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日本記者クラブ主催 小泉純一郎氏記者会見 ポイント発言テキスト起こし


11月12日13:30~ (東京・内幸町)
日本記者クラブ主催 小泉純一郎氏記者会見(事実上の講演会)
ポイント発言テキスト起こし

現在の「格差社会」の張本人、また、首相在任中は原発推進を行い、日本に本格的に「新自由主義経済」を政策導入した元首相、小泉純一郎氏は日本記者クラブの求めに応じて11月12日に講演を行いました。以下のテキスト起こしは小泉氏の講演内容の要約ではありません。同氏の発言中、ポイントと思われる部分を抜き出してテキスト起こししたものです。ポイント部分には、検索用の小見出しを「 」の中に入れておきました。小泉氏は「原発即ゼロ」を主張していますので、段階的解消論、すなわち「脱原発」ではなく「反原発」と解釈することができます。一般に小泉氏はフィンランド・オンカロ処理場視察で原発をやめることを決めた、と言われていますが、この講演を聴く限りそうではないようです。「毎日新聞山田記者」の項で『ずっともう、あの3.11の事故が起こってから似たような話をしていたんですよ。』と述べており、小泉氏は3.11直後から反原発の決意を持っていたとみることが出来るからです。小泉氏は靖国神社参拝問題、尖閣列島問題、普天間基地移転問題などについても興味深い発言をしていましたが、割愛します。
なお、表示タイムコードは、You Tubeにアップされている動画(URL:http://youtu.be/QOXsnZiTjwk)のタイムコードです。原画参照用にお使いください。以下ポイントテキスト起こし本文です。
(現段階では誤字脱字があるかもしれません。発見次第、訂正します。)


0:03:57 「毎日新聞山田記者」

特に毎日新聞の山田記者が、8月でしたかね、私のオンカロ視察のあと私の話をコラムで取り上げてくれました。
短い文章なんですが、これが実に上手く要点を取り上げていましたね。あれからですよ。一斉にマスメディアが私に注目しだしたのは。ずっともう、あの3.11の事故が起こってから似たような話をしていたんですよ。
私はいままで一切、私の話に対して記者を入れてくれとか色々な事を一言も言った事はありません。主催者に全て任してるんです。そこに記者が来て何を書こうが勝手だったんですよ。それまでは、毎日の山田記者が書く前は、それはみんな無視してたんですね。あの毎日の山田記者のコラムが出てから、これはもう、色んな方からインタビューの申し込みがあって、もう、お断りするのも大変だなと思ってたところが倉重さんから、もうどうせここでお話するなら取材受けなくていいじゃないですかと。


0:06:09 「読売新聞批判に対する反論」

ま、最初に原発問題ですが、先月ですか、読売新聞が出した「小泉原発ゼロ発言を批判する」っていうね記事がありましたね。社説で私のゼロ発言を批判しておりましたから。この社説からあの批判に対して私がどういう意見を持ってるかということから始めたいと思います。

10月8日の読売社説、2~3、主な批判があるんですけども、一つにはですね、小泉の原発ゼロ発言、ゼロにした後、どういう代案があるのかと。代案を出さないでゼロ発言するのは、これは無責任である、あまりにも楽観的すぎるという批判ですね。

しかしね、この原発問題は、広くて大きくて深い問題ですよ。国会議員だけで代案だそうったって出せるもんじゃありません。まして私一人がね、ゼロと言う代案を出せなんて、それは不可能ですよ。だから、政治で一番大事な事は方針を示すことだと。原発ゼロという方針を政治が出せば、必ず知恵ある人がいい案を作ってくれるというのが私の考えなんですよ。内閣に原発ゼロに賛同する専門家、経産省、文科省、環境省等、官僚も含めてですね、識者を集めてゼロになった場合に、何年かけてゼロにするのか、その他の再生可能エネルギー、どういう風に促進し奨励していくのか。あるいは原発を廃炉にする場合だって40年50年かかるんですよ。廃炉にするためにも専門家が必要だ。そういう技術者というのをどういう風に確保していくか。それに原発ゼロでなくなったあと地域発展をどう考えるのか。原発ゼロのあと、再生エネルギー、様々な雇用問題、原発に従事していた雇用問題をどうするか、そういう広範囲な問題が残っているわけですよ。こういう問題をね、国会議員、一政党一議員だけで出せるわけないじゃないですか。だから、専門家の知恵を借りてその結論を尊重して進めていくべきだっていうのが私の考えなんです。

またもう一つの批判はですね、原発ゼロにすれば火力発電とか様々な電源、この(燃料)調達のために輸入量が多くなって電気料金が上がると。CO2の排出量も多くなる、こういう批判ですね。しかしね、日本の技術は時代の変化を読むのに非常に敏感ですよ。


0:09:43 「燃料電池車、LED」

つい最近も新日石の社長をしていた、JXホールディングスと名前を変えましたか、社長をされた渡さんね。今経団連の副会長をされているんですか。渡さんとお会いしてお話したらね、もう数年以内に燃料電池車が実用化されると。うちはもうエネオスのスタンド、これをガソリンスタンドだけじゃなくて水素供給スタンドを用意すると。電気自動車よりも早く燃料電池車が実用化されるんではないか。自信を持って話されていましたね。

そうすればもう燃料電池車は、水素と酸素、水ですから。CO2出さないんですよ。またトヨタにしてもホンダにしても日産にしても外国の自動車会社とハイブリッド車を必死に開発してるでしょ。夜中に寝てるうちに充電できる。ガソリンでもいい、あるいは電気でもいい。様々な出来るだけCO2を出さないような自動車の開発が進んでますよ企業も。

LEDだってそうでしょ。省エネ技術。ここはLED使ってないと思うんですがね。設置費が多少高くても電力省エネ観点からLEDがいいという。このLEDを使う家庭が今白熱電灯を使う家庭よりトップになってるでしょ。日本の国民っていうのは実に環境に協力的ですよ。企業も。国民も。


