。でも歴史は時々とんでもないことを起こすからね。
   大げさな話になるけど、第一次世界大戦の時、ドイツ皇帝の仕立てた封印列車に
   乗ったレーニンはモスクワに着いてもまだ本当にこれからロシア革命が起るかどうか
   ピンと来ていなかったそうだからね。
   今回の決定が日本の原発の歴史に大きなターニング・ポイントになるかもしれないね。」

ということで、チラシの内容はこちらです。

▼第123回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20150227.pdf

▼トピック
1.関電はなぜ、高浜再稼働時期を2015年11月以降としたか?
2.大飯・高浜原発再稼動と「仮処分命令」申し立て事件
3.「仮処分命令」で、大飯・高浜原発は再稼動できない
4.福井地裁判決の展開する、「原発は万が一にでも苛酷事故を起こしてはならない」=「原発リスクゼロ論」
5.福島原発事故後、原発に対する考え方は劇的に変わった
6.原子力規制委員会-規制基準、基準地震動評価手法の盲点
7.2014年11月27日の大津地裁判決の意味
8.「仮処分命令申立」を何故緊急に行わなくてはならなかったか?-福井地裁判決を無視する関電・規制委、原発自治体・・・
9.2015年1月28日第1回審尋で関西電力の示した反論
10.第2回審尋が「3月11日」と決まった意味
11.大切なことは、司法(福井地裁)を応援し、勇気づけること

▼プラカード

今日は、じゃけえさんから仕事で来れないという連絡があったので
恐らくは2人になるだろうということで集合場所にいきました。

▼プラカード

集合場所で待っていると警備の警察の方が来たので指令書を確認。
で、みんなで「寒い!」を連発。
この日、冷え込んで気温は6度。
前日が暖かかっただけに、余計寒さがこたえます。

出発直前になって、
哲野「今日は司法が原発を止めるかもしれない、という話で広島市民の反応を伺ってみようよ。
   おそらくは、もののわかった人ほど、そんなバカな、という反応だと思うよ。
   若手の公務員の人にこの話をしたら、うす~く口元だけに笑いを浮かべて
   何も言わなかった。常識的にはそうだよね。」
網野「じゃ、それでいこうか。」

チラシは10部しか持っていきませんでした。
恐らく、広島市民のなかで反応を示すひとは少ないだろうと思ったからです。

18時5分に元安橋を出発しました。
今日はほとんど哲野のスピーチです。
おおよそ次のようなことを喋ってあるきました。

===

現在、福井地裁で大飯・高浜原発運転差止仮処分命令の申し立てが行われています。
仮処分命令というのは、私も良く知らないのですが、申立人の権利が明らかに侵害されそうなときに、相手方の行為を一時的に止める命令を裁判所に出 してくれ、というものです。
よくビル建設時の日照問題など環境権保全で使われる手法です。
民事裁判ですから、原告・被告という言い方ではなくて、債権者・債務者という言い方になっているようです。
この場合、債権者は大飯・高浜原発から250km圏に居住する市民、債務者は関電になります。

もし、福井地裁がこの仮処分命令決定を出したら、法的に関電は大飯原発・高浜原発を運転できなくなります。
この仮処分命令申立は、今回初めてのことではなくて、これまで反・脱原発グループが何回も同じ申し立てをしてきました。
直近の例では昨年11月に申立却下の決定が出た大津地裁判決があります。
この時は債権者は滋賀県に居住する市民グループでした。
ですから、順当に考えれば今回も却下されるだろうと見るのが常識です。
なにしろ、却下しない、命令を出すとなれば、原発は止まっちゃうんですから。
動かせないわけです。

ところが、今回は却下にならない、仮処分命令が出てしまう可能性が大いにあるのです。
いままでと今回が何が違うのか、という点についてはプラカードやお配りしているチラシにやや詳しく書いております。
一言で言えば、今回の仮処分命令申立の根拠に、他ならぬ福井地裁が昨年5月21日に判決を出した、「大飯原発運転差止命令」の論理がそのまま使わ れているからです。
もちろん、福島原発事故そのものがこの福井地裁判決に決定的な影響を与えています。

私自身は福井地裁が仮処分命令を出し、大飯・高浜原発が動かせなくなる、司法が現実に原発を止める、という事態になると見通しています。
みなさん、多くの方は、いまこの本通りを歩いておられる99%の人は、そんなバカな、司法にそんな力があるわけがない、と思っておられると思いま す。
これまでの経過を見る限り、それが常識というものです。

しかし、今回は常識を覆すようなことが起る可能性が高いのです。
常識は、いつまでも常識ではありません。
ややこしい話は抜きにして、とにかくみなさん、「大飯・高浜原発運転差止仮処分命令申立事件」、「大飯・高浜原発運転差止仮処分命令申立事件」、 このフレーズをよく頭に入れておいてください。
新聞やテレビは、ほとんどこの申立事件を常識通り扱ってほとんど伝えませんが、仮処分決定がでれば大騒ぎになることは間違いありません。
インターネットではこの事件のことを色々伝えています。
どうかみなさん、この事件に注意を払い、審理のなりゆきをしっかり見守っていてください。

