プロフィール

コンテンツ

記事一覧

第110回広島2人デモ 10月3日報告

ファイル 342-1.jpgファイル 342-2.jpgファイル 342-3.jpgファイル 342-4.jpgファイル 342-5.jpg



みなさま
(いくつかのメーリングにお送りします)

毎度お騒がせしております。
第110回広島2人デモ10月3日の報告です。

まず、最初に第110回広島2人デモチラシに4ページ追加があります。
もともと、この日のチラシは16ページで構成していたのですが、時間切れで途中12ページまで作成して、広島2人デモを実施しました。

次回のチラシは全く別テーマを企画していましたので、デモ終了後追加の4ページを作成することになったものです。

その前に、誤りの訂正をいたします。

◆8ページ
<特定放射性物質廃棄物処分費>の項で、この費用項目計上を「2015年度」から実施としていましたが、これは2005年度の誤植です。
訂正いたします。

◆9ページ
<減価償却費>の項で、中国電力の島根3号機に関して2013年度までに投じた建設費を「約5000億円=推定」としておりますが、これを約 4500億円=推定と訂正をいたします。
同建設費は、2012年度末同社の有価証券報告書の建設仮勘定の内訳で4333億円であることが確認できており、また、同社経理部担当者に面談の 上、これが島根3号機の建設費充当額であることも確認できております。

ところが同社は2013年度から建設仮勘定の内訳を公表しなくなっており、推定せざるを得なくなりました。

2012年度の島根3号機建設進捗比率は約97%でありましたので、4467億円が2013年度末の建設費と推測することができます。
が、同社は島根原発に対して2013年度原子力規制委員会の規制基準適合対策費を投じていますので、約4500億円と3号機の建設費を推定いたし ました。
推定5000億円には、ご説明したとおり、しっかりした根拠がないのでお詫びの上訂正いたします。
なお、このチラシの他の箇所では島根原発3号機建設費を約4500億円としております。

さて、追加4ページは以下の通りです。

<経産省=電力会社の「原発ビジネスモデル」は破綻している>
 表▼9電力会社がもし原発をやめ、再処理をやめた場合の純資産残高
<「使用済核燃料再処理」隠れた現在コストは4兆8750億円>
 表▼10原発会社が原発を継続しかつ六ヶ所村再処理施設が稼働した場合の再処理費用
<原発再稼働どころではない、大量の核のゴミ処理が最優先課題>
 表▼日本の核施設 使用済核燃料の貯蔵量
 表▼高レベル放射性廃棄物の貯蔵量

現在アップロードしているチラシPDFはすでに訂正しており、また追加4ページを加え、16ページ構成になっております。

以上、訂正かたがたご報告いたします。

▼第110回広島2人デモチラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20141003.pdf

では報告です。

今回のチラシ作りはてんやわんやの大騒ぎでした。
もともと、16頁だての欲張った企画の上に、読む資料が多く、まとめるのが大変でした。
そのうえ、追い込みに入って哲野のパソコンがダウン。
これはもうダメかと。(=デモ中止)
と、思った時に網野が思いつきました。
「もしかして、運が良ければCドライブは生きてるかもしれない。」
「それがどうした」
「だから、別なパソコンにCドラだけ移植しちゃえばいいんじゃない?」
「できるの?そんなこと。」
「できるに決まってるじゃない。同じ型のパソコンが転がってるんだから」
で、入れ替えてみたところ、見事作動しました。
Cドラへの電源供給系統がイカレていたようです。
Cドラ自体は生きていました。

その後、完成直前になって、哲野が資料を読み誤っていたことに気が付きました。
使用済み核燃料再処理対象の数量が読めていなかったのです。
それで直している暇もなく、別な問題も出てきます。
網野「この原子力規制庁の資料、おかしい。」
全国の原発敷地内にある使用済み核燃料の数量合計表示数字と、実際の合計数字が違うのです。
哲野「原子力規制庁の作った資料だよ?
    そんなバカなことがあるわけないだろ。
    堂々と公開している資料が。」
網野は一応エクセルに移して、エクセル上で計算をしていました。
本当に合計表示数字と実際合計が違うのです。
以下にお示しします。