0:15:19 「三菱重工 CO2フリー技術」

先日ですが日経新聞に出てましたね。三菱重工が石炭火力発電所の建設をする際に大気汚染、この大気汚染を防止する技術を開発したっていう記事が出てましたね。だから今後ね、原発ゼロにする、そして様々な再生エネルギー、水力でも、あるいは太陽光でも風力でも地熱でも、原発建設に向けた費用をそっちに振り向けていけばね、様々な代替エネルギーの開発が進んでいくと思いますよ。その技術を日本企業は持っていると思いますね。またそういう企業にね、日本国民は協力しますよ。多少高くてもね。


0:20:00 「核廃棄物」

もうひとつ、これが一番の原発ゼロ批判の中心だと思うんですけども、どう言っているかと言うと、原発必要論者・推進論者はゴミの処分法は…いわゆる核の廃棄物ですね。ま、ゴミと言いましょう、通称。核廃棄物の処分法は技術的に決着してるんだと。問題は処分場が見つからないことなんだと。ここまでは私と一緒なんです。

こっからが必要論者と私の持論、違うところなんです。ここから必要論者はどう言っているか。処分場の目処がつかないという、それは、目処をつけるのが政治の責任ではないか。つけないのがいけないんだ、これが必要論者の、私は中心だと思うんです。私は、結論から言うと、これから日本においてですよ、核のゴミの最終処分場、目処を付けれると思う方が楽観的で無責任すぎると思いますよ。すでに10年以上前から最終処分場の問題は技術的に決着してるんです。それがなぜ10年以上もかかって一つも見つけることができないのか。事故の前からですよ。政治の責任で進めようと思ったけども出来なかったんじゃないですか。それを、事故の後、これから政治の責任で見つけなさいっていうのが必要論者の主張ですよ。このほうがよっぽど、私は楽観的で無責任だと思いますよ。


0:22:02 「フィンランド オンカロ」

フィンランドのオンカロ行きましたよ私は。世界で唯一、原発から出る核の廃棄物を処分する場所ですよ。オンカロというのはフィンランド語で“洞窟”とか“隠れ家”とか色々あるようですけど、ともかく核廃棄物を最終処分するために作られた地下ですよ。それもフィンランドというのはね、岩盤で出来ている国ですよ。もう道路通るとわかりますね。地下掘らなくても。もうトンネルが岩盤ですよ。岩盤をくりぬいてトンネル作ってる。オンカロに着くまでに、首都ヘルシンキから飛行機で5~60分乗っていくんですよ。200km以上あるんですからね。5~60分かけて飛行機に乗って、飛行場から今度は海岸に出て、海岸から船で10分か20分、島に着く。その島の中に高レベル放射能の最終処分場を作っている。それを“オンカロ”と今言っているんです。オンカロと言えば核の最終処分場の事になっています。そこに行ってきたんですよ。私は簡単にヘルシンキの近くで見れるのかと思ったら大違いでしたね。認識が甘かったですね。

そして2時間くらいかけて、ヘルシンキから。そこで防護服、ヘルメット、装備をして400m地下に降りていくわけです。もう入口から岩盤です。中に入っていくのにね、エレベーターじゃないです。エレベーターはあるんだけど、あれにどうして乗っていけないのかなと思ったら、あれは物資用のエレベーターで人間は乗らないんだと。やっぱり車で行くんです。車で人数制限、運転手入れると10人くらいしか乗れないので、7人までしか乗れないって言って、視察団は7人に制限されて、ジグザクにマイクロバスでこう下りていく。

約400m地下ですね。400m地下に縦横2kmの広場を作ってるわけです。縦横2km。その広場に円筒形の筒を作って、核のゴミを入れて埋め込むわけです。何千本かわからないけど。400mの地下に2km四方の広場にね、これを全部埋めるって言うんだけども、この核のゴミも、2基分しか容量がないって言ってるんですよ。フィンランドは今4基、原発を持っている。そしてこのオンカロ施設は2基分しか核のゴミを処分できないんだけども、あと2基分の核のゴミの場所はまだ場所が決まってないって言ってます。住民の反対で。しかも国会でこのオンカロの建設の認められてるのは、いかなる国の核のゴミも受け入れないという前提で今このオンカロを作ってるんだと。地震がない、そういう国ですから。しかも岩盤で。

これでもう決まっているのか?いやいやまだ最終審査が残っているんだと。なんだ?最終審査っていうのはね、岩盤で、ところどころ水が漏れているところがあるんですよ。ほら、あそこに水が漏れてるでしょ?(聞き取れない)…なんです。ああ、あれが水か。水が漏れているか漏れてないかをまだ完全に調べなきゃいけないんだと。10万年持つかどうか調べなきゃいかんと。400m掘ればほとんど水って出てきますよね。ですが岩盤ですから。そんなには出ないだろうと。

振り返って日本を考えてみてくださいよ。400m掘らないうちに水なんか出てきますよ。温泉出てきますよ、中には。しかもね、2基分のゴミだけでも2km四方の広場ですよ。54基、もっとも現在、4基は廃炉にするの決まってますから。福島県の5・6号も廃炉処分にするんですか?それにしても10基以上。最終処分場、どれだけ作らなくてはいけないんですか?しかも10万年後の安全まで。

もう一つ考えなきゃいけないことがあるんです。なんだ?放射能って言うのは危険なんだけども、近寄っちゃいけないんだけども、色がない。においがない。近づいてもこれが、放射性物質がわからない。それを、10万年後の人間がオンカロに来て、こりゃなんだ?と思って、果たしてほっといてくれるかなと。そっとしておいてくれるかなと。人間って言うのは好奇心が強い。必ず、わからないものになると掘り出そうとすると。これを、絶対掘り出してはいけないというように、どういう文字を使ったらいいか、今考えているんだと。10万年後の文字って言ったらね、我々今4~500年の日本語だって読めないですね。古文。考古学者はね、ピラミッド発掘してもね、あの出てくる文字読めないですよ。2000年、3000年前。それをね、1万年2万年じゃないですよ。10万年後にここに近づいてはいけない、掘り出してはいけないという文字をね、何語にしようかと。国連が使っている英語、その他、フィンランド語…しかし文字は変わりますからね。日本語だってちょっと私たちついて行けない若者たちの言葉がありますよ。


