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第111回広島2人デモ 10月10日報告

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みなさま

毎度毎週お騒がせしております。
第111回広島2人デモの報告です。

哲野「瀬戸の風さんの指摘は考えさせられたね。」
網野「そうだねえ」

2014年10月10日金曜日に続いて、翌日土曜日には伊方原発に反対している
広島1万人委員会主催のデモを予定しておりました。(月2回開催で続いております)
http://hiroshima-net.org/yui/1man/
記事の執筆は代表の原田さん、編集とレイアウトを哲野と網野が担当してチラシをつくったのですが、
そのチラシの中に伊方原発は南海トラフの震源域に入っている、という表現がありました。

▼第52回(10月11日)伊方デモのチラシ
http://www.hiroshima-net.org/yui/pdf/20141011.pdf

実は、この表現についても「ギリギリだよね」という話もありましたが結局こうなりました。
根拠やいきさつについてはすでに広島2人デモのサイトに上げておりますので、
そちらを参照してください。

http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/index.cgi?no=345

瀬戸の風さんの指摘は、「直近」という表現がいいのではないか、ということでした。
で、色々検討した結果、「南海トラフ震源域ギリギリに位置する」伊方原発、
という表現に今後改めることにしたわけですが
瀬戸の風さんの姿勢は、立派だなぁと思いました。

というのは、瀬戸の風さんも我々と同じ反原発、伊方原発再稼働反対の立場です。
人間、ともすれば、自分の主張に出来るだけ都合のいい表現やデータを並べたいものです。
この手口を散々使ってきたのが原発推進派であり、ICRP派です。
自分に都合のいいデータがなければ、いいとこ取りをして、都合のいいデータをでっちあげる、
あるいは、都合の悪いデータや話題は一切触れない、無視をする、
私たちとしては、これに対抗していかなきゃいけない、
対抗するにあたって同じ手口を使ったのでは絶対に負けます。
向こうは学者・研究者・権威ある政府・マスコミなどを使って
こういう都合のいいデータだけを撒き散らしているわけですから
同じ手口を使えば、力と力で負けるに決まっています。

私たちがやはり、これに対抗するには、事実、間違いのない評価、誰が見ても納得できる論理、
一言でいえば、客観的事実のみをもって対抗する、とこういうことでないといけないと常々自戒しているところです。

それにデータや事実にしても、都合よく曲げて使っていれば
やがて使っている自分自身が騙される、という傾向もあります。

なによりデータや事実を素直に積み上げていくと
そこからとんでもない新しい事実が発見できる、これがやはり最大の強みだろうと思います。
そうした点で瀬戸の風さんの指摘はやはり客観的事実のサイドに立とうという姿勢があって
なかなか頼もしい、と感じた次第です。
「南海トラフの震源域に入っている」という表現と「南海トラフ震源域ギリギリに位置している」という表現では
前者のほうが強くアピールする表現かもしれませんが
やはりこれは言い過ぎ、というのが誰が見ても客観的評価だろうと思います。

網野「考えてみれば、反原発・脱原発の中にも、こういう出来るだけアピールする表現を使おうとする傾向はあるよね」
哲野「ま、人間のやることだから当然だよね。わかりやすくしようとするあまり、単純化する、
    単純化するあまり、事実と違う表現になっていく、
    これはやはり気を付けなきゃいけない。
    反原発や脱原発のグループの中では、当たり前、当然、と受け止められても
    原発賛成、原発容認、原発無関心の人々からは反発を食らうこともある。
    実際経験あるよね。」
網野「私たちのターゲットは原発反対の人じゃないからね。
    あくまでも原発賛成、容認、無関心の人なんだから、彼らですら受け入れざるを得ない事実、
    彼らの常識を覆す客観的評価や論理を提供しなきゃいけない。」
哲野「そういう意味では、まだまだ甘いかもしれないね。」

ということで、瀬戸の風さんの指摘には感謝の一言。

じゃけえさんと一緒にチラシ作りをして、集合場所に3人で行きました。
あたりはもう、とっぷりと暮れており
「来週は懐中電灯が必要だなぁ」と言っておりました。

▼出発10分前の元安橋東詰め

▼出発時の元安橋東詰め

▼本日のプラカード

▼第111回チラシ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20141010.pdf

今日のデモは、参加者は結局最後までこの3人でした。
警備の警察の方も、今回からは通常通りの警備体制でした。
スピーチのトップバッターはじゃけえさんです。

じゃけえ「ご通行中のみなさま、商店街のみなさま
     毎度毎週お騒がせしております。
     広島2人デモです。今回で111回目になりました。
     原発や被曝のことに関して、みなさんに知っていただきたいことを
     スピーチしながら歩いております。
     毎回チラシを作成し、お配りしております。
     原発・被曝問題を考える際、是非参考にしてみてください。