「使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約
日本国第5回国別報告について」(平成26 年10 月1 日 原子力規制庁)
https://www.nsr.go.jp/committee/kisei/h26fy/data/0030_09.pdf

94P

上記のデータ表で、使用済み核燃料の総合計数量は16,869トンと表示されていますが、
実際エクセルで合計してみると15,476トンしかないのです。

網野「これ、どういうこと?」
哲野「もう考えられることは一つしかない。
    差額の1393トンは、福島第一原発敷地内に貯蔵されている使用済み核燃料だ。
    公表直前になって、これはマズイ、で試算中、と変えたんだけど、
    合計数字を変えなかったんだろう。」
網野「なぜ、そんなことになったんだろ」
哲野「これも、考えられることは一つしかない。
    大量放出期で放出された放射能の量が、まだ最終確定してないんだ。
    僕は当時原子力安全・保安院の発表した損傷率から逆算して130トンとしているけど、
    本当に130トンだったのかどうか。
    これがまだ本当にはわからないんだろう。
    問題は、放出された放射能に相当する使用済み核燃料の数字を含んで1393トンなのか、
    それとも実際に1393トンの貯蔵量があるのか、これはわからない。
    しかし考えられない資料だよね。
    項目数字と合計数字が合わないなんて。危うく騙されるところだった。」

みたいなことが次々と魔物に取り憑かれたように襲ってきて、ついに時間切れ。
16ページは諦めて、12ページで2人デモにいくことになりました。

じゃけえさんと、3人で集合場所に向かいました。
集合場所で警察の方といつも通り指令書の確認をします。
顔見知りの警備課の警察の方になんとなく、もうお二人、男のひとがついています。
哲野がてっきり、デモ参加者かと思い、「あの~どちらさまで。」
「あ、警察です。」
「こちらの方は?」
「あ、警察です。」
「ということは、今日はお3人で?先週の件があったからですかね、やっぱり」
「ま、それもありますけど、やはり、念のためには・・・ま、他に仕事もありますから・・・」

網野「今日はこれは・・・」
警察「先週デモ妨害がありましたので、心配して、念のため、ついておこうということになりました」
網野「ありがとうございます。私もまさか、こんな数人のデモに妨害があるとは思わなかった・・・」

網野が事情をきいてみると、いつもの警備課の人に加えて県警本部が心配して2人つけることになったようです。

網野がデモ中にそれとなく観察すると、この3人の警備の方以外に、
要所要所に私服の警察の方が配備されており目を光らせていたようです。

音楽が鳴って、じゃけえさん、哲野、網野の3人で出発です。

▼本日のプラカード

▼今日の天気。だんだん暗くなってきました。18時前には欄干に灯がともりました。

最初はじゃけえさん。

じゃけえ「私たちは原発に反対ですが、その主張を押し付けようという気はありません。
     ただ、知っていただきたい事実がたくさんあります。
     その事実を知って原発問題を考えて欲しいというのが、この活動の目的のひとつです。
     情報は隠されてはいません。
     (隠されている情報も確かにありますが、公表されている情報もまた厖大です)

     テレビや新聞などの情報では知りえないだけで、全て公表されている情報です。
     今回は原発問題から眺める電力会社の基礎知識その3です。
     使っている資料は主に電力会社の有価証券報告書や経産省の公表情報です。
     専門的な文章もあり、一般にはなかなかわかりにくいのですが、わかりやすくまとめてあります。」

これを聞きながら哲野は冷や汗をかいていたようです。「わかりやすく、と努力はしてるんだが・・・」

じゃけえ「先週この2人デモは妨害に遭い、中断しました。
     一方的な暴力を受け、仕方なく中断することになりました。
     私たちの目的は、原発問題について情報を広報することが一番の目的です。

     原発はコストの高い発電手段だというのは、原発がスタートした時から関係者では常識になっていました。
     そのため、原発をコストの安い発電手段と見せかける様々な会計処理規則が作られました。
     このことを私たちが調べて知るのは福島原発事故以降のことです。