0:30:36 「総理大臣の権力」

総理大臣って言うのは確かに権力強いですよ。しかしね、総理にはいかに権力が強くてもね、使える権力、使っても実現できない権力、そういう権力もあるはずだと思うんです。私は、今、総理がね、決断すれば出来る権力、それが原発ゼロの決断ですよ。こんなに恵まれた環境、ないですよ。総理大臣として。私、総理大臣在任中、郵政民営化、あの時よりはるかに環境良いですよ。総理大臣が権力を行使しようとする場合は。


0:36:00 「反原発はいい環境にある」

それに比べればいま、どういう状況ですか、原発。野党は全部原発ゼロに賛成ですよ。原発ゼロ、反対じゃないの自民党だけじゃないですか。しかし、本音を探れば自民党の議員で賛否どうかと言われれば、私は半々だと思ってますね。ゼロ賛成と、必要、半々くらいじゃないか。しかしここでもし、安倍総理が、原発ゼロに全て、自然を資源にする国家を作る方針を決めればね、反対派はね、もうできませんよ、反対。ここで必要論を唱えているマスコミの人もね、意見変わるかと思いますよ。総理がゼロに方針を決めれば。

反対するのが居ても、自民党の中でね、正面切ってあくまでも必要だって、原発ゼロはダメだっていう議員は極限られた者ですよね。非常に今、安倍総理として、いかに国民から与えられた権力を、望ましい、あるべき姿に向かって使うか。こんな運のいい総理いないですよ。使おうと思えば使えるんですよ。総理が決断すればね、今の原発ゼロ反対論者も黙っちゃいますよ。自民党の中でも。今言っている人たち。ま、顔が浮かびますけども。

安倍総理がゼロにしたら、そりゃ立てつく議員はほんの一握りの人たちでしょうね。出来るんですよ。しかも国家の目標として。ほとんどの国民が協力できる体制が出来るんですよ。国会、自民党がもしゼロにすると言う方針を立てれば、野党はみんな賛成なんですから、全政党が賛成ですよ。提案だって野党から色々出てきますよ。識者から知恵がたくさん出てきますよ。これに向かって進むことが出来るんですよ。このチャンスを生かす、政治って大事だと思いますよ。

これとは逆に、どうしても政治の責任で最終処分場をつくるんだと住民の反対を押し切れますか?住民の反対を押し切って権力を使うよりは、久しぶりに珍しく、国民が、国民の多数が総理の指示に協力しようという体制が出来る。こういう状況はね、滅多にないですよ。しかも壮大な事業じゃないですか。夢のある事業じゃないですか。


<ここから質疑回答>

1:07:45 「石破幹事長の方向が随分違ってきた」
(毎日新聞:倉重篤郎の質問に答えて)

今日の新聞ですけどね、石破幹事長の談話が載ってました。それはね、小泉さんの方向と違わないって発言なんですよ。ずいぶん違ってきたなと思うんです。方向性は同じだと。確かにね、あの自民党の参議院選挙の公約見ると、再生可能エネルギーに最大限努力していくと。原発依存度できるだけ減らしていく。だから自民党これからね、石破幹事長が音頭を取ってね、これからのエネルギー政策、原発含めてね、議論しようという、党内ですればね賛否両論出ますよ。そして賛否両論、これを総理に上げていけばいいんですよ。必要論者とゼロ論者、両論併記。総理どちらに判断しますかと。安倍さんが判断しやすいような環境をね、幹事長が作っていけばね、そんな難しいことじゃない。もう自民党の議員の中にも本心はゼロにした方が望ましいなと思ってる議員かなりいますから。正に今話にあったようにね、総理の力は絶大ですから。総理がゼロにしようと言えばね、そんな反対出ませんね。そういう環境をね、作っていくことによって、政治的にはね安倍総理の在任中にこの方向を出した方が良いんじゃないかと思ってます。


1:07:56 「国民の声を聴かざるを得ない」
(フジテレビ・スーパーニュース 安藤優子の質問に答えて)

最終的にはね国民ですね。世論っていうのは軽視できないですね。世論に抗してやらなきゃならないこともある。しかし大きな底流となってる、根強い世論というのは、どう読むかっていうのもやっぱり政治家として大事だと思うんですね。国会だけで決めて、あの郵政民営化は廃案にした。しかし、選挙で国民が知ると国会議員も変わっちゃうんですよ。最終的に総理の権力ってのは国民から与えられてるんですから。その国民の声というものはね、総理も聞かざるを得ない時期が来ると思います。


1:08:56 「あきらめちゃいけない」

あきらめちゃいけないんですよ。私は今色々な人から新党を考えたらどうかとかね、原発ゼロ論、展開してる人も他にいるんだから、よく連携したらどうじゃないかっていうことを言われるんですが、それはね、それぞれの立場でやった方が良いんじゃないかと。そして、主張を展開する時にはね、誰が賛成してるから、誰が反対してるからというよりも、やっぱりね、「やむにやまれぬ」気持がないとね、公に自分の主張を展開できないですよ。一人でもやるという気持ちでやんないとだめだよと。そう連携を呼びかけてる人には言ってるんです。政党にしてもね、個人にしても、あの人は反対だからそう考えないで、他は全部自分の意見と違っても、自分はほんとにこう思うんだということを展開していかないと、なかなか世の中ってのは動かないよと。

ですから、国民がほんとに原発ゼロの社会を望むんだったら、国民の皆さんもそういう気持ちをもって運動していくなら必ず政権に届くはずですよ。自由民主党ってのはね、国民・世論にかなり敏感な政党ですよ。だから政権を長く担当したんですよ。一部の支持があれば当選できるっていう政党じゃないんですよ、議員も。国民の過半数の支持がないと議員になれない。過半数の支持を得ないと政権を担当出来ないんだっていうことをよく分かってる政党が自民党だと思うんです。だから国民の声が、ほんとに原発ゼロが望ましいなというのがだんだんだんだん政権に届いていけば、総理だって気付いてくれると思うんですよ。長いようで、それが民主主義として必要じゃないんでしょうか。


1:12:14 「即ゼロがいい」
(読売新聞:遠藤弦論の質問に答えて)