===

往路の途中、アンデルセンのところで、写真を撮る男性がいました。
写真を撮ってそのまま立ち去るのかと思ったら、「チラシを貰えますか?」と声をかけて来られました。
チラシをざっと見た後、
男性「私も『福島原発告訴団』のメンバーです。」

▼福島原発告訴団
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/

その人は、福島県の郡山出身の人で、自転車で広島の平和資料館を目指して旅をしてきたということです。
哲野「それで、いつ広島に着かれたんですか?」
男性「今日、ついさっきです。」
哲野「やはり原発、いかんですか。」
男性「私は大反対です。」
デモの最中でしたが、しばらく立ち話となりました。

今回、チラシは4部しか手渡すことができませんでした。
予想通りといえば予想通りですが、プラカードに対する反応はちょっと違っていました。
若い人や女性は、プラカードを見る人は少なかったのですが
35歳以上の男性、一見、社会の第一線で働いている人たちの注目度が高かったのです。
中には立ちどまってじっとプラカードを凝視する人も1人や2人ではありませんでした。
網野の観察でも、振りかえってプラカードを見たり、遠目から見ていたりと
ビジネスマン男性の反応が目立ちました。
いったいどういうことなのか、あとで分析してみる価値がありそうです。

折り返しを過ぎて、しばらくして原田さんが参加しました。
今日2人では人数が少ないと思ったので、原田さんに出来たら来てほしいと連絡をしていました。
原田さんも今が一番忙しい時で、勤め先を出るのも夜の9時、10時となっていることを承知で無理なお願いをしてみました。
哲野「よく出て来れましたね」
原田「今日はこれで失礼します、用事があるので、と強引に出てきちゃった」

▼本通りの様子。18時半を過ぎると寒さのせいか、いつもより人通りが少なめでした。

早速原田さんのスピーチです。
原田さんはおおよそ次のような話をしました。

===

福島原発事故の前と後では、原発の再稼働の条件が全然違っている、ということをみなさんにお伝えしたくて歩いております。
福島原発事故前は、原発の稼働は当時の規制当局、原子力安全委員会が認めればそれで稼働・再稼働できました。
地元の同意も法的要件ではなく、電力会社は単に安全協定に基づいて、原発地元自治体及び立地県の事前了解を取れば、なんなく再稼働できました。
今は原子力規制委員会の規制基準に適合すること、この場合も法的3要件があります。
原子炉設置(変更)許可、工事(変更)計画認可、保安規定(変更)認可の3つです。
この3つとも、原子炉等規制法にしっかり書き込まれていますので、法的絶対条件です。
その意味では、九州電力の川内原発も、関西電力の高浜原発も、3要件を満たしていませんので、法的にも審査合格ではありません。
そればかりではありません。
現在の稼働・再稼働のためには、原発から30km圏自治体の同意が必要です。
このことがあまり知られていません。
30km圏自治体でも理解した人が少ない。
こうして私たちが理解していないところにつけ込んで、強引に原発の再稼働を進めようとしているのが現状です。
このことをどうかみなさん、知っておいてください。

===

もう元安橋も見えてきました。
今日の2人デモもそろそろ終わりに近づきました。
網野「私も一言。」
哲野「え~?いまから?だって、もう終わりだよ」
網野「ええい、だまらっしゃい!」

ということで、最後は網野のスピーチです。

===

原子力規制委員会は原発の安全性を審査してると思っている人が多いと思います。
マスコミがそう報道してますから。
実際はそうではないんです。
規制委が審査してるのは、新規制基準に適合しているかどうかであって、安全性を審査しているのではありません。
もちろん規制基準は原発の運転を出来るだけ安全に近づけようという考えで作られてはいます。
しかし、規制基準を守れば、安全性が保たれる、あるいは担保されるとい性質のものではありません。
今日のチラシでもご説明していますが、特に地震大国日本における規制基準の地震動評価手法は大いに疑問のあるところです。
ですから、規制委田中委員長も原子炉設置変更許可を出すたび「これで安全だとは申し上げません」と繰り返さざるを得ないのです。
どうかみなさん、マスコミの報道に惑わされたり騙されたりしないでください。
規制委が審査しているのは、原発の安全性や安全ではありません。

広島市から最も近い原発は愛媛県にある四国電力の伊方原発、ここから100kmです。
島根県の中国電力島根原発は135kmです。
広島県から最も近い原発は、確かに島根原発ですが、広島市となると、伊方原発が一番近い原発です。
その伊方原発も規制委審査が相当煮詰まってきました。
だけど、その規制委も安全だと言って審査合格をするわけではありません。
こういったことを知ったうえで、ご判断ください。

===

元安橋に帰ってデモ終了。
今日は寒いのと次の用事が各自迫っていたので、早々に解散しました。

なお、大飯・高浜原発運転差止仮処分命令申立に関する資料はこちら。
福井から原発を止める裁判の会の中にあります。
▼大飯・高浜原発仮処分福井支援の会
http://adieunpp.com/karisasitome.html
よろしければぜひ原文をご一読ください。

以上ご報告いたします。

広島2人デモ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/