     今日のチラシのテーマは、「放射能汚染食品は基準値内なら安全と主張する消費者庁の風評被害」
     というタイトルです。
     消費者庁は今月1日に「風評被害に関する消費者意識の実態調査」の第4回目を報告しました。
     この消費者意識の実態調査とはいったいなにかというと、
     風評被害対策の今後の材料にするという目的です。

     じゃ、何が風評被害なのかというと、福島原発事故被災県の農水産物を購入しない
     あるいは買い控えをする、これは風評被害である、
     被災県の人たちはこれで迷惑を被っている、だからこういう事態を消費者庁としては
     打開しなくてはならない、とどうも、こういうことのようです。

     じゃ、なぜ風評被害なのかというと、
     放射能汚染食品は、厳しく基準値が決められている、
     また基準値を超えた食品は出荷が制限されている、
     だから放射能汚染食品であっても、基準値内なら安全である、
     安全な食品に不安を抱き、これを買い控える行為は結局風評被害になる、
     こういう話のようです。

     風評とは、根も葉もないデマのことです。
     風評被害とは、根も葉もないデマで被害を受けることです。

     それでは放射能汚染食品を例え、基準値内であっても、摂取することを控えるのは
     風評被害になるのか?ということになります。

     消費者庁の主張は、基準値内ならいくら食べても安全、ということですから
     これが正しいなら、風評被害ということになります。
     しかし、その同じ消費者庁が、この同じ調査項目の中で、
     放射線の人体に与える影響について次のように言っています。
     『少量でも、長期的に一定量の放射線を受けることで、細胞の中のDNA等が損傷し、
     将来的にがんや白血病を発症する確率が高まる。
     ただし、発症するかどうかや発症時期については個人差がある』
     ですから、いくら基準値内でも、いくら少量でも、放射能に汚染された食品を摂取し続ければ
     将来的にがんや白血病を発症するリスクが高まる、ということになります。
     もしこの消費者庁の主張が正しいなら、基準値内の食品であっても
     摂取し続ければ健康に影響がある、少なくとも安全とは言えない、ということになります。

     いったい、消費者庁の主張のどちらが正しいのでしょうか?
     よかったら、大変重要な疑問なので、お配りしているチラシをご覧になって一度考えてみてください。」

次に哲野です。

哲野「現在の放射能汚染食品基準値が決まったいきさつを簡単に申し上げます。

    福島原発事故前、先進原発保有国同士の国際的な取り決めで決まった
    放射能汚染食品制限値をそのまま、日本政府は採用しておりました。
    この制限値は例えば食品1kgあたり2000ベクレルとか、全くものの役に立たない制限値でした。
    実際、チェルノブイリ事故直後、旧ソ連政府はこの国際的な取り決めに基ずく
    放射能汚染食品制限値を採用しておりましたが、ものの役に立たないので
    すぐ翌年には、例えばセシウム137にターゲットを絞った独自の制限値を設けましたし
    最終的には2006年のウクライナ政府が行ったように、飲料水1リットル当たり2ベクレルなどという
    厳しい制限値になりました。

    福島原発事故が起ってすぐ、日本の厚生労働省は事故前のような
    あってなきがごとき規制値では汚染食品摂取による健康被害が続出する、と考え
    新たな規制値を設けました。
    これが、事故後約1週間後の3月17日に施行された、暫定規制値です。
    この規制値は、放射性セシウムなど1kg500ベクレルとする、これもものの役に立たない規制値でした。
    それ以上に、この規制値は違法でもありました。
    というのは、厚労相が公布する規制値は食品安全委員会の答申に基づかなければならないことになっています。
    この時はその余裕がないので、食品安全委員会の答申が後回しになるという異例の展開となり、
    その違法性をカバーするため、暫定という言葉をつけたいきさつがあります。

    厚労省は正規な答申を受けなければなりませんので、食品安全委員会に審議を依頼しました。
    食品安全委員会は放射線や放射能汚染食品に対する専門家が乏しく
    委員会内にワーキングルループを設置し、ここに専門委員や外部有識者を集めて
    審議する、ということになりましたが、この専門委員はほぼ、国際放射線防護委員会ICRPのメンバーであり
    審議の基本方針もICRPリスクモデルやICRP勧告をベースにするということで進められました。

    ワーキンググループは2011年4月21日に第1回会合を開いたあと、月に2回の異例の速さで会合を重ね、
    2011年7月26日第9回会合で、早くも審査書案をまとめ、食品安全委員会に提出しました。

    食品安全委員会は、この審査書案をベースにして10月27日に厚労相に
    『食品中に含まれる放射性物質評価書』を答申、厚労省はこれに基づいて新しい『規制値』を公布、
    翌年、2012年の4月1日から施行としました。