私は、即ゼロの方がいいと思いますね。その方が企業も国民も様々な専門家も準備が出来る。安全なものを再稼働させると言ってますけどね、再稼働をするにしてもそんなに多く再稼働できないですよ。そしたら代替エネルギーで出来ると思いますね。しかも、再稼働すればまた核のゴミが増えていくわけですよ。再稼働をさせるといったって最終処分場見つかんないんでしょ。だったらすぐゼロにした方がいいと思いますよ。そして原発に代わる代替エネルギーに対して、原発、当てた費用を回した方が、日本の企業ならそういうね、原発に代わるエネルギー源は、発明し開発していきますよ。だから、早い方がいいと思いますよ。もう、今ゼロなんですから。これをずっと再稼働も中止すると。早く。ゼロにすると。しかし何年かかって廃炉も実現するか、これも難しいですから。そういう点は将来ゼロにするという方向でやった方が、中間貯蔵施設を作るにしても理解を得やすい。だから私は早い方がいいと思います。今もゼロですから。

【遠藤記者】
それはもちろん核燃料サイクルも含めて。

【小泉氏】
もちろん。核燃サイクルも含めてです。その手当てするのも早い方がいいでしょう。進んでいって止めろというよりも、どうせ将来止めるんだったら今止めた方がいいでしょ。

【結・広島】広島市長への質問を提出

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▼質問PDF
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20131111.pdf

昨日11月11日に広島市長室秘書課に結・広島から広島市長宛の質問を提出されました。

秘書課課長の岩崎様が対応してくださいました。
18日17時までにご回答いただける予定です。

提出には結・広島の原田さんに哲野、網野が介添え役となりました。

以上ご報告いたします。

第73回広島2人デモ 11月8日告知

ファイル 222-1.jpgファイル 222-2.jpgファイル 222-3.jpgファイル 222-4.jpg

▼第73回チラシA4版
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20131108_A4.pdf
▼第73回チラシA3版
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20131108.pdf

▼「広島県知事候補者から回答」特別報告A4版
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/ikata20131108_A4.pdf
▼「広島県知事候補者から回答」特別報告A3版
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/ikata20131108.pdf

みなさま

おはようございます。
毎度お騒がせしております。
第73回広島2人デモ11月8日の配布チラシが出来ました。
今日も18時から歩きますので宜しければご参加ください。

「福島現地の汚染レベル
年間 1mSv の⻑期目標をかなぐり捨てる日本政府・自⺠党政権」

トピック
1.福島現地、本格的に “帰還” へ向けて動き出す政府・自⺠党政権
2.日本政府・自⺠党政権・原子力規制委員会の避難基準の基となるICRP のリスクモデルと勧告
3.年間予想被曝線量のトリック
4.エートス・プロジェクトとは何か

です。
宜しければご覧ください。

また広島県知事候補より回答が揃いましたのでチラシにまとめました。
こちらもよろしければご覧ください。

では本日も歩いて参ります。

広島県知事選候補の回答に対する感想と論評

多くの方々からの感想を論評を期待します。

◆質問書
質問の内容は結・広島のwebサイトに簡潔にまとめておりますのでご覧ください。
▽経緯説明含めての「結・広島」の記事
http://hiroshima-net.org/yui/index.cgi?no=35

▽広島県知事両候補に提出した質問書
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20131028.pdf

◆両候補より回答

▽大西オサム候補回答(PDF)
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/oonishi_kaitou.pdf
▽大西オサム候補回答 結・広島webサイト掲載
http://hiroshima-net.org/yui/index.cgi?no=38

▽ゆざき英彦候補回答(PDF)
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/yuzaki_kaitou.pdf
▽ゆざき英彦候補回答 結・広島webサイト掲載
http://hiroshima-net.org/yui/index.cgi?no=41


<<感想と論評>>
※随時追加アップいたします。


◆広島市 つなさき さん<追加更新11月5日 20:30>

お二人とも県知事候補としての自覚がないのか、福島第一原発の事故をあまりご存知なく伊方原発の危険性についても認識されていないのか、どちらともなのか、いずれにしても次の県知事は伊方原発から広島県民の生活と生存を守るために具体的に何かをするということは無さそうだなということがよくわかりました。
肝心の被曝についてはどちらも具体的に何が問題かが論じられることなく、言ってみれば原発が好きか嫌いかの話になっている点に絶望感を覚えます。原発が選挙の争点にならないほど風化したのだなと感じました。
また、自然エネは原発に反対する上で必要なものではありません。固定価格買取り制度は我々有権者に直ちに影響のある制度です。自然エネと原発で好き嫌いを論じればどういう結果が導き出されるかは明らかです。そして、代替エネという発想は原発があるべき姿という考えが前提です。代替としての自然エネは再稼働を必要とします。意図的なのか知らないのかは分かりませんが、この点に言及しているのは注意が必要と思います。


◆広島市 大歳 さん<追加更新11月6日 0:34>

大西候補の回答はさておき、ひどいのは現職ゆざき知事の回答。
伊方の再稼働について「賛成か、反対か、黙認か?」の質問に別の形式で答えています。
その中身を読めば、「黙認する」に最も近いような感じはしますが、堂々と「黙認する」とは書けなかったのでしょう。
3択に答えていないのは、置いておくとして
同氏は「伊方原発3動機再稼働についてどう考えるか」という自らつくりかえた問いに4つの項目で答えていますが、
4つのうち3つは伊方原発ではなく原発一般に対する答えとなっており、
さらに残りの1項目に関しても愛媛県と連携するとしか答えていません(何をどのように連携するのでしょう?)。

はじめの3つの回答の文末を切り取ってみましょう。
 〇国民的議論のもと見直しが必要であると考える。
 〇国民的議論が加速されることを強く期待している。
 〇国において責任を持った判断がなされるべきであると考える。

すべて人任せで自分の考えがどこにもありません。

揚げ足とるような感想になってしまいましたが、もう一つ。
2項目の「国においては”エネルギー基本計画”年末にをまとめる方向で~」とありますが、
年末には知事選は終わっており、
国の方針が知りたくて結・広島の人たちはこの質問状を知事候補にあてたのではないでしょう、と思います。


◆廿日市市 森本道人 さん<追加更新11月6日 15:20>

結・広島より、広島県知事候補の大西理氏と現職知事候補の湯崎英彦氏に以下の質問をしておりますが、

四国電力伊方原発 3 号機の再稼働に明確に反対の意志表示をされますか?
沈黙を守られますか?
積極的に賛意を表明されますか?