     でも私たち一般国民に対しては、安くてクリーンな発電手段だと謳い、稼働してきました。
     そんな中で福島第一原発事故が起ってしまいました。
     色んな視点から見ても、原発は不合理で危険な発電手段です。
     今回のチラシは原発ビジネス問題から見た情報になっています。
     原発は発電しなくても、運転しているだけで莫大なコストがかかります。
     他の発電手段と違い、解体しただけでは後処理ができません。
     使用済核燃料を安全に処理するために莫大なコストがかかります。
     そのためのお金はほとんど蓄えられてはいません。

     (電力会社の費用項目は「特定放射性物質廃棄物処分費」という名称でコスト処理されてい ます
     しかし、それはやっと2005年度からで、現在その積立金総額は地層処分費も含め、約1兆円にすぎません)

     原発施設解体費の積立金も足りません。
     足りないので、どうするかという話にやっとなったときに
     原発施設の解体費用は発電費用に含まれるので、営業費用として計上しようということになりました。
     つまり、私たちの払う電気料金に含まれています。

     (この新しい会計処理規則は、2013年10月1日に経産省から省令として施行されまし た。
    ですから2013年度からは本来、損金処理しなければならない施設解体費は、堂々と営業費用項目に加えられました。
    私たちが電気料金から払うようになったのです。)

     
     さらに、原発施設の解体費用だけでは原発は廃炉にできません。
     解体費用というのは建物を解体して更地にする費用です。
     原子炉の中にある使用済核燃料を最終処理するために、莫大なお金がかかります。

     使用済核燃料は再処理してまた新たな燃料として使おうという計画で進んできました。
     青森県六ケ所村にある再処理工場で再処理するために費用が14.2兆円必要という試算がでています。
     ですが積立不足が11.6兆円になっています。(総処理トン数が3.2万トンの時)
     もし、青森県六ヶ所村の再処理工場が稼働すれば、この11.6兆円は私たちが電気料金で払っていくことになります。

     また、高レベル放射性廃棄物の最終処分のためのお金はほとんど積み立てられていません。
     原発の解体費同様、電気料金に転嫁されるのではないかという恐れが、いま、あるところです。

     そういった事実をみたただけでも、原発ビジネスは完全に破たんしています。
     原発が建って40年経ったあとのことが、全く考えられていない状態です。」

じゃけえ「原発問題は私たちの問題です。
     私たちは毎月電気料金を払っています。
     その中に原発を支える費用がたくさん組み込まれています。
     原発のための費用をたくさん払っているので、私たちは原発問題のことを考えなきゃいけないと思います。
     電気を使っているのですから、原発問題は私たちの問題です。」

じゃけえさんから哲野にマイクが渡ります。
哲野はチラシの内容をおおよそ説明したあと、

哲野「今もなお、全国の原発の敷地内に
    膨大な量の使用済核燃料が単にプールに水漬けにされて保管されています。
    トイレなきマンションという言葉がありますが、誰が言いだしたか知りませんが
    トイレなきマンションどころではありません。
    わたしたちはトイレそのものに暮らしているのです。
    しかも、危険な高レベル放射性廃棄物のトイレです。
    これをまずなんとかしなければなりません。
    原発再稼働などは問題外のそのまた外です。」

この間に、それぞれ仕事を終えたKさんと原田さんが合流しました。
Kさんはチラシまきに専念します。
次は原田さんです。

原田「2016年から電力販売の完全自由化がはじまります。
   (現在は一定の規模以上のユーザーの自由化、いわゆる部分自由化です)
    この完全自由化がはじまったら、
    ちょうど今の再エネ電気の固定買い取り制度のように原発の電気を、固定買い取りにしよう、
    という議論が経済産業省の中で行われているそうです。

(経済産業省 資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会
http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html
▼第6回2014年9月16日会合
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/denkijigyou/genshiryoku/006_giji.html )