    この時厚労省はいくつかのトリックを設定しています。

    トリックの第一番目が、それまでの『放射能汚染食品規制値』から『放射能汚染食品基準値』と名称を変えたことです。
    これは単に、名称を変えたと言うだけにとどまらず、内容は大きく違うのです。

    たとえば、規制値であれば、それを少しでも上回れば違反です。
    また、実際には罰則規定はありませんが、規制値であれば罰則を設けることもできます。
    ところが基準値であれば、これは目安ですから、これを上回ったとしても違反にはなりません。
    また、基準値ですから、罰則規定を設けることもできません。

    なにより基準値とすることで、例えば基準値内ならいくら食べても安全、と言う宣伝を可能とすることになります。
    これが規制値であれば、規制値内ならいくら食べても安全、という言い方は許されません。
    規制値は許容上限値を示すものですから、上限値内でもリスクがある、安全とは言えない、ということを示しています。
    ですから、『規制値内ならいくら食べても安全』とは言えなくなるのです。

    また、基準値とすることで、これは目安ですから
    例えば『基準値を超えても、数回摂取するのであれば健康には影響がない』という言い方も可能になってきます。

    これが規制値や制限値であれば、これを超えた食品を摂取することは、直ちに目に見えるリスクを発生することを意味しますから
    『規制値を超えても、数回摂取するのであれば健康には影響がない』という言い方はできなくなります。

    ですから厚労省はこの時、基準値という新しい言葉を創りだして、
    それがあたかも従来の規制値と同じような役割を持つものと錯覚させながら
    実際には『いくら食べても安全』とか、『少々超えたくらいは大丈夫』とか
    一種、誤魔化しの言い方が出来るようにしました。

    大きなトリックの第二番目は、汚染食品対象核種を事実上『放射性セシウム』に絞ったことです。

    放射性セシウムとはいったい、何でしょうか?
    それは半減期約30年のセシウム137と、半減期約2年のセシウム134を合算したいい方です。
    放射性セシウムという括りほど、人をバカにした括りもありません。
    半減期30年と、人間の寿命からすればほぼ半永久的に影響を及ぼし続けるセシウム137核種と
    半減期2年と、10年も経てばほとんど目に見える影響はなくなるセシウム134核種を
    同じ括りで規制することは不可能です。
    実際、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアなども現在チェルノブイリ事故による放射能汚染食品規制は続いておりますが
    はっきり対象核種をセシウム137と限定しています。
    この限定を外してしまえば、規制の意味がなくなるからです。

    さらにいえば、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアなどでは、セシウム137に次いで危険な核種として
    ストロンチウム90をはっきりターゲットとして規制対象にしています。

    日本の基準値では『放射性セシウム以外の核種も考慮してこの基準値を決めた』と称していますが
    現実には考慮するなら、別途ストロンチウム90を対象核種として規制対象に挙げるべきです。

    さらに2012年4月1日から施行された『新基準値』では、米、大豆、米・大豆加工食品など
    日本人の食生活に密接に関連する重要な食品に大幅な経過措置期間を設け
    事実上、2012年中は旧規制値の食品が流通できるようにしました。
    これも、厚労省が設けたトリックです。

    さらに、検査体制や検査方法、あるいは罰則規定がないなど、
    現在の『基準値』は現実問題として実効性をもっていません。
    ザル法です。
    みなさんこのことをしっかり頭に入れて、自分の健康は自分で守る、
    この原則をしっかり頭に入れておいてください。
    『基準値以内の食品なら安全である』と消費者庁のみならず厚労省、食品安全委員会、
    内閣府などは声をそろえて国民に向かって宣伝していますが、
    とんでもない話といわざるを得ません」

次に網野です。

網野「消費者庁は、現在の放射能汚染食品基準値は、科学的知見に基づいて決められた、
    また合理的な検査体制は確保されており、食品の安全は確保されている
    従って市場に出回っている食品に不安を持つ必要はない、
    この不安に基づく言動は風評(デマ・嘘)である、
    従ってこの風評で買い控え行動が起こったり、或いは買い控えを呼びかけたりすることは
    風評被害である、と主張しています。

    しかし、『放射線被曝に安全量はない』、このことは例えICRPの学者であれ
    認めざるをえない科学的真理であってみれば、
    消費者庁の主張は非科学的、恣意的な見解、
    言い換えれば嘘やデマ、
    もうちょっといえば、風評(嘘・デマ)を流しているのは他ならぬ消費者庁である、
    ということになると思いますが、みなさんいかがお考えでしょうか?

    ポイントは、放射線被曝に安全量はない、この真理をしっかり頭にいれておくかどうかだと思います。」

元安橋に帰ってデモ終了。
30部用意したチラシは12部残りました。
以上ご報告いたします。