まず、この3択の質問にきちんと答えられたのは大西候補だけでしたので、そこを評価します。また、明確に反対の意思表示をするという回答は私と同意見であり、回答理由より伊方原発への知識も高い事が分かりましたので、大いに評価いたします。しかし、具体的に広島県民の放射能による被曝影響の事はが書かれてはいなかったので、どのように考えているのか聞いてみたいものです。

そして、湯崎現知事は3択の質問にすらきちんと答えられておりいません。自ら、再稼働についてどう思うか?という新たな質問を作り出しています。(非常に残念です。)
そして、その内容ですが国の方針に従う。国民議論を加速していく必要がある。と、知事としての意見はありませんでした。
そして、3択の質問のどれにも該当しませんが明確に反対の意思はなく、国は原発推進の方針ですから、それにただただ従うのだと私は理解させて頂きました。


◆広島市 哲野イサク さん


▼大西候補の回答に対する感想と論評▼
<11月4日 03:40>

結・広島が広島県知事候補の大西理(届け出名:大西オサム)と現職知事候補の湯崎英彦氏(届け出名:ゆざき英彦)の両氏に「伊方原発3号機」に対する県知事候補としての姿勢と見識を問う質問
を出し、11月6日の回答期限前に大西候補から回答が届き、すでに結・広島のサイトにアップロードされました。

県知事候補として、広島県民の大きな懸念事項の1つである四国電力・伊方原発3号機再稼働問題に積極的に反応していただき、期限前にも関わらず回答を寄せられ、中で明確に伊方原発3号機の再稼働に反対の意志表示をされていることは、大いに評価できると考えます。これは一種の選挙公約と解釈することができもし大西候補が県知事に当選されればまず一番に広島県知事として「伊方原発再稼動反対」の県知事声明を出されるものと期待いたします。

しかしながら個別論ではやや首肯しかねる点があることは否めません。以下に列記します。

1,回答の全体を通して、私が不満を持つ点は、大西候補は「伊方原発再稼働」に関して、候補者として広島県知事の第一義的責任、すなわち広島県民の生命・財産を守る県内行政上の最高責任者としての立場からの言及がなかったことです。
  広島県知事は様々な政策課題があることは私も承知しております。しかしいかなる政策課題を掲げようが、広島県民の安全と健康、生命・財産を体を賭してでも守り抜くことが最優先事項でなくてはなりません。経済発展も、格差是正も、大企業中心の予算配分から、県民の生活優先の予算配分の転換も、すべては広島県民の安全と健康、生命・財産の確保一言でいうなら、「生存権」というもっとも重要な基本的人権の1つが確保されての話です。いわば「伊方原発再稼働反対」は単なる「スローガン」ではなく、広島県の政策課題として取り上げられねばなりません。政策課題としては最優先事項の筈です。そこへの言及がなかったことは残念に感じます。

  伊方原発再稼働による苛酷事故発生は、原子力規制委員会の規制基準適合性審査の議論を読む限り、「絶対に起こってはならないこと」としては捉えられておらず、確率の問題として捉えられていることは明らかです。規制委の議論は、苛酷事故の発生の蓋然性をできるだけ小さくしよう、万が一重大事故が発生したならこれを苛酷事故に発展させないために様々な規制基準 (Reguratory Requirments)を設けているのです。いわば苛酷事故発生は「確率論」の問題として捉えています。ですから田中俊一規制委員会委員長自身が「ゼロリスクというものはないんだ・・・(苛酷事故発生のリスクゼロ)に対して私どもははっきり万歳しているんです」(4月3日定例記者会見)というように、規制委員会の仕事はリスクを限りなくゼロに近づけようという議論にならざるをえないわけです。

 伊方原発苛酷事故は、再稼働の百万年後におこるかもしれません。しかし確率論で論ずる以上、それは再稼働の翌日かもしれません。
 まさに神のみぞ知るであります。私たちは、伊方原発苛酷事故発生が確率論で論じられているところそのものに大きな懸念をもっているわけです。
 ましてや伊方原発苛酷事故発生(フクシマ原発事故と同程度の苛酷性)にともなう放射性物質拡散シミュレーションが、かなりの蓋然性をもって示され、そのシミュレーションで広島県西南部は原子力災害対策指針でいうところの「OIL2」(一時移転対象区域)となることが明示されている状況では、私たちの懸念は妄想どころか、はっきりした現実味を帯びて私たちにせまってきています。

 言いかえれば原子力規制委員会は私たちにつぎのように事実上告げているわけです。
 「現在の規制基準に従って、伊方3号機が適合性審査に合格すれば伊方3号の再稼働を認めますよ。ただし絶対事故が起こらないと保証はできません。
 規制委としては、苛酷事故の可能性をゼロにすべく最大限の検討を加え、ベストをつくします、しかし原発事故にゼロリスクはありません。万が一発生する可能性がないとはだれにもいえません。その万が一の時には、一応シミュレーションも出しておきました。みなさんはこのシミュレーションを参考にして万が一の備えをしておいて下さい。よろしいですか、規制委としてはやれることはすべてやりつくしましたよ、正直に現状もお伝えしました。後は皆さん方の責任です。万が一の時にはご自身で身を守ってください」

 しかし私たちはこの規制委員会の言い分を認めるわけにはいきません。私たちは「苛酷事故ゼロリスクの保証か、さもなくば再稼働の断念か」といっているのです。私たちの「生存権」を確率論で論じられてはたまりません。規制委員会は私たちの運命を「確率」という形で「神の手」に委ねていますが、私たちはそうではありません。私たちの「運命」を「神の手」から取り戻し、私たち自身が決定したい、といっているのです。それには 「伊方原発の稼働断念、廃炉」という結論しかありません。

 残念ながら、「伊方原発再稼働決定問題」は政治的には私たちの手を離れています。ですからこそ広島県知事の断固たる意志表示が決定的に重要になり、この政策を広島県政の根本において欲しい、というのが私たちの要求なのですが、大西候補のこの問題に対する研究・思索の深さや高い政治的見識は窺えなかった、むしろスローガン「としての原発反対」の延長としての「伊方再稼働反対」の主張に思われ、ややステレオタイプな「原発反対」のリフレインに しか感じられなかった、と言わざるをえません。