    これはいったい、何を意味するんでしょうか?
    電力販売完全自由化時代を迎えれば、原発による電気は価格競争力はないんです。
    だから、今の再エネ電気のように固定買い取り制度にしなければならないんじゃないか、
    そうしなければ原子力発電は消えてしまうんじゃないか、という議論です。

    みなさん、これはおかしな議論です。
    というのは原発の電気は安かったはずじゃないですか?
    火力発電よりも、水力発電よりも安かった、原発は安い電源だから、推進するんだと
    こういう話ではなかったでしょうか?
    ところがいざ、完全自由化が近づいてくると、原発は固定買い取り制度を導入しなければならないほど
    高い電源、ということになってしまう。
    非常におかしな話です。
    そうです。原発は非常にコストの高い発電手段なんです。
    これを経産省も認めたということです。」

次に網野にマイクが渡ります。

網野「電力会社が高レベル放射性廃棄物の最終処分に積み立てているお金は、1兆円足らず。
    約9700億円です。
    一方で、使用済み核燃料の再処理に必要なお金は、14.2兆円と見積もられています。
    そのうち、電力会社はすでに2兆4500億円積み立てています。
    また、再処理工場、これ、青森県六ケ所村にあるんですが、皆さんご存知だと思うんですけど
    この建設費が2014年10月現在で2兆2500億円投じられています。
    総投資はこの数字では済みません。というのは、原子力規制委員会の核施設規制基準適合審査中で
    この基準に適合しようとすればさらに大きな追加投資が必要だからです。
    この経過はチラシにまとめてあります。

    わたしは、このチラシをつくってみて、眺めてみて、おかしいなぁと思いました。
    いずれは最終処分をしなければならないのはわかっていた確実なことです。
    その最終処分に対する積み立てが、1兆円たらず。
    なのに、再処理に14.2兆円使う。
    しかもそのうちもう、2兆4500億円積み立てている。
    その工場建設に、2兆2500億円以上使う。
    みなさん、これ、順番逆じゃないでしょうか?
    最終処分のことを先に考えてお金を手当てし目処をつけ、それから再処理を考えるべきじゃないですか?
    順番が全く逆です。いままで、私たち、なにやっとったんでしょうか。
    新聞やマスコミ報道に慣らされて、逆の順番がおかしい、これじゃ将来破綻する、という
    健全な常識、健康なものの考え方がすっかり曇らされていたと考えるしかありません。

    私たちが調べたいきさつをチラシにまとめてあります。
    一度ご覧になってみてください。
    その上で、原発に対する態度、賛成反対をお一人お一人、自分の責任においてお決めください。
    私たちは原発に反対ですけど、結論だけをみなさんに押し付ける気はありません。
    それよりみなさんが判断する材料をご提供したい、そう考えております。」

元安橋に帰ってきてデモ終了。
今回は表と小難しい説明ばかりのチラシなので、いつもよりさらに減らし25部しか持って出ませんでした。
残ったのは2部。
哲野「あれ、意外とチラシがなくなったねえ」
Kさん「うん。いつも無関心だったあそこカバン屋さんがあるじゃない。
    あそこがついここ最近からチラシを受け取るようになったり、
    結構、データだらけのチラシを勧めれば読んでみようと言う人が増えたんじゃないかな。
    という感じがする。」
ということでした。

プラカードはどの層も良く見てくれていました。
この問題はみんな興味・関心があるんだな、と感じました。

反原発運動には様々なアプローチがあると思います。
原発ビジネス問題、電気料金問題、エネルギー問題、放射能による健康被害問題、
生存権問題、地方と地方の地域格差問題、大企業が特権を持っている日本の経済構造問題・・・
様々な日本の政治・社会・経済問題の縮図が原発問題なのだと思います。

私たちも様々なアプローチが可能であるように、しっかり勉強したいと思います。
が、どのアプローチも対象は原発賛成の人たち、消極的賛成のひとたち、
やむを得ないものと容認している人たち、無関心の人たち、が対象だということです。

5人でしばらくおしゃべりして、解散しました。
以上ご報告いたします。