▼広島県知事候補 湯崎英彦氏の伊方原発3号機再稼働問題をめぐる回答について▼
<追加更新11月6日 23:09>

 湯崎候補者(現職知事)の回答はいろんな意味で不誠実と言わなければならない。(期限前に書面で回答を返されたことは大いに評価されなければならない。しかも選挙戦の真っ最中、県内遊説の忙しい合間を縫っての回答であることを考えるともって多としたい)

不誠実というのは以下の理由による。
 国や各省庁、経済界、政党、大手既成マスコミ、少なからぬ環境主義者やそのグループ、これも少なからぬ学者・研究者、一部の“反原発”“脱原発”を標榜する市民グループですら、「原発問題」を「経済・エネルギー問題」の一部として捉えてきた。「原発の段階的解消論」や「自然エネルギーへの代替論」などもこうした議論、すなわち「原発問題はエネルギー問題」という捉え方の延長線上にある。現職広島県知事として、あるいは原発推進の総本山経済産業省のそのまた中核組織である資源エネルギー庁で高級官僚の経験のある湯崎氏が、「原発・エネルギー問題」から私たちの問いに対して回答を寄せることは十分予測できた。なるほど、原発問題をエネルギー問題として論じる視点もあるだろう。それは否定しない。

しかしこの問題を別な角度から論ずる視点もありうる。特に福島第一原発事故を経験し、四国電力・伊方3号機の再稼働が目の前に迫り、しかも原子力規制委員会の放射性物質拡散シミュレーションが公表され、万一原発苛酷事故発生の際には広域避難が義務づけられ、すでに一部実施した原発立地自治体が現に存在する現状では、原発問題をエネルギー問題としてではなく私たちの「生存権問題」として捉える視点もまた立派に成立する。

質問書を読んでいただければ了解されるが、質問書は前段で情理を尽くして「生存権問題」の視点を成立させている。その上での質問だった。この「生存権」の視点に対して、湯崎回答は旧態依然たる「エネルギー問題」の視点からの回答となっている。つまりは議論がかみ合わない。議論がすれ違えば、折角この問題を深く掘り下げる機会は生じない。

「~はどうですか?」「~はいかがお考えですか?」式の漠然とした質問では、この種の回答がかえってくることは十分予測できた。このため質問は、「明確に反対するか?」「沈黙を守るか?」「積極的に賛成するか?」の三択形式とし、その理由説明を求める形となった。

この質問に対し、湯崎氏は「問 四国電力伊方3号機の再稼働にたいしてどのように考えるか」と質問書で問うていない、すなわちありもしない架空の質問をわざわざ立てて、この架空の質問に答える形になっている。(湯崎候補回答 1行目参照のこと http://hiroshima-net.org/yui/pdf/yuzaki_kaitou.pdf

対話する当事者としても不誠実だが、これは人間としても不誠実なのでは、という疑念を抱かせる。

原発問題を生存権問題として捉え議論し、問題を深めようとする意図は流産である。流産の責任は挙げて湯崎氏にある。「生存権」の視点が湯崎氏に理解できないとは考えにくい。読めば理解できることだ。つまりは、湯崎氏は質問書の意図・視点を十分に理解しながらあえてこの視点は存在しないと無視し、エネルギー問題として回答されたことになる。特に質問書の趣旨が広島県民の生存権問題に言及し、県民の生存権を防衛する行政上の最高責任者が広島県知事であり、湯崎氏が現職候補者であってみれば、その姿勢は県知事としても不誠実、といわねばならない。その職責の重さを考えると不誠実を通り越して“無責任”と形容しなければならないほどだ。県知事としての適格性を欠いている、と結論しなければならない。

広島県は(広島県に限らないが)地方自治法でいう地方公共団体だ。その意味で広島県は西欧諸国やアメリカで見られるような地方政府ではない。国の下請け機関、といって悪ければ国の行政端末である性格を色濃くもっていることはやむを得ないだろう。しかし、県民の安全と健康、生命・財産に関する問題、一言でいえば生存権の問題まで、国の行政端末であっては県民としてはたまらない。湯崎氏の回答は、原発問題をエネルギー問題として捉え、その上で対応の仕方は国の行政端末に徹している。従って、伊方原発3号機再稼働問題に関しても、独自の勉強や研究、思索を深めた形跡は、回答書を読む限り微塵もない。まるで湯崎氏からの回答が、経済産業省からの回答だとしても見分けはつかないだろう。

広島県知事は単に行政端末の長ではない。同じく地方自治法は「地方公共団体は住民の福祉を基本」とすべしと明記しているし、現に広島県知事は戦前のように政府が任命しているのではなく、私たちの投票で選ばれている。湯崎氏が、「伊方3号機再稼働問題」を眺める時、単に「エネルギー問題」としてしか捉えておらず、従って県民の生存権問題としての視点を持ち得ないのであれば、「ポスト・フクシマ時代」の広島県知事として大きな懸念をもたざるをえない。

仮に100歩譲って、原発問題をエネルギー問題として捉え、エネルギー問題としての「原発の安全性」という課題に対処する県知事としても、大きな疑問を感じさせる回答だった。湯崎氏は次のように回答している。
 「原子力発電所の再稼働につきましては,原子力規制委員会が取りまとめた新たな基準による安全性の評価を踏まえた上で,国が国民に対して十分な説明を行い,立地県の意向も尊重しながら,国において責任を持った判断がなされるべきものと考えている。」

 原子力規制委員会が行っている「規制基準適合性審査」は「原発の安全性」について評価しているのか?原子力規制委員会が「規制基準適合性審査会合」で行っている審査は、原発個別の安全性を評価しているのではない。規制委員会自身が、個別の原発の安全性については評価できない、なぜなら原発に関して苛酷事故の「リスクゼロはない」といっているのだから。(2013年4月3日規制委員会会合後の定例記者会見の席上、田中俊一委員長のコメント)
 それでは原発の安全性はどうやって担保するのか?完全無欠な安全性については「私どもは万歳しているのです(お手上げ状態という意味)」(同田中委員長)
 つまり規制委員会は完全に「原発安全神話」と訣別したのである。それでは今後原発を推進していくにあたって「原発安全神話」に何を対置するのか?それが「確率論的安全評価」(PSA=Probabilistic Safety Assessment)の考え方である。PSAとはわかりやすく言うと、「原発苛酷事故は避けがたい。しかし発生頻度を最小化することはできる。最小の頻度を設定して安全目標とし、その観点から安全評価」をするということである。(原子力規制委員会は現在、PSAに基づいて福島原発並の苛酷事故発生頻度を1炉あたり100万年に1回を目指したい、といっている)

 安全目標ができれば、その安全目標に対応した原発の「性能目標」(器機や装置などの仕様目標)ができる、これが現在の「規制基準」である。その間の事情は、2013年4月3日の原子力規制委員会で委員長の田中俊一氏が次のように説明している通りである。
 「安全目標やそれにより導かれた性能目標を達成する工学上の工夫の在り方を示すのは『規制基準』という言い方をされておるんですが、先週のプレス会見で、私見として申し上げたんですが、今まで『安全基準』という言葉を使ってきたんだけれども『規制基準』の方が適当かもしれないということを申し上げています。」「『安全基準』というと、基準さえ満たせば安全であるという誤解を呼ぶことがあって、私も先にプレス会見で御指摘をいただいて、傾聴に値しますということで、先週『規制基準』がいいという話をさせていただきました。(同日規制委員会議事録32p~33p)

 要するに「性能目標」は「安全目標」と切っても切れない関係にあるが、性能目標を安全目標と勘違いされては困る、性能目標をクリアすれば安全なんだ、と思われては困る、ということだ。従って現在規制委員会で審査されているのは、安全目標に対応する性能目標(規制基準)なのであって、決して個別原発の安全性を審査しているのではない、という基本理解が決定的に重要になる。そして原発の安全性は実際の稼働の中で事業者(電力会社)が、努力して高めていくものであり、規制委が安全性そのもを評価することはできない、としている。

 にも関わらず湯崎氏は回答で「新たな基準による安全性の評価を踏まえた上で,国が国民に対して十分な説明を行い」と述べている。規制委員会は新基準による原発の安全性を評価している、この湯崎氏の誤解はいったいどこから出てくるのか全く理解に苦しむが、想像するに湯崎氏が資源エネルギー庁の高級官僚時代に華やかだった「原発安全神話」の発想そのままで、現在の規制基準とその適合性審査を眺め、現在進めているのは「安全性審査」だと早とちりをしているとしか考えられない。

 これを見ても、湯崎氏が「ポスト・フクシマ時代」の県知事、その南端県境わずか60kmあまりの場所に四国電力・伊方原発を抱える広島県知事として危機感が欠如しており、広島県民の生命・財産を守り抜こうという固い決意が見られない(この点は回答書を読む限り、大西候補も同様である)、つまり広島県知事としての基本的適格性を欠いていると指摘しておきたい。

 さらに踏み込めば、私たちは広島県民として、原子力規制委員会の原発安全性に関する基本的考え方、すなわち「確率論的安全評価」(PSA)そのものを批判しているのである。なるほど原子力規制委員会にとって原発苛酷事故は「確率論」問題かもしれない。しかし私たち広島県民にとって伊方原発の苛酷事故は「確率論」ではない。絶対安全でなければ稼働しては困ります、「フクシマ原発事故」が広島市からわずか100kmの場所で起こるのは絶対やめてくれ、その可能性が100万分の1あるのなら稼働させないでくれ、というのが私たちの立場だ。確率論で論ずる以上、伊方原発苛酷事故は100万年後かも知れないが、同時にそれは稼働の翌日かも知れないのだから。

 「確率論的安全評価(PSA)」はチェルノブイリ事故後、世界の原子力規制行政の標準的考え方となった感がある。長い間「原発安全神話」にどっぷり浸かってきた日本の規制行政は、フクシマ事故後1年も経ってやっと世界標準のPSAをその規制行政にとりいれた。しかし取り入れた途端に、PSAは時代遅れとなってしまっている。

 それでは原発推進の立場に立って、最新の原発規制行政の考え方はいったいどんなものか?それは先日来日して講演を行った前米原子力規制委員会委員長、グレゴリー・ヤツコ氏が述べた考え方である。ヤツコ氏はいう。
 「仮に原発がいかなる苛酷事故をおこしても、その影響を一切原発敷地外に及ぼさない、そのような安全基準を開発すべきである。そのような安全基準ができるのかどうか甚だ疑わしいが、すくなくともそのような安全基準ができるまで、現在の原発は稼働を停止しておくべきである」(2013年9月20日夕刻広島市内の講演会で)
 ヤツコ氏は原発反対派ではない。少なくともその経歴をみればむしろ原発推進派に属する。そのヤツコ氏が、フクシマ原発事故に直面し、米原子力規制委員会委員長としてその職責を全うしようと、思索を深めた結果が上記のコメントである。

 プロセスは異なれ、原発推進派のヤツコ氏の結論が、期せずして私たち反原発派の結論と一致したのである。氏の見解は、伊方原発再稼働を目前に控えた私たち広島県民にあらがい難い説得力をもっている。


◆広島市 原田二三子 さん<追加更新11月7日 01:31>

両候補が、非常なご多忙中であるにもかかわらず回答をお寄せくださったことに、まず感謝致します。

【湯崎候補の回答について】

回答を寄せてくださった順序とは違いますが、初めに、湯崎候補の回答についての感想です。

 私たちの質問は、次のとおりでした。

「広島県民の生命・財産を守る権利、安全と健康を守る権利、一言でいえば憲法で認められている基本的人権のもっとも重要な構成要件の1つである「生存権」に対して第一義的に責任を負うのは広島県知事だと考えていますが、その広島県知事候補として

四国電力伊方原発3号機の再稼働に明確に反対の意志表示をされますか?それとも沈黙を守られますか?それとも積極的に賛意を表明されますか?」

 ところが、湯崎候補の回答では、質問が、「四国電力伊方原発3号機の再稼働についてどう考えるか。」というものにすり替わっています。つまり、私たちの問いに対して湯崎候補は答えておられず、「回答」を寄せてくださったように見えながら、実際には回答してくださっていないということになります。非常に残念です。
 
 その上で、質問への回答ではないものの、湯崎候補の見解が示されているお答えについての感想です。
 
 まず、非常に不適切な言葉の使い方があります。3項目目の「原子力規制委員会がとりまとめた新たな基準による安全性の評価」という表現ですが、原子力規制委員会が行っているのは、「規制基準適合性審査」であって「安全審査」ではありません。「規制基準」をクリアすれば「安全」であるとは言えないということは、原子力規制委員会自らが認めていることです。
 
最も残念なことは、「原子力発電所の再稼働」については、「国において責任を持った判断がなされるべきもの」というお考えしか示しておられないこと、「伊方原子力発電所の再稼働」については、「愛媛県と連携する」というお考えしか示しておられないことです。
「広島県知事」としての主体性はどこにあるのでしょうか?
質問にも書いたとおり、「広島県知事」は、広島県民の「生存権」に第一義的な責任を負うべき存在です。その責任を果たされる姿勢のまったく見られない湯崎候補のお答えに、深く失望します。

【大西候補の回答について】

 大西候補は、まず、三者択一の私たちの質問にまともに答えてくださっています。

 そして、「『再稼働に明確に反対の意思表示』を致します」というお答えは、伊方原発3号機再稼働に反対している私たちとしては、歓迎すべきお答えです。

 しかし、その「理由」の中に、「広島県知事」として広島県民の「生存権」を守る立場からの見解が示されていないことは、湯崎候補の場合と同様、残念に思います。


◆広島市 重広麻緒 さん<追加更新11月7日0 1:34>

伊方原発再稼働問題に関する質問状への広島県知事候補者の回答を読んだ感想

大西候補の回答:伊方原発再稼働反対の意を表明します。

共産党は反原発を掲げているので予想通りの回答でした。

ゆざき候補者の回答:原子力発電所の再稼働につきましては、原子力規制委員会が~略~
国において責任を持った判断がなされるべきと考えている。

3択の中からはお選び頂けませんでした。
しかも候補へ質問は「反対?賛成?黙認?」から「伊方原発再稼働問題についてどう考えているか?」に差し替えられていました。

「国民的議論のもと見直しが必要」「国民的議論の加速に期待」と「国民的議論」が二回も出てきます。
「国民的議論のもと」とはなんのことでしょう?
国民的議論をする場でも設けてくれるのでしょうか?
何を国民的議論の表れと捉えているのでしょうか?
まさか選挙の投票結果のことでしょうか?
国民的な議論を国会でしてくれるという事でしょうか?
この問題を国会まで持っていってくれるという約束をしてくれた?!と捉えても良いんでしょうか?
候補自身がどう考えているのかがわからないです。そこが聞きたいです。
あまりに人任せです。
そして「国において責任を持った判断がなされるべき」と、今度は国任せにしています。

エネルギー問題として捉えているようですが、伊方原発再稼働問題は私達の死活問題です。
「電気が無いと生活出来ない=生活を守る為には電気を確保する」とお考えなのでしょうか?
命が無ければ、住む場所が無ければ生活は出来ません。エネルギー問題以前の命の問題です。
原発が動いていなくても電気は足りているので「代替えエネルギーの問題」でもありません。
原子力発電はコストもかからない発電方法と謳っていますが実際はそうではありません。
だから「コスト増加に伴う国民の負担増の問題」でもありません。
そもそも経営努力をせず燃料高騰を理由に電気料金を上げるのは電力会社の怠慢ではないでしょうか?

「愛媛県と連携し、対応していく」とあります。
大西候補の回答の中で愛媛県知事は推進派とかいてありましたが、愛媛県と連携し伊方再稼働を進めていく、ということではありませんよね?
連携していくと回答したからには必ずや愛媛県と
伊方原発再稼働問題について議論してくれると期待しております。

ゆざき候補の回答は回答になっていないと思いました。
慎重に検討していきますという姿勢を見せて、国が政策を打ち出せばそれに従うのだろうと感じます。

福島で原発事故が起こり被害は膨大で今も悪化し続けています。
それを見るだけで原発事故はもう決して起こしてはならないものだと誰でも分かります。
それなのにこれからの日本では「原発は事故を起こすもの」が前提で再稼働されます。
再稼働すれば事故を起こす可能性は高まります。

広島県民を守る立場の県知事に立候補した候補として県民を危険に晒す事など容認出来ない、
何を差し置いても県民を守るという確固たる姿勢を見せてほしかったし、そうあるべきだと思います。

広島県知事候補への「伊方原発」問題に関する質問書の件 感想・論評を

みなさま

「結・広島」から10月28日に広島県知事両候補(大西オサム候補・ゆざき英彦候補)に質問書を提出しました。
質問の内容は結・広島のwebサイトに簡潔にまとめておりますのでご覧ください。
▽経緯説明含めての「結・広島」の記事
http://hiroshima-net.org/yui/index.cgi?no=35

▽広島県知事両候補に提出した質問書
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20131028.pdf

両候補より回答を頂きました。

▽大西オサム候補回答(PDF)
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/oonishi_kaitou.pdf
▽大西オサム候補回答 結・広島webサイト掲載
http://hiroshima-net.org/yui/index.cgi?no=38

▽ゆざき英彦候補回答(PDF)
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/yuzaki_kaitou.pdf
▽ゆざき英彦候補回答 結・広島webサイト掲載
http://hiroshima-net.org/yui/index.cgi?no=41

ご覧ください。

そして大事な事は色んな方々からの感想・論評だと思います。
是非、感想・論評がありましたらお寄せください。
結・広島及び広島2人デモのwebサイトにて掲載し
web上にて議論・討論出来ればと存じます。

なお感想・論評は「結・広島」代表メールまでお願いいたします。
yui@hiroshima-net.org

口頭やツイッター上で批判めかしたことや
ちょいらかし、からかい、皮肉はいくらでも飛ばせます。
しかし、それは本当の市民力にはなりません。
市民一人一人がしっかりした批判力を身に着けることが
今、一番大切なことだと思います。
今回はいいチャンスだと思いますので
優れた批判精神に富んだ、論評・感想をお寄せください。

なお、議論を深めると言う意味で、もちろん広島県民の方でなくても結構です。
宜しくお願いいたします。

「結・広島」事務局
網野沙羅